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会社法判例百選コミュの91-95

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91(133)社債権者の単独償還請求 箱根土地事件
大審院s3.11.28
参考条文:705?、担信(担保付社債信託法)69
■ 社債管理会社による権利行使のみに限られ、社債権者の個別的な権利行使はできないか

事案  
第一審  原告の請求認容
単独償還請求を認めた
第二審  被告の控訴棄却
単独償還請求を認めた
最高裁  被告の上告棄却。単独請求認める。
【理由】
担保附社債信託法ノ規定ハ、信託契約ニ基ク物上担保権ノ保存実行ニ依リ社債ノ募集償還ヲ容易且確実ナラシムルコトヲ主眼トシ、同法中社債ノ実体ニ関スル規定ヲ欠クヲ以テ社債権自体ハ原則トシテ民法商法ノ規定ノ適用ヲ受クヘキモノニシテ、担保附社債権者ト雖担保ニ関スル事項ヲ除キテハ、債権者トシテ其ノ権利ヲ行使スルニ付制限ヲ受クルモノニ非ス。
従テ、債務者タル委託会社ニ対シ債権者トシテ単独ニ社債ノ償還ヲ請求シ得ヘキモノトス。担保附社債券ハ、委託会社ト受託会社トノ間ニ成立シタル信託契約ニ基キテ発行セラレ、之ヲ取得シタル社債権者ハ総テ右信託契約ノ受益者ナルコト疑ナク受託会社ハ総社債権者ノ為ニ担保権ヲ保存シ、且実行シ、総社債権者ヲシテ担保ノ利益ヲ享受セシムル義務ヲ負ヒ、総社債権者ハ共同スルニ非サレハ、受託会社ヲシテ担保権ノ保存実行ヲ為サシムル権利ヲ有セサルコト担保附社債信託法ノ規定ニ徴シ明白ナルモ、是レ担保ニ関スルモノナリ。
社債権者カ敢テ担保権実行ヲ為スニ非スシテ、単ニ弁済ヲ求ムルニ当リテハ単独ニ其ノ権利ヲ行使スルノ妨トナルモノニ非ス、又受託会社ハ信託契約上特別ノ委任ニ依リ社債ノ募集ニ関スル一切ノ手続ヲ為シタル場合ニハ、自ラ社債ノ償還及利息ノ支払ニ関スル一切ノ行為ヲ為シ得ヘク(担保附社債信託法第二十三条)、信託契約ニ禁止セサル限リハ、総社債権者ニ代ハリテ債権ヲ取立ツルコトヲ得ヘク(同法第八十四条)、社債権者集会ノ決議ヲ経テ訴訟行為又ハ破産手続ニ属スル行為並総社債ニ付支払ヲ猶予シ不履行ニ因リテ生シタル責任ヲ免除シ又ハ和解ヲ為シ得ヘシ(同法第八十六条第八十五条)ト雖、此等ノ規定ハ受託会社カ信託契約上ノ受信者タル地位ニ附随シテ便宜上委託会社若ハ社債権者ニ代リテ、受託会社ノ為シ得ヘキ権能ヲ定メタルモノニシテ、之ヲ以テ社債権者各自カ個有ノ権利ヲ行使スルニ付共同スルコトヲ必要トシ、訴訟行為ニ出ツルコトヲ禁止シタル趣旨ト解スヘキニ非サレハ論旨ハ理由ナシ

