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会社法判例百選コミュの86-90

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86(141)係争中の債権者と知れている債権者 本件は減資事案
大審院s7.4.30
参考条文:449
■ 会社と係争中の債権者は、会社法449?にいう「知れている」債権者にあたるか
⇒あたる。催告をしなければならない。
事案   上告会社(被控訴人、原告)請求ノ要旨ハ、上告会社ハ、被上告会社ニ対シ確定判決ニ基ク元金、遅延利息合計10万9317円21銭ノ債権ヲ有スルモノナル処、被上告会社ハ、其ノ知レタル債権者タル上告会社ニ対シ、何等ノ催告ヲ為スコトナク、昭和4年10月28日其ノ資本総額120万円ヲ60万円ニ減資シ同年同月31日之カ登記ヲ経タリ。
 然レトモ、被上告会社ノ為シタル右ノ資本減少ハ、上告会社ニ対抗スルコトヲ得サルモノナルニ付、之カ無効ノ確認ヲ求ムト云フニ在リ 。
 被上告会社(控訴人、被告)ハ、上告会社主張ノ債権ノ存在及被上告会社カ上告会社主張ノ如キ資本減少ヲ為シタル事実ヲ認メ、上告会社主張ノ債権ハ昭和五年二月五日上告審ニ於テ上告棄却ノ判決言渡ヲ受ケ、初メテ確定シタルモノナリ。
 抑、債権ノ原因数額ニ付未タ繋争中ニシテ、ソノ判決未確定ナル債権ヲ主張スル者ノ如キハ、商法第七十八条第八十条ニ所謂知レタル債権者ニ非ス。被上告会社ノ資本減少ハ昭和四年中即上告会社ノ有スル債権ノ確定前ニ属スルヲ以テ、上告会社ハ前示法条ノ知レタル債権者ニ該当セスト答弁シタリ 。
第一審  原告の請求認容
第二審  被告の控訴認容
最高裁  破棄差し戻し。
【「知レタル債権者」→だいたいわかればよい】
 按スルニ、株式会社ニ準用セラルル商法第七十八条第八十条ニ所謂知レタル債権者トハ債権者ノ何人タルヤ又其ノ債権ハ如何ナル原因ニ基ク如何ナル請求権ナリヤノ大体カ会社ニ知レ居レル場合ノ債権者ヲ謂ヘルモノニシテ、而シテ、其ノ会社ニ知レ居レリヤ否ハ、個々ノ場合ニ於テ諸般ノ事情ヲ審査シタル上決スヘキ事実問題ニ属スルモノトス。
 然レハ、縦令(たとえ)会社カ他人ヨリ起サレタル請求訴訟ニ於テ其ノ主張スル債権ノ存在ヲ争ヘリトテ、必シモ会社敗訴ノ判決確定スルニ至ル迄ノ間ハ其ノ債権者ヲ以テ所謂知レタル債権者ニ該当セサルモノト為スコトヲ要スルモノニ非スシテ、尚ホ未タ訴訟ノ繋属中ト雖、事件ノ経過既ニ表ハレタル訴訟資料其ノ他種々ノ事情ヲ調査シタル上、其ノ債権者ヲ以テ所謂知レタル債権者ニ該当スルモノト認定スルコトヲ妨ケサルモノトス。
 蓋シ、会社カ訴訟ニ於テ債権者ノ債権ヲ争フハ、其ノ不存在ヲ確信セルニ因ルコトモアリ得ヘシト雖モ、又之ト同時ニ債権者ノ債権ハ、大体之ヲ知レルモ、其ノ精確ナル範囲数額ハ裁判所ノ判定ヲ待ツニ非サレハ知リ得ストシ、之ヲ争ヘルコトモアリ得ヘク、又債権者ノ請求ノ正当ナルコトハ十分ニ之ヲ知悉セルモ、弁済資金ノ缺乏其ノ他ノ事情アリテ争フコトモアリ得ヘキコトニシテ、一概ニ云フコトヲ得サレハナリ。
* 会社法449条の趣旨は、資本不変の原則にある。資本金という枠をみだりに減少させてはいけないというものである。このような資本金の減少をさせるのには、厳格な手続きを経た場合に認められる。それは、公告と異議を述べるなら述べよと「知れたる債権者」に対して催告をすることである。本判決では、この「知れたる債権者」に会社と係争中の債権者も含まれるとした。
* 減資以外の場合では、手続きが省略される可能性がある。
* 官報他への公告でよい。



持分会社
87(149)同時退社申し出と総社員の同意 平川食品事件
最判s40.11.11
参考条文:607??
