法学院　行政書士試験制覇の扉コミュの行政書士試験対策　会社法⑧　組織再編

今回のテーマは会社組織の再編についてです。

会社は組織を一変する為、或いは会社そのものの性質を変える為に合併したり、新しい会社を設立したりすることができます。

その部分に着目してまとめてみました。マイナー分野ではありますが、割と試験でも問われやすい分野であるとも言えなくはないので、苦手な方は概要だけでも掴んでおきましょう。

※組織再編の種類

組織再編の分野では主に次のようなものがあります。

≪１≫組織の変更

≪２≫会社合併

≪３≫会社分割

≪４≫株式の交換と移転

≪５≫事業譲渡

※組織の変更って？

株式会社を持分会社にしたり、或いはその逆に変更することを組織変更と呼びます。
要するに会社形態の変更を指すわけです。

株式会社が持分会社へ組織変更する為には一定の事項を定める手続きを踏まなくてはなりません、それが次の３つです。

≪１≫組織変更後の持分会社の種類

≪２≫組織変更後の持分会社の定款で定める事項

≪３≫組織変更後の目的、商号、本店の所在地

※株式会社から持分会社への組織変更をする場合

＊１
組織変更する株式会社は一定の期間、組織変更計画その他の法務省令で定める事項を記載し、記録した内容を書面または電磁的記録としてその本店に備え置かなければなりません。（775条）

組織変更する株式会社の株主及び債権者は、会社の営業時間内であれば、いつでも当該書面の閲覧または謄写を請求することができます。

＊２
組織変更する株式会社は組織変更効力発生日までに組織変更計画について総株主の同意を得る必要があります。

＊３
効力発生日の２０日前までに、登録株式質権者及び登録新株予約権者に対して組織変更する旨を通知しなくてはなりません。

＊４
株式会社が組織変更する場合、新株予約権者は株式会社に対して、自己の有する新株予約権を公正な価格で買い取ることを請求することができます。

＊５
組織変更をする株式会社の債権者は、会社に対して組織変更について異議を述べる権利があります。

＊６
会社が組織変更したときは、効力発生日から２週間以内にその本店の所在地において、設立の登記をしなければならない。
尚、組織変更前の会社は解散の登記が必要になります。

