法学院　行政書士試験制覇の扉コミュの行政書士試験対策　用語集　憲法編

用語の定義集　憲法編（常識的に考えて、初学者でも知っているであろうと判断できる用語は掲載しておりません、あらかじめご了承ください）

≪固有の意味の憲法≫

どの時代、どの国であるかを問わず、国家が存在する以上は必ず存在する意味の憲法

≪立憲的意味の憲法≫

国家権力に制限をかけて、国民の自由と権利を擁護しようという意味の憲法

≪成典憲法≫

実際に文章として表現されている憲法

≪不成典憲法≫

文章としては表現されない憲法

≪軟性憲法≫

通常の立法と同様の手続きで成立させることが可能な憲法

≪硬性憲法≫

通常の立法よりも厳格な手続きを踏まなければ成立されない憲法

≪欽定憲法≫

君主によって制定される憲法

≪民定憲法≫

国民によって、制定される憲法

≪協約憲法≫

君主と国民との合意によって成立する憲法

≪君主≫

国家を統治し、臣民の畏敬の対象となる者

≪人権≫

人が生まれながらにして当然有している、人としての権利。
主に自由権や人格的尊重などがある

≪公共の福祉≫

人権と人権がぶつかりあった場合、その紛争を調整し、または抑制する作用的概念

≪国民主権≫

国政の在り方を最終的に決めるのは国民自身であるという意味

≪基本的人権の尊重≫

公的な制約を除き、何人（誰であっても）の人権は尊重されなければならないという意味

≪平和主義≫

憲法9条と連動した用語であり、他国との交戦はせず、あくまでも平和的な考えであるという意味

≪三権分立≫

国家権力を立法権、司法権、行政権の３つに分散させ、何れも平等の権力差で３つのどこか１つに権力が集中しないようにする為の仕組み

≪パターナリスティックな制約≫

法律そのものが親代わりになって、未成年者や、その他の者に対してする制約のこと（例えば未成年者は飲酒、喫煙を認めない等）

≪議院内閣制≫

議院である立法府と行政権の中核を担う内閣は三権分立に従い、一応分立はしているものの、協働して政治政体を成立させる仕組み、及び組織的な用語としても扱われる

≪司法権≫

法律上、具体的な争いが生じた場合に、それを法律の力を以て終局的に解決しようとする国家権力のこと

≪立法権≫

立法とは法律や規則、つまり一定のルールを作り出す国家権力を言う

≪行政権≫

一概に内容を確定できる用語ではないが、立法権と司法権の管轄を除いた全ての領域を管轄する国家権力作用
例えば、国民の権利義務に制限をかけたり、地域ごとに独特の政治形態（地方議会など）を成立させ、主に国政より少しばかり小さな地域国政などに細かい作用が起こると考えられる用語。

≪法人≫

法律が作った人のこと、主に会社などの組織を指す。このようにすることで法人も人である生身の人間と同じく権利義務を享有できる。ただし、人身の自由や生存権など法人に当てはめ難い自由権や権利はこれに含まない

≪公務員≫

行政権に従い、または行政権そのものを行使する者を言う。憲法65条では行政権は内閣に属するとしているが、内閣は人ではないので、その手足となって行動する者を言う。

≪間接適用説≫

憲法の趣旨は元々国家権力に歯止めをかけることに意味を持つので、国家　対　人ということをメインにした法律であって、憲法の規定は本来一部の規定を除き人には直接的されないが、
民法や商法などの人に直接適用される法律を介して憲法の趣旨や意義を間接的に適用させようという意味

≪直接適用接≫

上記でも挙げたが、これはその逆である。人身の自由や生存権、思想・良心の自由など人に直接適用することが妥当であるものの、それ以外の規定も趣旨がそぐわなければ直接的に適用しようという考え方

≪幸福追求権≫

数十年ほど前までは、福祉的な考えとしては人は生存権に伴い、最低限度の生活ができれば良いと考えらてきたが、今日、憲法13条の幸福追求権、即ち「個人として尊重する」という人格的且つ福祉的な発想に切り替わってきている考え方
人は幸せになれなければ国民を擁護する憲法の趣旨に反するという考え方からのものである

内容としては実に様々で内容を一律に確定することはできない、何故ならば人によって幸福の形は大なり小なり違いに差が生じるからである

≪自己決定権≫

自分のことは自分で決めることができる法律上の権利。例えば服装の自由（犯罪に結びつくものなどは除く）喫煙、飲酒の自由（これにも当然ながら制限あり）夫婦間などでは一般的に子供をもつかどうかなど、その考え方は様々である。

