会社法の中でも、かなり重要な分野であるのがこの株主総会です、株主総会は会社運営において意思決定機関の１つとされており、取締役会などが設置されていなければ、決議事項は会社全般なんでも決議できると解されています。
第4回目はその意思決定機関の１つである株主総会について見ていこうと思います。
株主総会とは会社の構成員である株主、つまり会社のオーナーが集まって会社の決議を行う合議制の意思決定機関をいいます。
株主総会には主に2種類あり、1つは定時株主総会、2つ目は臨時株主総会です。
定時株主総会は決まった時期に招集して決議を行いますが、臨時株主総会は必要があると見込まれた場合いつでも招集が可能です。
では、法律などで定められた決議事項を見ていきましょう、次の４つとなっています。
�‐衢抄發稜枦�に関する決議
�⊆萃�役、監査役等、機関の選任や解任に関する決議
�９臺察δ蟯召諒儿垢亡悗垢觀莎�
�し彁蚕駑爐両鞠�等
取締役会が設置されている場合は、上記の決議事項に加えて定款で定められている事項のみしか決議することができない点に注意しましょう。
尚、株主総会の議決が必要な事項を他の機関が決定できるといった定款の定めは当然無効です。
・招集権
株主総会の招集は取締役が行います、取締役会設置会社では取締役会が招集を行います。
一応これは原則例であり、例外的に株主自身が招集できる場合があります。
・例外的に招集できる場合（株主による招集）
6ヶ月前から総株式の１００／３個（３％と置き換えても良い）を保有し（非公開会社では保有期間の要件は必要なし）取締役に対して株主総会の目的となる事項などを提示して招集を請求することが出来ます。
この場合、請求した株主は下記の要件の何れかを満たせば、裁判所の許可を得て自ら招集することができます。
�ヽ�主による招集請求のあと、遅滞なく招集手続きが踏まれなかった場合
��株主による招集請求があった日から8週間以内の日を株主総会の日とする株主総会招集通知が発せられない場合
尚、招集地は何も絶対に会社である必要はありません、特に制限がないからです。
株主総会の目的となる事項や『書面投票』及び『電子メール』による議決も可能とされています。
その他は法務省令で定めるところによります。
次に招集手続きですが、株主総会開催の2週間前までに株主に通知しなくてはなりません。
この2週間、という数字は覚えましょう。
しかしながらこれにも実は特例があり、非公開会社では書面投票または電子投票を認めていない場合招集期間は2週間ではなく、1週間に短縮されます。
書面投票、電子投票が認められていれば2週間ですが、そうでない場合は1週間であることを整理して覚えましょう。
そして招集手続は必ずしも必要されない場合があります。それは株主全員の同意があった場合です。この場合は招集通知などを省略して株主総会を開催することができます。
しかし株主総会に出席しない株主に対しては、書面または電子投票による議決権行使を認めることを定めた場合には、招集通知が必要になるのでこの点は注意が必要です。
では、招集手続きに何か違法な点があった場合はどのような扱いになるでしょうか。
判例では、招集手続きに瑕疵（傷、欠陥のこと）があっても株主が全員出席し決議した場合、決議は有効となる、というものがあります。（最高裁判例 昭和60年12月30日）
大晦日直前の判例です、全然関係ないですが、この判例も重要なので是非覚えてください。
※株主提案権とは？
株主提案権とは、次の２つを指します。
取締役会があるかないか、非公開会社であるないかで多少の差はあります。
１．議題提案権（総株主の議決権の100分の１以上の議決権又は300個以上の議決権を６か月前から保有する株主に限り議題提案権が与えられている、ただし株主総会の『8週間前』までに行使しなければならない、非公開会社の場合は保有期間の制限はなし）
取締役会が設置されていない場合は株主は単独で議題提案権を行使することが可能です。
２．議案提出権（原則、自己が議決権をこうすることが出来る事項に限って株主総会で議案を提出することが出来るとされています）
