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恋する涙腺。コミュの待つよ♪ no.6

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 彼女はよく歌った。真夜中に、電話で。
 か細い声で震えて。
 僕のためだけに。

 クリスマスが恋人達にとってどれだけ大切なのか、僕には分からないけど、彼女には何より大切なものらしい。僕は真夜中の受話器越しに聴こえてくる曲がクリスマスソング一色になることで気が付いた。
「イブは、河野君と過ごしたい」
 彼女はそう呟いた。
 僕は考えた。イブのために彼女が費やす努力と時間について。彼女はきっと前日から眠れず、神経をすり減らし、心の病と闘うのではなかろうか?
 それでも僕は、「いいよ♪」と笑った。

 イブの待ち合わせ場所を、僕のアパートにした。事前に場所を教えて。
 僕はテレビを見たりして、のんびり待つつもりだったのに、彼女は約束の時間に現れた。可哀想に目の下にくまをつくり。
「こんにちは」
 僕が笑うと、彼女はその場に倒れこんだ。
「大丈夫だから」
 背中で息をして、彼女は笑った。
 ベッドに横になり、何度も僕に謝った。
 僕らはケーキと少しだけのワインで、微笑み合えた。
 その夜、何度目かのキスをした。彼女の舌は甘く、抱き寄せた肩は驚くほど、痩せていた。
 それが、僕がここで見た最後の姿。

 

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