参考社債(金融債)を受働債権とする相殺の可否 長銀三洋証券事件
最判h15.2.21
事案 破産会社Aが長期信用銀行である上告人と銀行取引約定を締結する一方、上告人発行の金融債を購入していた場合において、Aの管財人である被上告人が上告人に対し、同金融債の償還等を求めところ、これに対して上告人がAに対する貸付金と相殺したことにより同償還請求権は消滅したと主張した事案
第一審 原告の請求棄却
第二審 原告の控訴認容
【理由】
社債について相殺ができるとすることによって、1つの社債が他の社債と異なる性質を持つものになることを容認することになって、大量性、集団性、公衆性という社債の本来の性質に反することになり、ひいては社債権者の団体的保護を害する結果となるから、社債の一種である金融債の償還請求権を受働債権とする相殺の意思表示は、償還期限の到来の前後にかかわらず、許されない
本件約定の中に、社債の償還請求権を受働債権として発行会社が相殺をすることができる旨の定めがあるとすれば、その約定は公序に反し、無効であり、本件相殺の効力は認められない
最高裁 破棄自判。相殺は有効。
【理由】
相殺の受働債権が金融債の償還請求権であることをもって、相殺ができないとする理由はないというべきである(最高裁平成10年(オ)第730号同13年12月18日第三小法廷判決・裁判集民事204号157頁参照)。
受働債権が金融債の償還請求権である場合に、相殺が許されない根拠として、原審の判示する理由は、いずれも相殺を否定すべき根拠となり得るものとはいえない。そうだとすると、上告人発行の金融債の償還請求権を受働債権として相殺ができる旨の本件約定の中の定めが公序に反して無効であるということはできず、他に本件相殺を無効とすべき事情もうかがわれない。
したがって、本件相殺は有効というべきであり、論旨は理由がある。
* 貸付債権を自働債権とし、貸付先の保有する自行発行の金融債を受働債権として相殺するには、当該金融債券の占有を要しない、とした判例(最判h13.12.18)。
* 商法には社債による相殺を禁止する規定はない。民法については、505?但があるが、社債は証券を発行しない登録債であり、その移転は登録がなければ第三者に対抗できず、社債を受働債券として相殺しても二重払いの危険はない。また、無記名債券については抗弁権の制限について民法473、472が適用される結果、善意の第三者取得者に対して社債発行会社は支払いを免れることができず、相殺を認めても取引の安全も害されることはない。善意の第三者が取得した後に自働債権を取得したとしても、相殺を主張することができなくなる。
このように、最判の判断に従っても不都合はない。



組織再編企業買収解散
92(36)重要財産の譲渡と特別決議 富士林産工業事件 百71
最判s40.9.22
参考条文:467?、309?、21
■ 「事業譲渡」(467?、?)の意義
⇒組織的有機的一体的機能を有する財産+営業活動を受け継がせる+業業避止義務を負う
事案  原告は、会社財産の一部を被告に賃貸し、いつでも返還する旨約定していたが、返還請求をしたにもかかわらず被告が返還しないため、本件物件の明渡請求と損害賠償請求をした。
 これに対して、被告が本件財産は買い受けたものであるとして、売買契約と所有権の確認を求めたもの。
第一審  原告の請求棄却
第二審  原告の控訴棄却
最高裁 論旨理由なし。原告(株主)の敗訴。株主総会の特別決議不要な場合である。本件財産の譲渡は有効。
【理由】
 商法二四五条一項一号(会社467??、?、309??)によつて特別決議を経ることを必要とする営業の譲渡とは、同法二四条以下にいう営業の譲渡と同一意義であつて、営業そのものの全部または重要な一部を譲渡すること、詳言すれば、一定の営業目的のため組織化され、有機的一体として機能する財産(得意先関係等の経済的価値のある事実関係を含む。)の全部または重要な一部を譲渡し、これによつて、譲渡会社がその財産によつて営んでいた営業的活動の全部または重要な一部を譲受人に受け継がせ、譲渡会社がその譲渡の限度に応じ法律上当然に同法二五条に定める競業避止義務を負う結果を伴うものをいうものと解するのが相当である。
 所論は、要するに、右判示のような見解を採るときは、譲渡会社またはその株主の利益が害される危険があることを力説した上、営業の譲渡とは、いわゆる機能的財産の移転を目的とする契約であり、営業が譲受人に移転し受継されるのを通例とするが、必ずしもそのように狭く解すべきではなく、かかる機能的財産を構成している重要な営業用財産が一括して譲渡され、その結果譲渡会社の運命に重大な影響を及ぼすような場合、たとえば譲渡会社がその結果営業を遂行できなくなるような場合において、当事者がその結果を予見しているときは、いわゆる狭義の「営業譲渡」の場合に準じて、当該会社の株主総会の特別決議を要するものと解するのが相当である、というにある。
 しかしながら、商法二四五条一項一号の規定の制定およびその改正の経緯に照しても、右法条に営業の譲渡という文言が採用されているのは、商法総則における既定概念であり、その内容も比較的に明らかな右文言を用いることによつて、譲渡会社がする単なる営業用財産の譲渡ではなく、それよりも重要である営業の譲渡に該当するものについて規制を加えることとし、併せて法律関係の明確性と取引の安全を企図しているものと理解される。前示所論のように解することは、明らかに前示法条の文理に反し、法解釈の統一性、安定性を害するばかりでなく、その譲渡が無効であるかどうかが、譲渡の相手方または第三者にとつては必ずしも詳らかにしえない譲渡会社の内部的事情によつて左右される結果を認めることとなり、前判示のように解する場合に比較して、法律関係の明確性ないし取引の安全を害するおそれも多く、右所論のような拡張解釈は、法解釈の限度を逸脱するものというほかはない。

