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会社法判例百選コミュの96-100

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96(143)解散判決における業務執行上の著しい難局 百90
東京地判h1.7.18
参考条文:833??「やむを得ない事由」「著しく困難な状況」
■ 株主間に深刻な対立があるときに、株式会社の解散判決を求めることができるか
⇒できる。
事案  デッドロック状態の株式会社の解散可否。
第一審  原告の請求認容
【理由】
被告は、木村家と木島家が半額ずつ出資し、その経営及び利益配分も両家平等という前提で経営されてきた株式会社であるところ、木村家側の代表取締役であった木村倫一郎の死後、木島家側の代表取締役である補助参加人が木村倫一郎の生前に本件係争株式を同人から譲渡されたので木島家側が過半数を有しているとの虚偽の事実を主張して、木村家側を被告の経営からも、また、被告の経営による利益の享受からも排除していることになる。
 ところで、右に認定した事実に弁論の全趣旨を総合すると、原告ら木村家側の木島家側に対する不信は極めて強度なものと認められるので、今後、両者が共同して被告を経営することは到底期待することはできず、木村家側が三万株、木島家側が三万株と、両家が被告の株式を五割ずつ保有している状況の下においては、株主総会における取締役の選任により被告の業務執行の決定機関である取締役会を新たに構成することはできないというべきである(係争事件がすべて解決すれば、木村倫一郎が死亡した時点での役員構成に戻ることになるので、補助参加人が代表取締役の権利義務を、原告木村慎太郎及び木島ケイが取締役の権利義務を有することになる。)。そうすると、前示のように補助参加人が木村家側を排除し、自己の経営する株式会社ウイニングのために恣意的に被告の経営をし、支払不能の状況に陥らせている状況からすれば、被告は、業務の執行上、著しい難局に逢着しており、また、被告に回復することができない損害が生ずるおそれがあることは明らかといわなければならない。
* デッドロックなので2号でなく1号


97 企業買収の基本合意書中の協議禁止条項の効力
最決h16.8.30 情報提供又は協議禁止仮処分決定認可決定に対する保全抗告審の取消決定に対する許可抗告事件
参考条文:民法92条/商法245、374の17、408条(会309?)/民事保全法23条
■ 
事案  1 本件は,Yらが第三者との間でY信託銀行の一定の営業等の第三者への移転等に関する情報提供又は協議を行うことの差止めを求めた仮処分命令の申立てに係る許可抗告事件であり,社会的耳目を集めた事案である。