法律や定款に違反するものは提出することは当然できません。
その他総株主の議決権の10分の１以上の賛成を得られなかった日から3年を経過していない場合も同様です。
※議決権の不統一行使について
議決権は何も必ず統一して行使しなければならないわけではありません、例えば100個の議決権をもっているとして、50個は賛成、残りは反対といった具合に不統一に行使することもできるのです。但しこれは自己の為ではなく、他人の為にする意思で行わない限り不統一行使は認められません。
これをしようとする場合株主総会の3日前までに会社に対して申し出をします。
※決議
原則として1株につき1議決です。代理人として議決権を行使することも可能です。
ところで、決議とはいっても6種類存在しますが、一応確認だけしておきましょう。
１．普通決議（定足数：過半数 表決：出席した株主の議決権の過半数）
２．特殊普通決議（定足数：過半数 表決：同上 定足数は3分の1未満に変更不可能）
３．特別決議（定足数：過半数 表決：出席株主の議決権の3分の2以上）
４．特殊決議１（定足数：なし 表決：議決権を行使できる株主の半数以上かつ当該株主の議決権の3分の2以上）
５．特殊決議2（定足数：なし 表決：総株主の半数以上かつ総株主の議決権の4分の3以上）
６．総株主の同意
※行使方法
議決権行使の代理は可能となっています、その為には代理権を証明できるものが必要となることに注意しましょう。尚、それらは会社に提出します。委任状などが良い例ですね。
書面投票やパソコンを使った電子投票も認められていますが、書面投票については株主の数が1000人以上である場合、株主総会に出席しない株主につき書面によって議決権を行使することが出来ることを定めなくてはなりません。
※決議の省略
・要件
端的に言えば、株主全員が書面または電子メールなどで同意の意思表示をした場合などがこれにあたります。この場合、議題となっていた提案を可決されたものとみなされる点に注意しましょう。
・その後の措置
決議が省略された場合、会社は決議があったものとみなされた日から10年間、書面または電子メール等をその本店に備え置かなければなりません。株主は会社の営業時間内であれば、いつでも閲覧または謄写の請求することが可能です。
最後に決議の瑕疵に関する重要判例を３つご紹介致します。
１．他人への招集手続きへの瑕疵を理由に決議取消しの訴えを提起することができる。
２．決議取消しの訴えにおいて、提起後所定の期間（3ヶ月）経過したあとに新たな取消し事由を主張することは許されない
３．株主総会自体に何ら法律違反がない場合、決議するについて動機・目的に公序良俗違反があっても決議は有効である。
以上で株主総会に関する章は終了となります、如何だったでしょうか。
株主総会は判例もそうですが、過去問でも少しひねった形で基礎知識を問う傾向にあるので、根本部分をしっかりと固めておきましょう。
また、今回の記事の内容はどれも重要なものばかりなので、できれば全部覚えて頂きたいところですが、焦らず１つ１つこなしていきましょう。一通り読んだり問題演習をするなど、インプットとアウトプットの繰り返しを行って知識を定着させましょう。
それでは、ここまで読んで頂いた方々、本当にお疲れ様でした。
第5回目でまたお会いしましょう。
第4回目はその意思決定機関の１つである株主総会について見ていこうと思います。
株主総会とは会社の構成員である株主、つまり会社のオーナーが集まって会社の決議を行う合議制の意思決定機関をいいます。
株主総会には主に2種類あり、1つは定時株主総会、2つ目は臨時株主総会です。
定時株主総会は決まった時期に招集して決議を行いますが、臨時株主総会は必要があると見込まれた場合いつでも招集が可能です。
では、法律などで定められた決議事項を見ていきましょう、次の４つとなっています。
�‐衢抄發稜枦�に関する決議
�⊆萃�役、監査役等、機関の選任や解任に関する決議
�９臺察δ蟯召諒儿垢亡悗垢觀莎�
�し彁蚕駑爐両鞠�等
取締役会が設置されている場合は、上記の決議事項に加えて定款で定められている事項のみしか決議することができない点に注意しましょう。