【反対意見】株主の保護、静的安全を重視している。
商法二四五条一項一号の「営業譲渡」を商法二四条以下の営業譲渡と必ずしも同一に解しなければならないものではない。・・・
 多数意見は、株主保護の点より見ても、到底是認し得ない。けだし、多数意見によるときは、営業的活動の承継のない限り、会社の全財産の譲渡も株主総会の決議を経ることを要しないから、譲渡会社の株主の全く不知の間に、その処分が行われ得ることとなるからである。そして、その結果として、商法二四五条一項一号の営業譲渡に反対する株主の有する株式の買取請求権(商法二四五ノ二)のごときも、著しくその機能を失うこととなるのである。・・・
 (二) 次に、前記法条の「営業の重要なる一部の譲渡」の場合における「重要」という点について述べたい。・・・
 いうまでもなく、営業は単なる個々的財産の集合ではなく、営業の目的のために組織化されて有機的一体をなす財産であり、従つて、それを構成する個々的財産の価値の総和よりも高い価値を有するものである。営業譲渡とは、かかる有機的一体としての価値を有する財産の譲渡を意味する。このことは、営業の全部の譲渡のときでも、その重要な一部の譲渡のときでも同様である。そして、たとえば、製造業を営む株式会社が数個の工場を有する場合、その会社企業全体の見地よりする価値判断において「重要」と認められる工場を譲渡することは,まさに「営業の重要なる一部」の譲渡である。問題となるのは、その工場における重要な機械を他に譲渡することをいかに解すべきかということである。
 思うに、その機械がその重要工場の機能を発揮するため、きわめて重要性を有するものであれば、その機械の譲渡は、決して一個の機械の譲渡と解すべきものでなく、実質上、その譲渡はその工場自体の価値ー工場が有機的のものとして有する高度の価値ーを破壊することとなろう。すなわち、会社の見地よりすれば、その機械の譲渡によつて蒙る価値の変動は、その機械のすえつけられている工場自体の譲渡によつて蒙る価値の変動と異ならないものといい得るのである(その機械の売却は、その企業の製品の売却とは全く趣を異にする。)。そしてこのように解することによつて、会社企業は維持され、また株主の利益も保護されるのである。この見地に立つとき、重要工場の重要な機械の譲渡は、代表取締役の専権に委ねられたものでなく、その譲渡には株主総会の特別決議を要すると解することが、むしろ当然であると思われるのである。 ・・・
(三) ・・・多数意見は「営業的活動の承継」の有無を基準とすることが、「取引の安全」に資すると主張する・・・
 思うに、株式会社は、その営業上の商取引(たとえば製品たる商品の売買)においては、相手方保護のため、取引の安全が強く要請されるべきことは当然である。しかしながら、会社の営業自体は、本来、譲渡されることを目的とするものではなく、その譲渡は、むしろ、例外的な事例である。従つて、その譲渡については、商取引におけるがごとき取引の安全を強調すべきでなく、却つて譲渡会社自体の利益の保護を高度に考えなければならないのである。いわば、動的安全よりも静的安全を重視すべきものといえよう。
* 「一定の営業目的のため組織化され、有機的一体として機能する財産」とあるように、単なる会社財産ではダメ。営業に必要なもの。
* 事業譲渡の要件
?組織化された有機的一体な財産
?営業的活動の承継がある
?競業避止義務の発生
* 当時は営業(事業)譲渡が会社法と商法総則に分かれていた。