■ 合資会社の社員数名が同時退社の申出をした総社員の同意には、各退社申出者ごとにその者除くほかのすべての社員同意が必要か。
⇒すべての社員。退社申出者を除く全員。
事案  X会社はAらのものであったが、これをD、Eに譲渡することになった。
 このときに、Aへの持分に付き相当額が支払われたにもかかわらず、X社所有土地登記が移転された。そのため、X社が移転登記請求をしたもの。
第一審  原告の請求棄却
第二審  原告の控訴棄却
最高裁  破棄差戻
【理由】
原判決は、合資会社の社員数名が同時に退社する場合においては、残留する総社員の同意があれば足り、退社員相互間の同意までは要しないとの見解をもつて右熊次郎ら三名の退社を有効としているが、退社申出をした社員も退社の効力を生ずるまでは社員たるの地位にあるのであるから、定款をもつて、総社員の同意に代え、社員の過半数の同意によつて退社できる旨規定したような場合を除き、数人が同時に退社の申出をした場合においても、その退社には各退社申出者自身を除く他のすべての社員の同意を要し、すなわち総社員の同意を要するものと解することが、組合的結合である合資会社の本質に合致するものというべきであり、また、退社後も会社債務について一定の責任(商法一四七条、九三条参照)を負わねばならない各退社員としては、自己と同時に退社する者が誰であるか、逆にいえばいかなる者が残留して、会社の企業維持経営に当たることになるかについて、具体的な利害関係を有するから、同時退社の申出者相互間に同意権が留保されていると解することが前記条規の法意に合するものといわねばならない。従つて、原判決の前示法令解釈適用は誤りというのほかなく、右違法は判決に影響を及ぼすこと明らかといわねばならない。 
 それ故、右の点に関する論旨は理由があり、原判決は、その余の上告理由について判断するまでもなく破棄を免れず、所論総社員の同意の有無およびその有無を前提とする判断につき、更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻すべきものとする。
* 批判のある判決。一社員が自己の個人的理由で退社の申出をしておきながら、同時に退社を申し出た他の社員に対して、それが自己の利害と関係することを理由に、その退社を阻止することができることになってしまうのは、不当であるとする。



88(146)債権者による退社予告
最判s49.12.20
参考条文:609?(趣旨:持分会社における持ち分の譲渡には他の社員の同意が必要であるところ、同意がない場合は、差押債権者が債権を回収できなくなってしまう。その弊を除くための規定。)
■ 609?により社員の持分を差し押さえた債権者のなす強制退社予告の効力は、当該差押に対する強制執行停止決定によって左右されるか
⇒左右されない。
■ 609?の強制退社予告の効力を失わせる相当の担保を供したときとは?
⇒差押債権者との間で、担保物権を設定し、または補償契約を締結した場合
事案  (一) 道男Bは昭和三五年二月二三日被上告会社の代表社員に就任しているが、右就任については被上告会社の社員であった訴外春田正策の同意がないこと、(二) これよりさき道男は、正策Aの被上告会社の代表社員資格を争う訴訟を提起し、かつ、その申請により昭和三三年八月二二日名古屋地方裁判所から正策の職務の執行を停止して代行者を選任する旨の仮処分決定を得たが、さらに名古屋家庭裁判所昭和三三年(家)第一〇七号扶養請求事件の審判正本に基づき、昭和三三年一一月一九日及び昭和三四年三月二〇日の二回にわたり、正策に対する各8万5000円の扶養料請求債権をもって正策の被上告会社の持分を差押え、商法九一条一項所定の退社予告をしたこと、(三) 道男は正策が右退社予告により当該営業年度の終りである昭和三四年一二月三一日被上告会社を退社せしめられ社員の資格を喪失したとして、その旨の登記申請をし、代行者選任決定は取り消されたこと、(四)被上告会社の商業登記簿には、正策が昭和三四年一二月三一日社員の資格を喪失し、昭和三五年二月二三日道男が代表社員に就任した旨の記載があること、以上の事実が認められる。
