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錯乱坊主の書斎コミュの『月星円舞曲(ムーンスターワルツ)』vol.02

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『月星円舞曲(ムーンスターワルツ)』vol.02

★第5話

 アスホ・イツキが目覚めると、そこはDMDの医務室であった。
 最後の記憶は横腹に走った熱い感覚と、周辺に散った自分の血液である。
 慌てて自分の横腹を見る。が、傷ひとつ無い。
 けだるい感覚を振り切って身体を起こすと、ミヒロリーダーが部屋に入ってきた。
 ミヒロリーダーはメンバーの法術師シャーロットと剛力キャロラインが同じ病棟で仕事をするので、ついでにアスホの様子を見に来たようだった。

 ミヒロリーダーに自分の事を質問してみた。
 まず、運び屋レイ・カトーが依頼人に荷物を受け渡した後、その荷物を狙撃した者がいて、荷物を貫通した流れ弾がアスホの脇腹に命中した事。
 アスホの治療はDMDのゴールドクラス職員が治療した可能性が高い事。
 治療費の出所は不明であったが……。
 「グリフィスマスターは知っているハズだが……。」
 ミヒロリーダーは、納得いかないようではあったが……。

 身体はダルいが、ヒマなので法術師シャーロットと剛力キャロラインの仕事ぶりを見学する事にした。

 その病室では、臨終近い高貴な老人を大人数で見取っている最中であった。
 ミヒロリーダーが、すでに死を迎えているハズの国王の魂を法術師シャーロットが剛力キャロラインの霊体(エクトプラズム)を使って繋ぎ止めていると教えてくれた。
 しかし、時間が長くなっているのかキャロラインに強い疲れが見える。
 そこへ国王の親族が到着し、国王の口から遺言としての王位継承が話され、最後に家族として子供と孫に言葉を残そうとした時、キャロラインは膝をつき、限界が近付いた事が見て取れた。
 倒れそうになるキャロラインを思わず支えるアスホ。
 途端に、アスホは大きな虚脱感に襲われた。
 ミヒロリーダーがアスホを引き寄せようとしたが、法術師シャーロットがそれを制止し、そのまま延命術を続けた。

 元国王となった老人は感謝の言葉を家族と、その場にいたDMD全員に述べ、息を引き取った。
 家族も新国王もDMDに感謝し、その場を後にした。
 法術師シャーロットと剛力キャロラインは食事に出かけ、ミヒロリーダーはアスホの再入院のための手続きに行った。
 霊体消費中のキャロラインに触れたアスホも霊体を失ったのである。
 数日で復活するのだが、この時は気絶するほどの虚脱感であった。
 ちなみに再入院費はシャーロットが協力費として払ってくれた。

 翌日、見舞いに来た運び屋レイから教えてもらったのだが、レイを助けた依頼料は全てミズハ・モリゾノが受け取ったようだ。
 後で追求しなければ……。( ̄皿 ̄;)




★第6話

 今までの依頼料は○○銀行に振り込んであるとミズハが教えてくれたので確認に出かける事にした。
 嫌がるミズハを連れてDMD日本支部を出ると、若い男性の刑事から声をかけられた。
 彼の名前は北都翔、どうやらDMDに依頼したい事があるのだが、どうしたら良いモノか迷っていたトコロへアスホとミズハが現れたようだ。
 その依頼とは、若い女性の囮(おとり)役である。
 確かにアスホとミズハにはピッタリの依頼で、しかも楽な依頼と思い込んでいるミズハが断るハズもない。
 ふたつ返事でアスホ共々、引き受けてしまった。

 引き受けて後悔した。
 ひったくりや痴漢の囮かと思ったら、性犯罪者の囮であった。

 囮捜査開始後、性犯罪者が現れたのはミズハの方で、複数犯であったため拉致されてしまった。
 しかも警察から付けられていた発信器は、破棄されてしまった。
 あせったアスホはDMDの法術師シャーロットに連絡し、ミズハの位置を特定してもらい、警察と共に乗り込んだ。
 現場にはスパナと工具用ハンマーを持ったミズハが息を切らせて立っており、足下にはボコボコにされた犯人達が転がっていた。