≪検閲≫

検閲とは、行政権のみが主体となって未だ発表前の表現物を審査し、不当であると認めるものは表現してはならないという考え方。現在の憲法のもとでは検閲は絶対的に例外なく禁止されている
これと似た判例で北方ジャーナル事件というものがあり、とある記事や出版誌に対して裁判所からの事前差し止めを求めたがそれは検閲にあたるのではないかが問題となったものである。しかしながら裁判所は公的な機関であって公権力は確かに備えてはいるが、行政権を持たない為、例え差止めが容認されても、それは検閲に当たらないと裁判所は判示している。

≪公権力≫

簡単にいってしまうと、国民や物事に対して公的目的を公に作用させる力のことを言う。
尚、検閲もまた公権力のカテゴリーに属するが、検閲の場合はあくまでも行政権が主体になっていなければならず、憲法はそれによる表現物の事前審査を禁止しているに過ぎない

≪絶対的平等≫

互いに違う境遇にいても、スタートラインは常に同じでなければならないという考え方

≪相対的平等≫

物事の性質や事情を考慮して、スタートラインに一定の差を設けることを言う。例えば障がい者と病を持たない健常者とのスタートラインは障がい者の方が一定部分、先に進んでいることや、雇用関係においては報酬は別としても、一般雇用よりも採用されやすかったり、障がいの程度に応じて定期受診の日は仕事を休ませてもらうなどが挙げられる

≪政教分離≫

国と宗教の関わりについて一定の制限を設けた制度を指す、今日では国と宗教は全く関わっていけないというわけではないが、それを制度的保障とすることによって人権守り、政教分離もあくまで制度として保障するという意味合いがある

≪知る権利≫

メディアや新聞などから自由に情報を享受できる権利を知る権利という。単純に拡声器を使っていきなり公衆の面前で自分の考えを述べても迷惑がられる可能性がある。
そこで、報道機関や新聞など、一般的に聞き入れる人が多いであろうものから情報を収集する自由を言う。これは憲法21条で規定している表現の自由からの派生である。
そこにはいくつかのランク分けがある次のようなものがある。

知る権利（保障される権利）

報道の自由（保障される自由）

取材の自由（十分尊重に値する自由）

法廷などでメモを取る行為（尊重されるべき権利）

≪条例≫

各都道府県、または市町村において作られるその地域独特の立法規範（法律に準じるが、法律よりも順位は下）である。

≪事前抑制≫

検閲と類似しているが、主体は公権力であって行政権ではない。では公権力と行政権の相違点何か。それは権限の性質にある。
行政権は司法権や立法権以外のものを管轄するが、公権力という単語は曖昧であり、司法権を握る裁判所が主体となって事前抑制することができる点で相違がある。

抑制する権限機関の主体に注意。

≪二重の基準論≫

とある自由権を制限するには、合理的な理由があれば足りるとするが、それ以外の権利や自由権を制限するには合理的な理由よりも、より厳しい基準が要求されるというもの。
これは具体的には経済的自由と精神的自由で使われる基準論のことで、経済的自由権に対しての制約については比較的合憲となりやすい、つまり違憲になりづらく、精神的自由権に対する制約は違憲になりやすいということである。
精神的自由は民主政において重要と言える権利である為、国政のやり方次第では、他の自由権からみてもとてもデリケートな自由権と言える。傷つきやすい権利に対して防禦（制約に対する盾）がより頑丈で違憲という名の跳ね返しが強いと言えるだろう。

≪朝日訴訟≫

生存権の性質について争った訴訟である。

生存権とは、主に３つの説がありプログラム規定説、抽象的権利説、具体的権利説があるが最高裁はプログラム規定説をとっている。
プログラム規定説とは、法的性質及び裁判規範の効力を有せず、単純に政治的政策として政治の責務等を定めたものである。
抽象的権利説は法規範性があるが、裁判規範を持たない、但し生存権を具体的に実現させる法律ができたときに、その法律の違憲性を主張することが出来る。
具体的権利説は法規範性及び裁判規範を共に有しているが、こちらは立法不作為の確認を主張できるだけであって、生存権を具体づける法律ができたときはその法律の規定によってのみ権利を有する