 2 Xは,Yらとの間で,平成16年5月21日,Y信託銀行の一定の営業等(本件対象営業等)の移転等から成る事業再編及び業務提携(本件協働事業化)に関して基本合意を締結した。本件基本合意書には,各当事者は,第三者との間で本件基本合意の目的と抵触し得る取引等に係る情報提供や協議を行わないものとする旨の条項(本件条項)が設けられていた。
XとYらは,本件基本合意に基づき,基本契約の締結を目指して交渉をしていたが,Yらは,Yらグループの窮状を乗り切るためには,本件基本合意を白紙撤回し,Y信託銀行を含めてAグループと統合する以外に方策はないとの経営判断をするに至り,同年7月14日,Xに対し,本件基本合意の解約を通告するとともに,Aに対し,Y信託銀行の本件対象営業等の移転を含む経営統合の申入れを行った。
そのため,Xは,同月16日,東京地裁に対し,YらがAグループとの間で経営統合に関する協議を開始したことが本件条項所定のXの独占交渉権を侵害するものであると主張して,本件基本合意に基づき,Yらが,第三者との間で,平成18年3月末日までの間,Y2信託銀行の本件対象営業等の第三者への移転等に関する情報提供又は協議を行うことの差止めを求める本件仮処分命令の申立てをした。
第一審 東京地裁は,平成16年7月27日,本件仮処分命令の申立てを認容する決定をした。
これに対し,Yらが異議の申立てをしたが,東京地裁は,同年8月4日,本件仮処分決定を認可する旨の決定をした。
第二審 東京高裁は,XとYらとの間の信頼関係は既に破壊されており,かつ,最終的な合意に向けた協議を誠実に継続することを期待することが不可能となったと理解せざるを得ず,遅くとも審理終結日である同月10日には,本件条項の効力は失われたものと解するのが相当であるなどとして,同月11日,東京地裁の各決定を取り消し,本件仮処分命令の申立てを却下する旨の決定をした。
Yらは,同月12日,Aらとの間で,YらグループとAグループとの経営統合に関する基本合意を締結した。
Xは,東京高裁に対し,抗告許可の申立てをしたところ,同高裁は,同月17日,本件抗告を許可する旨の決定をした。
最高裁  抗告棄却
【理由】
 事業再編に関して交わされた基本合意に基づいて第三者との間で会社の営業の移転等に関する情報提供又は協議を行うことの差止めを求める仮処分命令の申立てについて、債務者が営業移転等の協議等の禁止を定める約定に違反したことにより債権者が被る損害は前記基本合意に基づく最終的な合意が成立するとの期待が侵害されることによるものにとどまり、事後の損害賠償によって償えないものとはいえず、また、最終的合意が成立する可能性も相当低いことなどから、保全の必要性を欠くとした
 (1) 被保全権利について
XとYらが,今後,交渉を重ねても,社会通念上,本件協働事業化に関する最終的な合意が成立する可能性がないと判断されるに至った場合には,本件条項に基づく債務も消滅するものと解されるとした上,本件の事実経緯全般に照らせば,本件条項に基づく債務はいまだ消滅していないものとみるべきである。この点に関する東京高裁の判断は採り得ない。
 もっとも,本件条項に基づく債務が消滅したか否かを論じている(このこと自体には重要な意義がある。)にすぎないのであって,本件条項の効力としてYらが第三者との間でY信託銀行の本件対象営業等の第三者への移転等に関する情報提供又は協議を行うことを差し止める権利まで認められるのか否かについては判断をしていない。
(すなわち,本決定は,本件仮処分命令の申立てに係る被保全権利の存在について,肯定も否定もしていないものと推測される。)
 (2) 保全の必要性について
本件仮処分命令の申立てについて保全の必要性(民事保全法23条2項)を欠く。その判断に当たって,本件仮処分命令が認められた場合に債務者であるYらが被る損害の大きさをしんしゃくした。
* 仮の地位を定める仮処分における保全の必要性の有無を判断するに当たって,従来から仮処分命令により債務者が被る損害をしんしゃくすることができるか否かについては争いがあった。
学説は,仮の地位を定める仮処分における保全の必要性を判断するに当たっては,債務者の損害を考慮すべきであるとする見解が多数であるが,少数説ながら,債務者の損害は,担保によって保証されることなどから,保全の必要性では考慮すべきではないとする見解もあった。
本決定は、斟酌できるとした。
* デューディリジェンスの問題:デューディリジェンス(Due diligence)とは、投資やM&Aなどの取引に際して行われる対象企業についての調査活動をいう。

協議禁止条項の効果?

裁判所に協議の許可を求める

認められた

提携の話が長引きそうであり、その間に何もできないと多大な損害が出るおそれがある場合だった。長く拘束しすぎ。

No-shop条項:他の買収先を探さない。話すのは良い。
No-talk条項:話してもだめ



98 預け合いの意義
最判s42.12.14
1. 資本充実責任の内容
2. 「仮装」の基準
参考条文:965
事案   A会社は増資することにしたが、その新株の引受申込額は予定に満たなかった。そこで、A会社の取締役Y1とその株式払込取扱銀行であるB銀行C支店長Y2は、通謀して不足分の株金の払込を仮装することを企て、その方法として、増資手続き完了直後に直ちに返済する約束の下にC支店からA会社とD取締役個人に貸付が行われた。しかし、上記金員は新株払込金としてC支店のA会社の預金口座に振り替え記載されただけで、実際には金銭の授受はなされておらず、Y2より株式払込保管証明書の交付を受けたY1は所定の増資手続きを完了すると、翌日、直ちに銀行に対してA会社およびD個人の前記借入金を同保管金から返済した。ただ、A会社の仮入れ分は、新株引受人たるA会社の従業員が以前から会社に有していた債権の弁済にあてられており、従業員等はこの弁済金に会社からの貸付金を加えて、本件払込金に充当するという帳簿処理が行われていた。

