各国におけるレコードによるジャズ研究はなかなかさかんで、フランスのホット・クラブをはじめとして英国、欧州各国、オーストラリア、インドなどにおのおの連絡を持つクラブがあり、わが国にも、Hot Club of Japan が存在していることは周知であります。アメリカにおいても United Hot Club of America が活動しております。
《作品と演奏》 ババロア(Babaroa)フランスでできたプディングに似たお菓子で、作者の半間厳一はこのお菓子の持っているミルクと砂糖と香料の作り出す独特な風味と、ほのかな恋愛に通ずるような淡い甘さとを考えて書いたといっております。 馬子歌(Song of Pack-Horse Man)馬子歌はケニー・グラハムの書いた“ハイチ島のお祭り”(HAITIAN RETUAL)を基として川上義彦がそれに日本古来より親しまれている馬子歌のハーモニーをあてはめたものです。“長い道中で雨が降ったならば、おれの涙と思ってくれ”というわびしさをこめて書かれたものです。 エアー・メイル・スペシアル(Air Mail Special) あなたの思い出(Memories of You) ローズ・ルーム(Rose Room) この三曲はいずれもベニー・グッドマンの十八番曲として有名なものです。ことに、いま映画B.G.物語が紹介されてジャズ・ファンの間に大きな関心がもたれているところから、わが国での唯一のB.G.信奉者、鈴木章治がこの三曲をとりあげたものです。演奏中あなたの思い出(Memories of You)は映画におけるB.G.とは全く同じ演奏というジャズ・ファンへのお愛きょう的演奏、他の二曲は、B.G.の編曲を用いてはおりますが、これは徹底したB.G.イミテーションではなく、そこに特有の鈴木章治らしいフィーリングの出ていることを知らねばなりません。いい意味でのイミテートは結果において創作に通ずるものであることを知らされる演奏であります。 マン・イン・ザ・レインコート(The Man In The Raincoat) ある夜海老原啓一郎が題名も聞かされずにラジオで聞いた曲のメランコリックな味がどうしても忘れられなくて思い出しながら書いてみた。それは後になってワーウィック・ウェブスターの作ったこの曲であったわけです。かなり前にヒット・パレードにもランクされて歌われた曲ですが、ハーレム・ノクターン、グリズビーのブルースに通ずるような哀愁のにじみ出た曲で全パートを彼のアルト・サックスが美しい音色で泣いております。
マンボ・デ・フルート(Mambo De Flute) モダーン・ジャズの発展はハーモニーをひろげる理由からいろいろのクラシカルな楽器の登場をうながしましたが、これもそれをとり入れた一つ。アフロ・キューバン色のマンボ・リズムと柔軟なフルートの音色をたくみに対応させたソフィスティケートなムードがききもので、テナー・サックスで抜群の才をしめす松本英彦が、フルートに持ち換えての器用さを見せております。 フー・パークス・ザ・カー?(Who Parks The Car?) 原曲はウパパダ〜Oop・Pop・A・Da!〜でディジー・ギレスピーの当り曲。ここではこのメロディーをそのまま用いて松本英彦と山崎唯のバップ・スキャットで興味ある熱演をくりひろげます。松本はスキャットを歌う途中、自分のハンケチでテナー・サックスを吹くかっこうを見せ大いに聴衆を沸かせております。奇抜なアイディアと訓練をつんだ上での熱演は本コンサート中の白びでありました。 フロア・ショウ(Floor Show) 原曲はカウント・ベイシー楽団の当り曲でしたが、これをピアニストの佐藤愛子はリズム・エンド・ブルース風の編曲に直し、それに原信夫のテナー・サックスを浮き上がらせております。独奏楽器とバックのアンサンブルとの対照もみごとですが、何よりもこの楽団のフレッシュな若さを持った音が聞くものの心をとらえます。