尚、株主総会の議決が必要な事項を他の機関が決定できるといった定款の定めは当然無効です。
・招集権
株主総会の招集は取締役が行います、取締役会設置会社では取締役会が招集を行います。
一応これは原則例であり、例外的に株主自身が招集できる場合があります。
・例外的に招集できる場合（株主による招集）
6ヶ月前から総株式の１００／３個（３％と置き換えても良い）を保有し（非公開会社では保有期間の要件は必要なし）取締役に対して株主総会の目的となる事項などを提示して招集を請求することが出来ます。
この場合、請求した株主は下記の要件の何れかを満たせば、裁判所の許可を得て自ら招集することができます。
�ヽ�主による招集請求のあと、遅滞なく招集手続きが踏まれなかった場合
��株主による招集請求があった日から8週間以内の日を株主総会の日とする株主総会招集通知が発せられない場合
尚、招集地は何も絶対に会社である必要はありません、特に制限がないからです。
株主総会の目的となる事項や『書面投票』及び『電子メール』による議決も可能とされています。
その他は法務省令で定めるところによります。
次に招集手続きですが、株主総会開催の2週間前までに株主に通知しなくてはなりません。
この2週間、という数字は覚えましょう。
しかしながらこれにも実は特例があり、非公開会社では書面投票または電子投票を認めていない場合招集期間は2週間ではなく、1週間に短縮されます。
書面投票、電子投票が認められていれば2週間ですが、そうでない場合は1週間であることを整理して覚えましょう。
そして招集手続は必ずしも必要されない場合があります。それは株主全員の同意があった場合です。この場合は招集通知などを省略して株主総会を開催することができます。
しかし株主総会に出席しない株主に対しては、書面または電子投票による議決権行使を認めることを定めた場合には、招集通知が必要になるのでこの点は注意が必要です。
では、招集手続きに何か違法な点があった場合はどのような扱いになるでしょうか。
判例では、招集手続きに瑕疵（傷、欠陥のこと）があっても株主が全員出席し決議した場合、決議は有効となる、というものがあります。（最高裁判例 昭和60年12月30日）
大晦日直前の判例です、全然関係ないですが、この判例も重要なので是非覚えてください。
※株主提案権とは？
株主提案権とは、次の２つを指します。
取締役会があるかないか、非公開会社であるないかで多少の差はあります。
１．議題提案権（総株主の議決権の100分の１以上の議決権又は300個以上の議決権を６か月前から保有する株主に限り議題提案権が与えられている、ただし株主総会の『8週間前』までに行使しなければならない、非公開会社の場合は保有期間の制限はなし）
取締役会が設置されていない場合は株主は単独で議題提案権を行使することが可能です。
２．議案提出権（原則、自己が議決権をこうすることが出来る事項に限って株主総会で議案を提出することが出来るとされています）
法律や定款に違反するものは提出することは当然できません。
その他総株主の議決権の10分の１以上の賛成を得られなかった日から3年を経過していない場合も同様です。
※議決権の不統一行使について
議決権は何も必ず統一して行使しなければならないわけではありません、例えば100個の議決権をもっているとして、50個は賛成、残りは反対といった具合に不統一に行使することもできるのです。但しこれは自己の為ではなく、他人の為にする意思で行わない限り不統一行使は認められません。
これをしようとする場合株主総会の3日前までに会社に対して申し出をします。
※決議
原則として1株につき1議決です。代理人として議決権を行使することも可能です。
ところで、決議とはいっても6種類存在しますが、一応確認だけしておきましょう。
１．普通決議（定足数：過半数 表決：出席した株主の議決権の過半数）
２．特殊普通決議（定足数：過半数 表決：同上 定足数は3分の1未満に変更不可能）
３．特別決議（定足数：過半数 表決：出席株主の議決権の3分の2以上）