【被告側の主張】
 所論は、要するに、正策は、昭和三三年一二月一二日及び昭和三四年八月一〇日右各差押えについて強制執行停止決定を得、また昭和三四年一二月二八日商法九一条二項所定の担保として17万1000円を名古屋法務局に供託したから、道男のした退社予告はその効力を失い、したがって正策は依然として被上告会社の社員であるのに、その同意なくしてされた道男の代表社員就任は無効であるというのである。
第一審  原告の請求認容
第二審  被告の控訴棄却
最高裁  破棄差戻。供託の有無について審理不尽。
【理由】
おもうに、商法九一条一項(609?)により社員の持分を差し押えた債権者のなす強制退社予告の効力は、右差押えに対する強制執行停止決定によって左右されるものとはいえず、また、同条二項所定の強制退社予告の効力を失わせる相当の担保を供したときとは、差押債権者との間で、担保物件を設定し、又は保証契約を締結した場合をいい、差押債権者の承諾を伴わない担保物権設定又は保証契約締結の単なる申込みは、右担保の供与にはあたらないと解するのが相当である。
しかしながら、持分を差し押えられた社員が債務を弁済すれば退社予告の効力を失うことは、同条項の明らかに定めるところであり、したがって正策が昭和三四年一二月二八日本件差押えにかかる債務についてした所論の供託が弁済供託としての効力を有するときは、退社予告はその効力を失い、ひいては道男の被上告会社代表社員としての資格が否定される結果ともなるのであるから、原審としては、右の点につき当事者に対して主張立証をうながすなど審理を尽くすべきであったにもかかわらず、原判決が、単に被上告会社の商業登記簿謄本のみによって、当事者間に争いのある道男の代表権限をたやすく認めたことには、審理不尽の違法があるといわなければならず、それが判決の結果に影響を及ぼすことは明らかである。
* 弁済供託なら、609?にあたるから




89(150)合資会社の社員が出資義務を履行していないにも拘わらずと持分払戻請求ができるのか
最判s62.1.22
参考条文:611?
■ 合資会社社員の出資義務の履行期はいつか
⇒履行期が定められていないときは、会社の請求時。
■ 持分支払い請求権は出資義務の履行期到来前に成立するか。
⇒しない。
事案  合資会社社員が、出資義務を履行していないにもかかわらず、持分払戻請求をしたため、争われた。
第一審  原告の請求認容
第二審  被告の控訴認容
最高裁  原告の上告棄却。
【理由】
 合資会社の社員の金銭出資義務は、定款又は総社員の同意によりその履行期が定められていないときは、会社の請求によりはじめてその履行期が到来し、特定額の給付を目的とする金銭債務として具体化されるものというべきであり、かかる金銭債務となる前の出資義務は社員たる地位と終始すべきものであって、社員が退社して社員たる地位を喪失するときは、出資義務も消滅するに至るというべきであるから、右退社員の合資会社に対する持分払戻請求権は成立しないと解すべきである(大審院昭和一五年(オ)第六八号同一六年五月二一日判決・民集二〇巻一二号六九三頁参照)。
* 抽象的出資義務は独立して譲渡されないが、具体的出資義務はそうではない。



90(147)多数派社員による不公正な業務執行と解散請求 百96
最判s61.3.13
参考条文:833?
