法学院　行政書士試験制覇の扉コミュの行政書士試験対策　民法総合問題　解答解説

正解番号

問１　５

問２　２

問３　２

問４　３

問５　３

～各問の解説～

問１

次の記述の内、誤っているものはいくつあるか。★★★★

１．未成年者と売買契約を締結したとき、相手が未成年であることについて悪意の者は本人に対して追認するかどうかを催告することができ、催告に応じない場合契約を追認したものとみなされる。

（誤り）未成年者に追認するかどうかを催告しても何ら法的効力はありません。よって追認したものとはみなされません。

２．成年被後見人は単独で有効な法律行為をすることができず、法定代理人の同意を得たうえであっても同様だが、日用品の購入については例外的に有効な法律行為をすることができるが、これにも法定代理人の同意を要する

（誤り）日用品の購入は確かに有効な法律行為として行えますが、その場合でも法定代理人の同意は不要です、そもそも成年被後見人には同意権がありません。

３．相手方と売買契約を締結する際、誤って思い違いをしてしまったとき、それは要素の錯誤に当たる為、原則として契約の無効を主張することができるが、無効を主張できるのは本人のみであって他の第三者は主張することはできない。

（誤り）原則論としては正しいですが、例外もあります。本人に対して債権を有している第三者が自己の債権を保全する為、本人が錯誤を認めていれば、第三者からも無効の主張が可能となります

４．契約を締結する際に、真意ではないことを知りつつ意思表示として表明した場合、それは有効なものとして扱われるが、その為には相手方がそれについて善意無重過失でなければならない。

（誤り）善意であることは必要ですが、無重過失までは要求されません。無過失で足りるとされます。（善意であっても有過失ではダメ）

５．売買契約の代理権を与えられた代理人の代理権はその範囲を超える代理行為をすると無権代理となるが、相手方に対して代理権の範囲内であることを証明できず、且つ本人から追認を得られなかったときは無権代理人に責任を追及することができる。

（誤り）原則論としては正しいですが、無権代理人が未成年者などのように制限行為能力者だった場合は責任を追及することができません。

従って、正解は5番となります。

問２

次の記述の内、正しいものの組み合わせを選べ。★★★★★

ア　相続はいったん放棄してしまうと取消すことができなくなる。

（誤り）相続放棄の場合でも、強迫などの事情があればそのときから10年間は取消し期間が設けられます。

イ　居所指定権、就労許可は親権に含まれる。

（正）かなり細かい知識ですが、記述の通りです。

ウ　解約手付を放棄して契約解除の意思表示をした場合、債務不履行責任を負う場合がある。

（誤り）手付のよる契約解除の場合は、債務不履行責任を負うことは一切ありません、もっとも相手が既に契約の履行に着手してしまった場合は手付をもってしても契約は解除できないので注意しましょう。

　
エ　相手方が契約の履行に着手していない場合、自分が契約の履行に着手してしまったときは、信義則上手付を放棄、または倍額の支払いを行ったとしても契約を解除することができない