第一審  有罪。払込金は仮装。
第二審  有罪
最高裁  破棄差戻。
本事例の行為は預け合わせではないとする。その後、原審で審議したかわからないが、当判決でおそらく確定したものと思われる。
【理由】
 思うに、形式的に帳簿上の操作をすることによつて容易に払込の仮装が行われうることにかんがみると、払込が実質的になされたか否かについてはきわめて慎重に審理することを要し、帳簿上の操作に惑わされるべきでないことはもちろんであるが、しかし、株式引受人の会社に対する債権が真実に存在し、かつ会社にこれを弁済する資力がある場合には,右弁護人主張のような態様の払込方法をとつたとしても、資本充実の原則に反するものではなく、株金払込仮装行為とはいえないから、商法四九一条の預合罪および応預合罪にあたらないものと解するのを相当とする。
 記録を調べてみると、本件会社が本件銀行から借り受けた七七〇万円は、会社に対する従業員らの債権六三七万円と今津文治郎の債権約一〇二万五千円の各弁済にあてられ、従業員らおよび今津文治郎は、右弁済を受けた金員に会社からの貸付金を加えて本件払込金にあてる方法によりその払込の一部をなしていることが証拠上うかがわれるので、原審としては、当時従業員らおよび今津文治郎が会社に対して真実右の債権をもつていたかどうか、また会社がその弁済の資力をもつていたかどうかなどの事実を調べたうえ本件を処理すべきであつたのに、これらの事実を確定することなく、本件払込金全額につき預合罪および応預合罪が成立するとして第一審判決を維持したのは、法令の解釈を誤つた結果審理を尽くさなかつたもので、原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものと認める。
【まとめ】
1.  原審は払込直後に借入金を返す行為は資本充実原則に反するとする。しかし、それは当然の行動。また、全額払込主義の下では一切の返済をできないとするのは酷。個人借主であるY1には保証人がいる。さらに、払込人からの相殺は禁じられているが、会社側からの場合は認められている。よって、本事例のY1の行為は資本充実責任に反しない。
2.  両者間に、「払込金を使って、借入金をすぐ返す」という合意はない。また、預合いの合意もない。さらに、原審が仮装合意と認めた事実は「なるべくはやく返す」という程度のもの。よって、仮装はなかった。

学説の状況
1 会社法965条の預け合い罪の構成要件としての、発起人・払込取扱銀行間の通謀の要否、その仮装払込の内容・範囲
学説 内容 根拠 批判
1 発起人・取締役がなす一切の払込仮装行為をいい、通謀を要しない 客観的に判断できる 刑罰規定をむやみに拡大して解釈するのは、刑罰規定厳格解釈の原則からして妥当でない
2 少なくとも発起人・取締役は払込を仮装するために払込取扱銀行の役職員と通謀することを要する 外見からは容易に判断できないので、主観的要素から判断すべき  
3 銀行との間に通謀があればよい 2説をより厳格にしたもの 預金の引き出し制限まで預け合いと考えるので、厳しすぎ、現実的でない

2 仮装払込かどうかの判断基準
? 株式引受人の会社に対する債権の存在
? 会社の弁済資力
* 預合により生じた弊害については、発起人や取締役に対して損害賠償請求していくしかない。

* 従業員への貸付はなかったのではないか?