※持分会社から株式会社へ組織変更する場合

これにおいても、上記の株式会社から持分会社へ組織変更する場合と手続きは若干似ています。

≪１≫組織変更後の株式会社の目的、商号、本店の所在地及び発行可能株式総数、その他の組織変更後の株式会社の定款で定める事項

≪２≫組織変更をする持分会社に社員に対する株式の割当の事項

その他株式会社が持分会社へ組織変更する場合と類似した事項を定めることになります。

＊１
総社員の同意（持分会社からの組織変更に当たるので総株主の同意と混同しないよう注意しましょう）

＊２
組織変更の登記

＊３
債権者保護手続

組織変更する持分会社の債権者は持分会社に対して組織変更について異議を述べることができる。

↑株式会社が持分会社へと組織変更する場合と同じですね。

※会社の合併、分割とは？

合併には簡単に分けると吸収合併と新設合併の２つが存在します。

吸収合併とは、例えばA会社とB会社がある場合で、B会社がA会社に吸収されるとき、B会社は解散し、その権利義務はA会社に受け継がれる。これを吸収合併と言うのです。

これに対して、新設合併とは、A会社とB会社を両方とも解散させて、新しくC会社を設立し、A会社とB会社の権利義務をC会社に承継させる形態をいいます。

※合併の手続き

＊１　合併契約

合併をする会社は合併契約を締結しなければなりません、当然と言えば当然ですね。

＊２　合併契約の内容の開示、閲覧

合併契約の内容と法務省令で定める一定の事項を記載又は記録した書面及び電磁的記録を会社の本店に備え置いて事前に開示しなければなりません。

＊３　株主総会の特別決議

合併の効力発生日の前日までに株主総会の決議によって合併契約等の承認を受けなければなりません。

＊４　株主の保護手続

株式買取請求権が認められる為の要件としては、株主総会に先立って合併に反対する旨を合併当事会社に通知し、且つ当該株主総会で反対する必要があります。

＊５　債権者保護手続

※会社分割について

主に新設分割と吸収分割に別れます。

吸収分割とは、A会社とC会社がある場合でA会社の一部をC会社に割り当てる、というイメージを持って頂ければ解り易いかと思います。

これに対して、新設分割とはA会社を２分化して、A会社と分割によって新設されるB会社が誕生する場合をいいます。

※株式交換・株式移転

株式交換とは、株式会社が株式の全部を他の株式会社等に１００％取得させることをいいます。

つまり親会社と子会社の関係ができあがるわけです。

これに対し、株式移転とは株式会社がその発行済み株式の全部を新設株式会社に取得させることをいいます。

・主な手続き

≪１≫株式交換の場合

既存の会社と行うのですから契約を必要とします。

≪２≫株式移転の場合

株式移転計画というものを必要とします。

≪３≫特別決議

株主総会の特別決議を必要とします、尚、これには債権者保護手続は不要です。理由としては特に財産等の変動がないからです。

※事業譲渡とは

これは財産の全部または重要な一部を１つの契約で移転させて、譲渡会社が今まで営んできた事業活動を譲受人に受け継がせることにより、譲渡会社が法律上、競業避止義務を負う結果を伴うものをいいます。

・事業譲渡の要件

≪１≫原則として事業の全部の譲渡にも重要な一部の譲渡にも株主総会の特別決議が必要とされます。但し、譲渡する資産の帳簿価格が譲渡会社の純資産の５分の１を超えないときは特別決議は不要となります。

≪２≫譲受会社においては事業の全部の譲受けについて株主総会の特別決議が必要となる、但し、事業の一部の譲渡については不要である点には注意しましょう。

≪３≫事業譲渡には契約を必要としますが、何を譲渡するかを包括的に定める必要はありません。

＊事業譲渡に反対する株主はそれを（事業譲渡）しようとする会社に対して、原則として株式買取請求をすることができます。

※制限等

譲受会社が譲渡会社の商号を引き続き使用する場合、譲渡会社の債務を連帯して弁済する責任を負います。（22条）

譲渡会社は当事者の別段の意思表示がない限り、同一の市町村の区域内及びこれに隣接する市町村の区域内においてはぞの事業を譲渡した日から２０年間は同一の事業を行ってはいけないという点にも注意しましょう。（21条）

以上で、組織再編のテーマは終わりです。如何だったでしょうか。

細かい規定が多いですが、試験で主に聞かれる点は、合併と事業譲渡などが主です。

その他の部分は大まかに概要を掴んでしまえば単純ですので、余裕のある方は丁寧に学習されてもいいかもしれません。

是非、過去問などを参照して知識を身に付けていきましょう。

そして、会社法の解説については今回を持ちまして終了とさせて頂きます。

まだ持分会社に関する部分と通常の商法典がありますが、ここは単純かつ明解なので、私がわざわざお伝えせずとも自前のテキストを読むだけで理解できる方は実に多いかと思われます。

リクエストがある場合は解説を考えますが、原則としては会社法は今回をもって打ち切りとなります。

ここでも割と規定は細かいですが、必ず1問出る上に割と取りやすい分野でもあるでの過去問などで練習を重ねても良いでしょう。

尚、リクエストをご希望の方はメッセージにてお願い致します。

ここまでお付き合いくださいまして、本当に有難うございました。この記事が皆様の学習参考になれば幸いでございます。

次回の執筆分野は行政法を考えております、「今更？」と思う方も大勢いらっしゃるかと思いますが、行政書士試験における最大の項目である行政法は主に法律条文と判例で構築されています。ですので、理解できれば点数が取りやすい分野と言えます。

執筆予定は何時になるかまだ目処はたっていませんが、行政法の分野でも何かご希望があればリクエストをくだされば、と思います。

それでは大変お疲れ様でした、無理のない学習を心がけてください。

コメント(2)

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[2] mixiユーザー 08月24日 19:32

閲読有難うございます、いつもコメントを頂けて嬉しい限りです。
砕いた表現で書くのが大変難しい分野でした。

この分野は頻出分野ではないですから、無理して全部を覚えようとしなくても大丈夫です。
過去10年分の問題集をやればここに書いた記事以上の知識が身に付くと思うので、是非実践してみてくださいね。

ここに書いてあることも含めて、イメージが掴めれば完璧と言えます。

適度なプレッシャーも大切ですが、過剰なプレッシャーは実力を半減させます。
ファイターさんが試験に合格されることは期待しているところですが、試験は逃げませんから、お互いゆっくり落ち着いて勉強しましょう。

何かリクエストがあればいつでも、メッセージやこのコメント欄への記入で受付致しますので、宜しくお願い致します。

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