93(136)合併発表後に取得した株式の買い取り価額
横河北辰電気事件
東京地判決s59.10.11
参考条文:785
■ 合併計画の公表後に株式を取得した者に株式買取請求権は認められるか
⇒法律に否定する文言なく、認められる。
■ その場合の株式の買取価格
⇒合併計画公表後に取得した株主の場合は、「合併を前提として形成される市場価格によるべきであり、また取得時の価格をこえることはない」
事案  
第一審  買い取り価格を1株238円に決定
【理由】
 そこで本件株式の買取価格について検討を加えるに、商法四〇八条ノ三第一項によれば,右価格の決定基準は、「承認ノ決議ナカリセバ其ノ有スベカリシ公正ナル価格」とされており、その趣旨は、通常合併承認決議の影響を受けることなくして形成されたと想定される合併承認決議当日の交換価格をいうものと解せられる。
しかしながら、商法が同条で合併承認決議に反対する株主に買取請求権を認めているのは、会社合併の場合に、相手方会社の内容、合併条件などによつて不利益を被るおそれがある少数株主について、経済的な救済方法を図るためのものであるから、本来合併計画の公表後に、右事実を知りながら新たに株式を取得して株主となつたような者については、右のような救済方法を当然には顧慮する必要がないというべきである。
したがつて、このような株主について買取価格を決定するにあたつては、商法四〇八条ノ三第一項の規定が直ちに適用されるのではなく、むしろ右規定の趣旨を鑑みて、その価格は、合併を前提として形成される市場価格によるべきであり、また取得時の価格をこえることはないものと解すべきである(けだしこのような株主になお同条の適用であるとするなら、不当な利益を与えることがありうるからである。)。
第二審  原告の抗告棄却



94(137)合併比率の不公正と合併無効事由 三井物産・物産不動産事件
東京高判h2.1.31
参考条文:794?、828??
■ 合併に際してはいかなる貸借対照表が株主の閲覧に供されるべきか。
⇒原則として直近ないし最終の賃借対照表。
■ 合併比率が不公正であることは合併の効力に影響を与えるか
⇒与えない。株式買取請求権があるから。
事案  三井物産が子会社である物産不動産と合併しようとした際に、1対1の合併比率としたが、それが著しく不当かつ不公正であるとして、三井物産の株主が合併無効の訴えを提起した。
第一審  原告の請求棄却
第二審  原告の控訴棄却
【理由】
(三)次に、原告は、被告が物産不動産の本件増資及び評価替後の貸借対照表を作成し本店に備え置かなかったことは商法四〇八条の二の規定に違反する旨主張するので考えるに、商法四〇八条の二は、会社は合併契約書承認総会の二週間前から自社及び合併の相手方会社の貸借対照表を本店に備え置くべきこと並びに株主及び会社債権者の閲覧請求権及び謄本・抄本交付請求権を規定しているところ、この貸借対照表は、直近ないし最終の貸借対照表でなければならないが、とくに改めて作成しなければならないものではなく、通常は前期の決算貸借対照表で足りると解される。もっとも、決算期後合併契約書作成までの間に、合併条件に影響を与える重要な財産の変動があった場合には、計算書の添付や注記等によってこれを明示しなければならないというべきである。
・・・
(一)まず、原告は、合併比率が著しく不当かつ不公正であることが合併無効事由に該当すると主張するが、合併比率が不当であるとしても、合併契約の承認決議に反対した株主は、会社に対し、株式買取請求権を行使できるのであるから、これに鑑みると、合併比率の不当又は不公正ということ自体が合併無効事由になるものではないというべきである。
(二)次に、原告は、本件承認決議は特別利害関係人が議決権を行使したため著しく不当な合併比率の合併契約書の承認をしたものであるから、決議取消事由がある旨主張する。まず、本件合併における合併比率が、著しく不当であるかどうかであるが、一般に、合併比率は両合併当事会社の株式の価値に照応して定められるべきところ、この株式の価値の算定は、会社の資産状態、収益性、配当率、業種・規模・将来の事業の見通し等の諸事情を斟酌して行われるものであって、上場会社の株式の場合は市場価格が重要な基準とされ、非上場会社の場合には市場価格が形成されていないため、いわゆる純資産価額方式、類似業種比準方式、収益還元方式及び配当還元方式等の種々存在する算定方式の中から、当該会社の諸事情を勘案して、一方式を採用して算定し又は複数の方式を併用して算定されることとなる。そして、各合併当事会社の株式の価値及びそれに照応する合併比率は、このように多くの事情を勘案して種々の方式によって算定されうるのであるから、厳密に客観的正確性をもって唯一の数値とは確定しえず、微妙な企業価値の測定として許される範囲を超えない限り、著しく不当とは言えないこととなる。
ところで、原告は、本件合併の合併比率が著しく不当であるとして、
1合併当事会社の各貸借対照表上の簿価に基づいて両社の一株当たりの純資産額を算出して比較する方法
2同各貸借対照表に基づいて両社の一株当たりの利益を算出して比較する方法・・・
3物産不動産の株価を同社と類似性の強い上場会社の株式価額と一株当たりの利益を基準に比較して算出し、これと被告の株式の市場価額を比較する方法
によって各試算すれば、本件合併の合併比率は物産不動産の株式二ないし九株に対し被告の株式一株の割合とすべき旨主張しているが、これらの方法のうち、1及び2の方法は上場会社である被告の株式の価値と非上場会社である物産不動産の株式の価値をそれぞれ適切な方法によって算出するという過程を踏んでおらず失当であり、また、3の方法は、算定方式自体は一般に合理的とされるものではあるものの、それが合理性をもつためには同種業種の会社数社の比較が必要であるのに、単に比較会社を一社採用したに過ぎないものであり、これらの面からみても、直ちに、本件合併の合併比率の一対一が著しく不当ないし不公正であるということはできない。
最高裁 原告の上告棄却
* 「著しく不当な合併比率」の判断は困難。
* 決議取り消しの訴えと合併無効の訴えの関係⇒まず、決議取消。それがだめなら、そのうちに合併されたら合併無効。
* 百選解説は、会社法になって合併対価の柔軟化を認めており、そこからすると消滅会社の株主は経済的な平等の確保くらいしか保障されないこととなろう、とのこと。
* 合併比率の不公正は合併無効とならない。というより、不公正合併比率といえる比率とはどのくらいなのかの判断が難しい。