４．特殊決議１（定足数：なし 表決：議決権を行使できる株主の半数以上かつ当該株主の議決権の3分の2以上）
５．特殊決議2（定足数：なし 表決：総株主の半数以上かつ総株主の議決権の4分の3以上）
６．総株主の同意
※行使方法
議決権行使の代理は可能となっています、その為には代理権を証明できるものが必要となることに注意しましょう。尚、それらは会社に提出します。委任状などが良い例ですね。
書面投票やパソコンを使った電子投票も認められていますが、書面投票については株主の数が1000人以上である場合、株主総会に出席しない株主につき書面によって議決権を行使することが出来ることを定めなくてはなりません。
※決議の省略
・要件
端的に言えば、株主全員が書面または電子メールなどで同意の意思表示をした場合などがこれにあたります。この場合、議題となっていた提案を可決されたものとみなされる点に注意しましょう。
・その後の措置
決議が省略された場合、会社は決議があったものとみなされた日から10年間、書面または電子メール等をその本店に備え置かなければなりません。株主は会社の営業時間内であれば、いつでも閲覧または謄写の請求することが可能です。
最後に決議の瑕疵に関する重要判例を３つご紹介致します。
１．他人への招集手続きへの瑕疵を理由に決議取消しの訴えを提起することができる。
２．決議取消しの訴えにおいて、提起後所定の期間（3ヶ月）経過したあとに新たな取消し事由を主張することは許されない
３．株主総会自体に何ら法律違反がない場合、決議するについて動機・目的に公序良俗違反があっても決議は有効である。
以上で株主総会に関する章は終了となります、如何だったでしょうか。
株主総会は判例もそうですが、過去問でも少しひねった形で基礎知識を問う傾向にあるので、根本部分をしっかりと固めておきましょう。
また、今回の記事の内容はどれも重要なものばかりなので、できれば全部覚えて頂きたいところですが、焦らず１つ１つこなしていきましょう。一通り読んだり問題演習をするなど、インプットとアウトプットの繰り返しを行って知識を定着させましょう。
それでは、ここまで読んで頂いた方々、本当にお疲れ様でした。
第5回目でまたお会いしましょう。
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コメント(2)
ファイターさん、いつも読んで駄文の記事を読んで頂いて本当に有難うございます。
会社法は本当に難解で、ただ読んだだけではわかりづらい部分が沢山ありますよね。
私はそういった表現では余り書きたくなかったので、難しい表現は使わざるを得ない場合を除いて、どこが注意点なのかをフォローした上での記事を執筆しています。
わかりやすいと言ってもらえて本当に嬉しいです。
個人的な理想は読んだだけでわかる、というものです。覚えられるかどうかは個人差があるのでそこまで影響を及ぼすことができるかどうかは丸で自信がありませんが。。
グッタリしている中、一生懸命書いた甲斐がありました、ありがとうございます。
余裕があったらまた読んで頂けると嬉しいです、また新たに執筆を予定しているので。
次は取締役会について書こうかと思っています。
会社法は本当に難解で、ただ読んだだけではわかりづらい部分が沢山ありますよね。
私はそういった表現では余り書きたくなかったので、難しい表現は使わざるを得ない場合を除いて、どこが注意点なのかをフォローした上での記事を執筆しています。
わかりやすいと言ってもらえて本当に嬉しいです。
個人的な理想は読んだだけでわかる、というものです。覚えられるかどうかは個人差があるのでそこまで影響を及ぼすことができるかどうかは丸で自信がありませんが。。
グッタリしている中、一生懸命書いた甲斐がありました、ありがとうございます。
余裕があったらまた読んで頂けると嬉しいです、また新たに執筆を予定しているので。
次は取締役会について書こうかと思っています。
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