 ちなみに、警察から受け取った報酬の80%は法術師シャーロットに渡った。
 ミズハが激怒したのは言うまでもない。




★第7話

 前回のコトがあったので、ミズハが教えてくれた銀行にはアスホだけで行く事にした。
 ○○銀行は8階建ての大きな銀行であるが、DMD日本支部の軌道エレベーターに比べれば、小さく見えるのが不思議だ。
 で、銀行の入り口をくぐった途端に銀行強盗の人質になりました……。orz

 人質が一箇所に集められると、そこに一際目立つ女性がいた。
 サイバーティックなサングラスと、メカニックなヘッドホンを付けていた。
 ただ、何を質問しても答えてもらえず、唯一、名前だけ「i(アイ)」だと教えてもらった。

 そうしている間に警察の対応も早く、銀行の周囲は包囲されたようだ。
 緊迫した銀行内で、アスホだけが「i」にきゃぴきゃぴ質問しまくっていた。
 銀行強盗達も「何だ、この娘は……。(-_-;)」といった感じで無視してくれていた。
 その内アスホは質問をやめて鞄を開き、サンドイッチを取り出して食べ始めた。
 当然、横にいる「i」にも「どうぞ」と差し出す。
 腹が減っていたのか、とりあえずパクついた「i」の態度が豹変した。
 どうやら、かなり美味しかったらしい。
 「美味しいでしょ♪ 自家製のイチジクジャムが塗ってあるのよ♪」
 興味津々といった感じでパクつく「i」が可愛く見えた。

 おやつタイムが一段落すると、またアスホの質問タイムが始まった。
 今度は「Yes」「No」に加えて、少しずつ単語で答えてくれた。
 その答えの中、脈絡も無く「DMD」と発した返事で「i」もDMD職員である事を察知した。

 「i」が珍しく、「誰か、警察、知ってる?」と質問してきたので、以前、囮捜査の依頼を受けた北都刑事の名前を出した。
 「i」はヘッドホンのスイッチを入れ、サングラスをかけて空中で指を動かし始めた。
 十数分後、北都刑事を先頭に警察隊が乗り込んできて、銀行強盗達を鎮圧した。
 後で「i」に聞いたのだが、ヘッドホンの無線でWebに接続し、不可視モバイルで銀行の端末に潜入して、警察を誘導したそうだ。
 信頼を得るためにアスホと北都刑事の名前を使用したらしい。

 ちなみに依頼料は銀行なんかの金融機関で扱わなくても、DMD内のシステムで入金&支払いができるそうだ。
 ミズハのヤツ……。( ̄皿 ̄;)



★第8話

 DMD日本支局内。
 ミズハが珍しくアスホの部屋をノックし、返事も聞かずに入ってきた。
 これは大抵の場合、ミズハの食料が尽きた時である。
 と、ミズハが先に来ていた「i」を見て叫ぶ。
 「なぜ、お前がンなトコロに来てんだ? 自分のチームに帰れっ!!」
 「えっ!? アイちゃんは私達のチームじゃないの?」
 最近よく「i」が、お茶しに訪問するようになったので、自分のチームの紹介されていない残りの1人かと思っていたが、違ったようだ。
 ちなみに「i」はミズハの言葉を無視して、新作のイチジクタルトを嬉しそうに食べている。
 「ソレを私にも、よこせーっ!!」
 「i」とミズハがタルトの争奪戦を始めてしまった。

 仕方がないので、タルトの材料を買い出しに行くコトにした。
 二人は残りのタルトを食べながら留守番である。

 買い出しを終えて帰ろうとしていると、見知らぬ老人から道案内を頼まれた。
 へたくそな手描きの地図を見ながら案内すること6時間、途中で絡まれたチンピラグループから逃げたりしたので、陽が沈んだ頃やっとDMD日本支局に帰り付いた。

 自分の部屋に入ると目を潤ませた「i」と、ぶっちょう顔のミズハがいた。
 どうやら心配していてくれたようだ。
 うれしくなったミズハは二人に手作りの夕食をごちそうした。

 ちなみに、あまりに帰りの遅いミズハを心配した「i」と、空腹に耐えきれないミズハが、アスホの足取りを追ってチンピラグループに辿り着き、過剰防衛した事は、チンピラグループの入院費の請求書で知る事となる。(-_-;)

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