（誤り）このような規定はありません。

オ　婚姻していない未成年AとB女との間に子Cが出生した場合、親権はAとBではなく、その親権者に行き渡る。

（正）細かい知識ですが、正しい記述となります。

従って正解はイ・オの2番となります。

問３

次の記述の内、民法の規定または判例に照らし、正しいものはいくつあるか。★★★

１．地上権は物権ではある為、30年で消滅時効にかかる。

（誤り）地上権は物権なので、30年ではなく、20年で消滅時効にかかります。

２．法定地上権が成立する為には、条件が３つある。

（誤り）法定地上権の成立要件は全部で４つあり、

Ⅰ　抵当権設定時、土地に建物が存在していること

Ⅱ　土地と建物の所有者が同一であること

Ⅲ　土地、または建物若しくは両方に抵当権が設定されていること

Ⅳ　抵当権実行によって土地と建物の所有者が異なったこと

これら全ての要件を満たすことで初めて法定地上権が成立します。
　

３．不動産賃借権は債権ではあるものの、一定の条件を満たせば登記することができる。

（誤り）債権でありながらも登記ができるという点は正しいですが、その為の条件などは特にありません。

４．短期消滅時効に係る債権は、裁判で確定したときは一律10年となる。

（正）その通りです。

５．債権関係において、相手方に催告をしたときは時効の進行は6か月停止するが、その間に裁判手続きを経て判決が下りた場合、催告をしたときに遡って時効は中断する。

（正）その通りです。

正しい選択肢は２つなので、2番が正解肢となります。

問４

即時取得に関する次の記述の内、関連性のないものを選べ。★★

１．　無権限

２．　善意無過失

３．　留置

４．　占有

５．　取引

即時取得の要件に留置という要件はありません。また、占有改定などの方法による即時取得も法律上認められておりません。

従って正解肢は3番になります。

問５

次の記述のうち、民法上正しいとされているものはいくつあるか。★★★

１．自己の土地の立木の枝が隣地にはみ出しているときは、隣地所有者は自ら枝を切除することができる。

（誤り）枝が出ているときは、立木の所有者に切除してもらうよう請求することしかできません、自ら切り取って良いのは、タケノコなどの根っこのみです。

２．不動産を二重に譲渡した場合、先に登記した者が所有権を獲得する

（正）判例上、このような解釈がなされています。公信力の有無が問題となります。

３．債権は金銭に見積もることができないものであっても、その目的とすることができる。

（正）これもその通りです。

４．賃貸借の最短期限は5年間である。

（誤り）民法上の賃貸借の最長期間20年とされています、これ以上長くなることもなければ、特約も結んでも20年に短縮されます。尚、最短期間に制限はありません。

余談ではありますが、この貸借に関しての特別法に借地借家法とう法律があります、そこでは通常の賃貸借契約を結んでも最低30年以上の契約結ぶことができます。
そして永久的に貸借し続けるという特約を結んでも法律上なんら支障はありません。

５．債権を譲り受けた者は、元債権者が債務者に譲渡の通知又は債務者の承諾がなければ譲渡を対抗できない。

（正）これも正しいですね、債権者が通知するか、債権者から通知の代理権を受けた者が通知するか、または債務者が債権譲渡に関して承諾をすることで対抗力を得ることができます。

よって正しい選択肢は３つあるので、3番が正解肢となります。

如何だったでしょうか、基本的な知識を土台にしましたが、多少細かく作った積りなので、ある程度民法に馴染みを感じていない人はそれなりに苦戦したかと思います。

逆に全問正解できた方々、おめでとうございます、本当によく勉強していらっしゃるのですね。
おめでとうとは言うものの、何も差し上げるものがないのでアレですが、これからも精進していってほしいと思います。

次余裕があれば憲法の問題も作ってみたいと思います、判例命の科目なので、憲法の趣旨を如何に理解しているかで勝負の決まる法律です。

これからも頑張って勉強に励んでくださいね。

コメント(2)

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[2] mixiユーザー 01月03日 13:26

問題を解いて頂いて有難うございました。

ちょっと見たことのない規定や判例知識も織り交ぜて作ってみたので、多少しっかり勉強していても迷ったかもしれません。

しかし、今はまだ本試験決戦のときではありません、今の内から覚えてしまえばいいだけのことです。

3問も正解するとは素晴らしいです、総合問題として作ったので、横断的に知識の確認ができればと思いましたが、個数問題もあったのに前回よりも正解率があがっているのは本当に良いことですね。

作問した私もそうですが、実際問題を作るというのは、意図によって難しさは様々です。

良問を作ろうと思えば、作る側も解く側もメリットがあるような問題にしなければならないので、その点についてはざっくりと言えば教え合いのようなものだと思っています。

現実的に考えて、1人で勉強するのでは、頼るものがありません。限界を感じてしまったらそこまでです。
しかし質問に答えてくれる第三者が居たり、逆に聞かれたりした場合では、自分の知識の理解度がどこまで高いかを知ることができます。
これが教え合いというものなのです。

新年も無事迎えたことですし、良いスタートを切れると良いですね。
お互い頑張りましょう。

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