99 見せ金と公正証書原本不実記載罪 アイデン
最決h3.2.28 公正証書原本不実記載罪および同行使罪、詐欺罪
参考条文:911??、
■ 見せ金にあたるか。
■ 見せ金による払込の効力。
事案  本件は、二部上場会社であった株式会社アイデンの倒産に至る過程で起こった見せ金による増資について公正証書原本不実記載罪の成立が認められた事案である。
アイデンは、官公庁に照明関係器具を納入していた優良会社であったが、石油ショックによる需要の後退を契機として経営に行き詰まり、その子会社のアイデン商事ともども多額の債務を負い、倒産の危機に陥った。そこで最後の手段として、アイデンの社長の被告人Y及び常務取締役の被告人Wらは、第三者割当増資の方法により新株を発行して、返済資金の導入を図った。
しかし、払込み期日の直前になって、業界紙にこの増資を疑問視する記事が出たため、一部の内定していた割当て先が引受けを辞退した。そこで、発行総株式数一二八〇万株(三二億円)のうち六四〇万株(一六億円)について、割当て先きがないことになり、二部上場会社が増資に失敗すれば、直ちに倒産に結びつくことから、何とかしてこの穴を埋める必要が生じた。
そこで、判示されている次の四つの方法で払込みが行われた。すなわち、(1) アイデン商事がアイデン振出の手形の割引金をアイデンから借り、(2) 東洋電子工業がアイデンの連帯保証の下に金融業のアイチから金を借り、(3)アイデン商事がアイデンの通知預金を担保にアイチの社長である一審相被告人M個人から金を借り、(4) アイデン商事が銀行保証の下に保険会社から金を借り、それぞれ払込みをしたのである。(1)ないし(3)については、払込み後直ちに払込金は払い戻され、手形の決済や借入金への返済に充てられ、(4)については、払込金が定期預金に振り替えられ、それに連帯保証人である銀行のための質権が設定された。要するに、払込みの体裁は整えられたが、アイデンの手元には資金が残らないか、定期預金として残っても質権が設定され自由に処分できない状態にあった。
第一審  公正証書原本不実記載罪および同行使罪
第二審  同上
最高裁 上告棄却。1,2審と同様、公正証書原本不実記載罪・同行使罪の成立を認める。
【理由】
 前記認定によれば、右1ないし3の各払込みは、いずれもアイデンの主導の下に行われ、当初から真実の株式の払込みとして会社資金を確保させる意図はなく、名目的な引受人がアイデン自身あるいは他から短期間借り入れた金員をもって単に払込みの外形を整えた後、アイデンにおいて直ちに右払込金を払い戻し、貸付資金捻出のために使用した手形の決済あるいは借入金への代位弁済に充てたものであり、右4の払込みも、同様の意図に基づく仮装の払込みであって、アイデン名義の定期預金債権が成立したとはいえ、これに質権が設定されたため、アイデン商事が富士火災海上保険に対する借入金債務を弁済しない限り、アイデンにおいてこれを会社資金として使用することができない状態にあったものであるというのであるから、1ないし4の各払込みは、いずれも株式の払込みとしての効力を有しないものといわなければならない(最高裁昭和三五年(オ)第一一五四号同三八年一二月六日第二小法廷判決・民集一七巻一二号一六三三頁参照)。
もっとも、本件の場合、アイデンが東洋電子工業に対する一〇億円及びアイデン商事に対する五億円の各債権並びに一億円の定期預金債権を有している点で典型的ないわゆる見せ金による払込みの場合とは異なるが、右各債権は、当時実質的には全く名目的な債権であったとみるべきであり、また、右定期預金債権は、これに質権が設定されているところ、アイデン商事において富士火災海上保険に債務を弁済する能力がなかったのであるから、これまたアイデンの実質的な資産であると評価することができないものである。
したがって、公正証書原本不実記載の罪の成立を認めた原判決の判断は正当である。
【まとめ】
1 見せ金にあたる。見せ金とは、発起人が払込取扱金融機関以外のものから借り入れた金銭を株式の払い込みに当て、会社成立後にこれを引き出して借入金の返済にあてることをいう(シケタイの定義)。判例内の事案1〜3の払込(百選より)会社資本を確保させる意図なく、代物弁済にあてただけ。4の払込は会社財産として使用できない状態。また、Z2(百選より)に弁済能力がない。(弁済能力がポイントではないだろうか?)
2 いづれも株式払込として効力を有しない。第一審判決によれば、債務者であるT1等には債務返済能力がないから、各債権はZ1の実質的な資産とはいえず、したがって本件払込が効力を有しないとしており、最決も同様に解しているものと思われる。
3 見せ金かどうかの判断基準は、最判s38を引用。