95債務の履行の見込みと会社分割無効事由 グルーヴ事件
名古屋地判h16.10.29 会社分割無効確認請求
参考条文:803、施行規則205?
■ 債務の履行の見込みの存否と会社分割の有効性
⇒分割に当たって、債務履行の可能性がないといけない。これがないと、重大な瑕疵にあたり、無効事由となる。本件では、証拠より、債務履行の可能性はなかった。
(これ以外に、?分割計画書どおりの債務の承継が行われたか、?債権者保護手続の瑕疵、?株式買取り請求権の侵害の有無、という争点があるが、判断されなかった。
事案   本件は、被告株式会社グルーヴコーポレーション(以下「被告グルーヴコーポレーション」という。)の株主であり、債権者でもある第一事件原告株式会社ユーエフジェイ銀行(以下「原告ユーエフジェイ」という。)及び第二事件原告株式会社愛知銀行(以下「原告愛知銀行」という。)が、被告グルーヴコーポレーションが被告株式会社ケングルーヴ(以下「被告ケングルーヴ」という。)を設立し、被告グルーヴコーポレーションの映像ソフト卸売部門の営業全部を被告ケングルーヴに承継させてなされた会社分割が、債務の履行の見込みがないのに行われた等の理由により無効であると主張して、同会社分割の無効確認を求めた事案である。
第一審  請求認容。会社分割は無効。
【理由】
商法三七四条の二第一項三号には、分割会社が本店に備え置くべき書類として「各会社の負担すべき債務の履行の見込みあること及びその理由を記載したる書面」が挙げられているが、同規定は、形式的にかかる書面の作成、備え置き義務を定めているにとどまらず、分割会社が負っていた債務を分割計画書の記載に従って新設会社が承継する場合においても、分割会社が同債務を負う場合においても、その履行の見込みがない限り、会社分割を行うことができないことを定めているものと解される。
 そして、同規定の趣旨が会社債権者の保護にあることからすると、この債務履行の見込みは、分割計画書の作成時点、分割計画書の本店備え置き時点、分割計画書の承認のための株主総会の各時点だけ存すればよいのではなく、会社分割時においてこれが存することを要するものと解するのが相当である。また、債務の履行の見込みは、各会社が負担する個々の債務につき、その弁済期における支払について存在することを要すると解される。

(4)以上の次第で、債務の履行の見込みは分割計画書の作成時点、分割計画書の本店備え置き時点、分割計画書の承認のための株主総会、会社分割時のいずれの時点においても存在しなかったと認められるから、本件分割には無効事由が存する。
二 よって、原告らの請求はその余の点について判断するまでもなく理由がある。
* 現在は、会規205?で債権者異議手続によることになっている。無効の主張は許されなくなった。
* x1らは異議手続できる会社債権者に含まれない。しかし、無効確認ダメ

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