法学院　行政書士試験制覇の扉コミュの行政書士試験対策　会社法⑦　資金調達

ここでは、会社がどのような手順を踏んで資金を調達していくのかを見ていきたいと思います。

通常、会社の主な目的は営利性が挙げられます。

営利性とは、簡単に言うとお金儲けを目的とした性質のことを指します。

そうでなければ株主に剰余金を分配することが難しくなり、儲けをもらえない株主としては折角株を買ったのに損はあっても得はない、という状況に陥り、投資した資本を回収する為、持っている株を売り飛ばしてしまうことが考えられます、もし株主達が一気にそんなことをすれば会社は大暴落に見舞われ最悪倒産してしまう可能性もあるわけですね。

そのようなことの無いよう、会社は利益を重視した活動をしなくてはなりません。
それが営利性という名の本質なのです。

※計算書類等、会計帳簿って？

会社は取引や営業をする上で財産に影響を及ぼす事項については、会計帳簿というものを作って会計帳簿閉鎖のときから10年間保存しなければならないという義務規定が存在します（432条）

会計帳簿の例としては日記帳や仕訳帳などが挙げられます。

※会計帳簿等の閲覧請求

これらは無制限に閲覧できるわけではなく、次のいずれかの条件を満たした者が閲覧することができます。

１．総株主の議決権の１００分の３以上の議決権を持つ株主

２．発行済株式の１００分の３以上の数の株式を持つ株主

しかし、上記の条件を満たしたとしても、会社は一定条件のもと、閲覧拒否をすることができます。

拒否事由としては厳密には５つあるのですが、どの事由としても共通している面は会社に対して不利益を齎す目的です。権限逸脱も含みます。

１．請求者がその権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求したとき

２．請求者が株式会社の業務遂行を妨げ、株主の共同の利益を害する目的で請求したとき

３．請求者が会計帳簿またはこれに関する資料の閲覧または謄写によって知り得た事実を、利益を得て第三者に通報するために請求したとき

４．請求者が株式会社の業務と実質的に競争関係にある事業を営み、またはこれに従事するするものであるとき

５．請求者が過去2年以内において会計帳簿またはこれに関する資料の閲覧または謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがある者であるとき

※資金調達とは？

会社が継続的に事業を行うにはどうしても資金（お金）が必要となります。

調達方法としては次の３つがあります。

①銀行からの借入れ

②新株を発行するか、または自己株式を処分して資金を調達

③社債を発行する

新株は会社が成立したあとに発行される株式をいいます、また社債とは社債発行会社に対する債権のことです。

ちなみに社債は、取締役会設置会社であれば取締役会の決議で定めます。

・新株予約権とは

会社に対して新株予約権を行使することによって、当該株式会社の株式の割り当てをうける権利のことをいいます。

≪１≫割当日に募集新株予約権の新株予約権者となる。

≪２≫募集新株発行の際の払い込み金額が引受人に特に有利な金額である場合には株主総会の決議を要する。

≪３≫株主が不利益をうける可能性がある場合、会社に対して募集に係る新株予約権の発行をやめることを請求することができる。

ここで言う不利益とは、新株予約権の発行が法律や定款に違反していたり、不公正な方法によってなされている場合をいいます。

※新株発行と社債の違い

新株を発行すると金銭を払い込んだ者は株主となり、その金銭は会社の自己資本となる。

これに対して社債とは、会社に対する債権であるため、金銭で社債を買った者にその金銭などを返さなければなりません。

※企業会計とは

ここでは主に計算書類などを作ります、計算書類とは会社の経済的活動よって得た利益や損失などをまとめたものをいいますが、それによって会社の経営状態をはっきりさせることができるわけですね。

計算書類が株式会社の承認をうけ、一定の流れを経て公告することになります。

計算書類の作成時、そこから10年間計算書類とその附属明細書を保存しなければなりません。

※資本金と準備金

資本金は設立または株式の発行に際して株主となるものが株式会社に対して払込みまたは給付した財産の額のことを指します。

これに対して準備金とは、会社内に積み立てておくものをいいます。

※剰余金の配当

剰余金とは、会社の純資産から資本金と準備金を差し引いたもの、とここでは定義しておきます。

そしてこれらが株主に与えられるお金なわけですが、剰余金が300万円未満である場合、株主に配当することができません。

自己株式も剰余金の配当対象とはなりません。

とても簡単な解説となっていますが、ご了承ください。。

以上で資金調達の章は終了です、如何だったでしょうか。

この辺りはマイナーといえばそうなのですが、過去に何度か問われたり、模擬試験などでも取り上げられたりするテーマではありますが、1問丸々出してくる確率は余り高くないので、基本事項だけしっかり押さえて、余裕があれば細かい面も見ていってください。記述内容が他の章と重複しているところは敢えて解説内容から除外致しました。

お待たせして大変申し訳ありませんでした。

次回は組織再編について触れてみたいと思います、この分野では１問そっくりそのまま出してくる場合もあるので、今後も見逃せませんが、余り時間を費やして知識を習得しても割に合わないかと思われます、今回ご紹介した資金調達も然りです。

では、次回でまたお会い致しましょう。

コメント(4)

最初
全て
最新の40件

[2] mixiユーザー 08月22日 19:15

いつも閲読して頂いて有難うございます。

基本事項を中心に構築した内容になっており、初学者用の仕上げになっております。

上級者の方は私などがいちいちお伝えするまでもなく既にご理解されているかと思いますしね。
重要構築されているテーマから優先的に潰していきましょう。

[4] mixiユーザー 08月23日 19:17

ありがとうございます、学習の参考になれば幸いです。

私はひょっとすると入院するかもしれないので、今年の試験は受験できないかもしれません。

それまでに書ける記事は書いて自分にも、そしてこの記事を閲読して頂いた皆様にも利益があればと願って止みません。

共に頑張りましょう、合格はすぐそこまで来ています。

ログインすると、みんなのコメントがもっと見れるよ