(学説)
・無効説 会社の資本確保重視。
効果)?取締役全員は無過失で引受担保責任を連帯する。?悪意の払込取扱金融機関の責任を追及できる。?変更登記の申請は公正証書原本不実記載罪となる。
・ 有効説 取引の安全重視か?
効果)?会社は取締役に対して任務懈怠に基づく損害賠償請求できる。?共謀があれば払込取扱金融機関の責任を追求できる。?取締役に横領罪、背任罪、特別背任罪成立の余地あり。
(参考)
最高裁昭和38年判決
発起人が払込取扱銀行から払込資金を借入れて、その全額を一括して払い込み、会社成立後払込金を引出して返済したという事案について、「当初から真実の株式の払込として会社資産を確保するの意図なく、一時的の借入金を以って単に払込の外形を整え、株式会社成立後の手続後直ちに右払込金を払い戻してこれを借入先に返済する場合のごときは、右会社の営業資金はなんら確保されたことにならないのであって、かかる払込は、単に外見上株式払込の形式こそ備えるが、実質的には到底払込があったものとは解しえず、払込としての効力を有しない」・・として見せ金と認定した。
最判s44.1.31
上告人会社の株主である被上告人らが、上告人会社に対して、代表取締役、取締役、監査役らの選任および決算報告承認の各決議を行った臨時株主総会が違法であるとして、各決議の無効確認等を求めて提訴した事案の上告審において、被上告人らの請求によって、本件臨時株主総会前に、裁判所が株主総会招集許可決定をしているから、上告人会社の招集した本件臨時株主総会は招集権なき者の招集した総会であり、決議は法律上存在しないと認定して決議無効確認を認めた原審の判断を支持し、見せ金による払い込みによる株主であっても決議無効確認の訴えを提起することができる等と判示して、上告を棄却した事例。

最判s35.6.21



100(47)総会屋に対する贈収賄罪の成立 東洋電機カラーテレビ事件
最決s44.10.16
参考条文:968
■ 会社役員等が経営上の不正や失策の追及を免れるために、株主総会における公正な発言または公正な議決権の行使を妨げることを株主に依頼して、これに財産上の利益を供与することは「不正の請託」(会社968)にあたるか。
⇒あたる。
事案  
第一審  総会屋は無罪
 総会屋を、協力型と荒らし型とに分け、前者には本規定は適用がないとした。
第二審  有罪
 前記の類型はいづれも不当な個人的利益を追求するものであり、両方とも適用があるとした。
最高裁  上告棄却。有罪
【理由】
株主は個人的利益のため株式を有しているにしても、株式会社自体は株主とは異なる別個の存在として独自の利益を有するものであるから、株式会社の利益を擁護し、それが侵害されないためには、株主総会において株主による討議が公正に行なわれ、決議が公正に成立すべきことが要請されるのである。
したがつて、会社役員等が経営上の不正や失策の追及を免れるため、株主総会における公正な発言または公正な議決権の行使を妨げることを株主に依頼してこれに財産上の利益を供与することは、商法四九四条にいう「不正の請託」に該当するものと解すべきである。
【あてはめ】
本件において、原判決認定のごとく、株式会社の役員に会社の新製品開発に関する経営上の失策があり、来るべき株主総会において株主からその責任追求が行なわれることが予想されているときに、右会社の役員が、いわゆる総会屋たる株主またはその代理人に報酬を与え、総会の席上他の一般株主の発言を押えて、議案を会社原案のとおり成立させるよう議事進行をはかることを依頼することは、右法条の「不正の請託」にあたるとした原判断は相当である。
* 原審では、株主権の行使の公正保持を重視したのに対し、最高裁は株主と別個独立の利益主体である株式会社の利益の擁護を重視した。そのため、不正目的が重視され、手段の不公正性にはなんら言及されないこととなり、本条の適用範囲が狭められることとなった。
* 総会屋だから犯罪を成立させた特殊事例。

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