■ 少数派社員が恒常的な不利益を被っていることは、833?の「やむをえない事由(解散事由)」に当たるか
⇒恒常的な不利益が発生し、これを打開する方法がない場合に解散事由が認められる。
■ 少数派社員の退社が「やむを得ない事由」を解消する公正かつ相当な手段となるか。
⇒社員間の対立に特段の帰責事由のない社員である場合、ならない。
事案  会社の営業によって利益を受けない社員である原告が、様々な提案を行ったが、いずれも採用されず、打開ができない状態であったため、会社の解散請求を行った。
第一審  原告の請求認容
第二審  被告の控訴棄却
「やむをえない事由」を認めた。
最高裁  被告の上告棄却。解散事由を認めた。
【理由】
二 商法一一二条一項が合名会社の社員に会社の解散請求権を認める事由として定めた「巳ムコトヲ得ザル事由」(以下「解散事由」という。)のある場合がいかなる場合かについて考えるに、合名会社は社員間の強い信頼関係が維持されていることを会社存立の基礎とする人的会社であるから、感情的な原因により、社員間の信頼関係が破壊されて膠着した不和対立状態が生じ、会社の目的たる業務の執行が困難となり、その結果会社ひいては総社員が回復し難い損害を被つているような場合には、これを打開する手段のない限り、解散事由があるものというべきであるが、右のような場合のみならず、合名会社は総社員の利益のために存立する目的的存在であるから、会社の業務が一応困難なく行われているとしても、?社員間に多数派と少数派の対立があり、?右の業務の執行が多数派社員によつて不公正かつ利己的に行われ、?その結果少数派社員がいわれのない恒常的な不利益を被つているような場合にも、また、これを打開する手段のない限り、解散事由があるものというべきである。(注:↑解散事由)
しかしながら、右のいずれの場合にも、そこでいう打開の手段とは、その困難な事態を解消させることが可能でありさえすれば、いかなる手段でもよいというべきではなく、社員間の信頼関係が破壊されて不和対立が生ずるに至つた原因、解散を求める社員又はこれに反対する社員の右原因との係わり合いの度合、会社の業務執行や利益分配が解散を求める社員にとつてどの程度不公正・不利益に行われてきたか、その他諸般の事情を考慮して、解散を求める社員とこれに反対する社員の双方にとつて公正かつ相当な手段であると認められるものでなければならないと解するのが相当である。
【あてはめ】
三 右の見地に立つて、本件をみるに、原審の確定したところによれば、上告会社は、もともと製糸業を営む社員に共通した営業を行うために設立された会社であるが、その後の経済情勢の変化により、製糸業を継続する多数派社員と製糸業を廃業した少数派社員の二派が生じ、その間に決定的な利害の対立状態が存在し、このため、上告会社は一応不動産賃貸の営業を行つてはいるものの、多数派社員による不公正かつ利己的な業務執行によつて少数派社員に恒常的な不利益が生じている状態にあるものといわざるをえないから,これを打開すべき手段が存在しない限り、上告会社には解散事由があるものというべきである。
 そこで、上告会社の右の事態を打開すべき手段の有無についてみるに、製糸業を廃業した社員三名のうち、被上告人を除くその余の二名はいずれも上告会社を退社したうえ、上告会社に対し持分払戻を請求しており、残るは被上告人のみであるから、上告会社が主張するように、被上告人が退社して持分払戻を請求する方法を選択しさえすれば、上告会社における両派の対立する前提が失われ、社員間の利害の対立状態は当然に解消するとともに、被上告人はその出資金を回収することができる筋合である。
しかしながら、原審の確定した事実によれば、上告会社は、被上告人が退社した場合における持分払戻に充てるべき財源としての経常収入はなく、その所有不動産を売却換金するのでなければ、被上告人の持分払戻請求に応ずる資金を捻出することはできないが、そうすると、上告会社はその存続する基盤を失うことにならざるをえないから、上告会社を維持存続させようとする社員の必死の抵抗が予想され、被上告人の持分払戻請求権が債権として実現するには多大の困難と長い年月を要することが避けられない。しかも、そもそも上告会社の社員間の利害の対立は、客観情勢の変化によつて製糸業を廃業する社員が生じたのち、製糸業を継続する社員が、その中に業務執行社員を擁していたこともあつて、製糸業を廃業した社員の利益を無視して訴外会社を設立し、これに対し上告会社の所有不動産を低額な賃料で賃貸し、訴外会社に上告会社と同じ営業をさせて、上告会社をその本来の営業につき事実上休業状態にしたうえ、製糸業を廃業した社員には名目的な利益配当を行つてきたことから生じたものというべきであつて、上告会社の社員間の利害の対立の原因は、おしなべて製糸業を継続する社員の不公正かつ利己的な行為にあるものというべきであるから、上告会社の社員間に利害の対立が生じたことにつき特段の帰責事由の認められない被上告人に対し、その意思に反する退社の方法を選択させ、かつ、債権としてその実現に問題のある持分払戻請求権を行使することを強いることは、著しく不公正かつ不相当であるというべきである。
したがつて、被上告人に対し退社を求めることは、上告会社における社員間の利害の対立によつて少数派社員に生じている恒常的な不利益状態を打開する手段として公正かつ相当な手段であるということはできない。そして、他に上告会社の右の現状を打開すべき手段はないのであるから、結局、上告会社には解散事由があるものというべきである。 
* 一方を退社させることが、のっとりを認めることとなり、不公正。解散するしかない。

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