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会社法判例百選コミュの56-59

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56代表取締役職務代行者による臨時総会の招集と会社の常務
最判s50.6.27
参考条文:352
■ 少数株主の請求による取締役解任を目的とする臨時総会の招集は、取締役職務代行者の職務権限を画する常務に属するか
⇒属しない。会社の常務に属しない 場合は裁判所の許可が必要。
事案  解任された取締役X(株主でもある)による、株主総会での解任決議取消請求事件
会社側は代行者が招集したと述べた。
第一審  原告の請求認容
解任決議取消
第二審  被告の控訴棄却
最高裁  被告の上告棄却。代行者が取締役を解任するには、裁判所の許可が必要。
【理由】
 株式会社において、取締役の解任を目的とする臨時総会を招集することが、商法二七一条一項にいう「会社ノ常務ニ属セザル行為」にあたると解すべきことは、当裁判所の判例の趣旨とするところであり(最高裁昭三九年五月二一日第一小法廷判決・民集一八巻四号六〇八頁参照)、このことは、右臨時総会の招集が、少数株主による招集の請求に基づくものであるときにおいても同様と解するのが相当である。
けだし、会社の常務とは、当該会社として日常行われるべき通常の業務をいうのであり、取締役の解任を目的とする臨時総会の招集の如きは日常、通常の業務にあたらないと解すべきであるところ、その招集行為の性質そのものは、それが少数株主の総会招集請求に基づく場合であつても、なんら影響を受けないと解すべきであるからである。
* 常務外の行為⇒臨時総会の招集(学説は、新株発行、定款変更、事業譲渡、合併、社債募集等も含める。)
* 常務内の行為⇒株式名義書き換え請求の審査、定時株主総会の招集。臨時総会の招集であっても、その目的が計算書類の承認にある場合には常務内といってよいかも。




57(69)表見代表取締役と第三者の過失 明倫産業事件
最判s52.10.14
参考条文:352
■ 表見代表取締役の行為につき重大な過失によってその代表権の欠缺を知らない第三者は、会社法354により会社の責任を追及できるか

事案  表見代表取締役が原告に手形割引を依頼し、そのときに原告は特に代表権について問いただすことなく割引をした。当該手形の支払いはなかった。
 そこで、原告は手形金の支払いを請求したが、被告である会社は原告の悪意または重過失を主張。
第一審  原告の請求認容
第二審  被告の控訴棄却
【理由】
本件手形は、上告会社の取締役であつて同会社専務取締役上本町営業所長なる名称の使用を承認されていた苫野敬弥が、手形振出の権限がないのに、上告会社上本町営業所専務取締役営業所長名義をもつて振出したものである
被上告人は上告会社の取締役であつた古川武雄を介し本件手形の割引を依頼されたので、苫野にも上告会社の代表権があるものと信じ、同人の代表権につき特に問いただすことなく右手形を取得した(悪意または重過失の存在を判断していない。)
被上告人が本件手形の所持人として満期に支払場所で支払のため右手形を呈示したが支払がなかつた
以上より、上告会社は善意の第三者である被上告人に対し商法二六二条により本件手形の振出人としての責任を負うとした。
最高裁  破棄差戻。原告敗訴。
【理由】
商法二六二条(会社354)に基づく会社の責任は、善意の第三者に対するものであつて、その第三者が善意である限り、たとえ過失がある場合においても、会社は同条の責任を免れえないものであるが(最高裁s41.11.10・民集20-9-1771)、同条は第三者の正当な信頼を保護しようとするものであるから、代表権の欠缺を知らないことにつき第三者に重大な過失があるときは、悪意の場合と同視し、会社はその責任を免れるものと解するのが相当である。
本件記録によれば、上告会社は原審において被上告人に重大な過失があると主張しているのであるから、重大な過失の有無を判断することなく、被上告人が善意であるというだけで直ちに、被上告人の請求を認容した原判決には、法令の解釈を誤つた違法があり、右違法は判決に影響を及ぼすことが明らかである



58(81)取締役の責任と法令違反 野村證券事件
最判h12.7.7
参考条文:423?(「法令」文言が消え、「その任務を怠ったとき」にかわった)
■ 法令違反に基づく取締役の責任の範囲
⇒非限定説を採用。
事案  大手証券会社Aが大口顧客である訴外会社Bに対して損失補填を行ったことによりAに補填相当額の損害を生じたとして、Aの株主であるXらが、その決定・実施に関わった当時のAの代表取締役であるYらに対し、商法二六六条一項五号に基づき損害賠償を求める株主代表訴訟
 1 Aは、大口顧客であるBと有価証券の売買等による資金運用取引を継続してきており、Bの証券発行に際しては主幹事証券会社の地位にあった。
 2 Bは、訴外信託銀行との間で一〇億円の特定金銭信託契約を締結し、同銀行がAに開設した取引口座を通じて有価証券の売買を行う特金勘定取引を開始したが、実際にはAがBに代わって同銀行に取引の指図をすることによって運用されるいわゆる営業特金による取引であった。ところが、右取引により平成元年末には約二億七〇〇〇万円の損失が生じ、平成二年に入ってからの株式市況の急激な悪化により損失が更に拡大し、Bが期間満了を待たずに右取引を終了させた同年二月末には損失は約三億六〇〇〇万円に上っていた。
 3 平成元年一一月ころから証券会社の大口顧客に対する損失補填が社会問題となり、大蔵省は、同年一二月二六日、「証券会社の営業姿勢の適正化及び証券事故の未然防止について」と題する証券局長通達(本件通達)を発し、証券会社において法令上の禁止行為である損失保証等による勧誘に限らず、事後的な損失補填等も厳にこれを慎むとともに、特金勘定取引についても顧客と投資顧問業者との間に投資顧問契約を締結させるべきものとした。日本証券業協会も、本件通達を受けて、同協会の内部規則である公正慣習規則第九号(本件規則)を改正し、事後的な損失補填等をも厳に慎むものとする旨の定めを置いた。
 Aを始めとする証券会社においては、本件通達等の主眼が営業特金の早期解消にあると理解し、株式市況が急激に悪化する中で顧客との関係を良好に維持しつつ営業特金の解消を進めていくためには、損失補填を行うこともやむを得ないとする考え方が大勢を占めていた。
 4 Aでは本件通達の直後からBと営業特金の解消に向けて交渉したが解決に至らず、Bとの円満な取引関係を維持するために損失補填を実施する必要があるとして、平成二年三月、Yらが出席したAの専務会においてBに対する損失補填が決定され、AがBに売却した外貨建てワラントを即日買い戻すという相対取引により実施された(本件損失補填)。この結果、Bは三億六〇〇〇万円強の利益を得て、営業特金も解消された。その後、AとBとの取引関係は良好に維持され、AはBとの取引により相応の利益を得ている。
 5 Xらは、本件損失補填が?平成三年法律第九六号による改正前の証券取引法(旧証取法)五〇条一項等に違反する、?昭和五七年公取委告示第一五号の9(不当な利益による顧客誘引)に該当し、独禁法一九条に違反する、?取締役の善管注意義務・忠実義務に違反するなどとして、Yらに対し、商法二六六条一項五号に基づく損害賠償として損害金内金一億円の支払を請求している。
第一審  請求棄却
本件損失補填の独禁法一九条違反性のみを肯認した。
本件損失補填によりその後得られる利益を考慮すれば損害があるとはいえないとした
第二審  控訴棄却
独禁法一九条が競争者の利益を保護することを意図した規定であることを理由に、同条違反は商法二六六条一項五号にいう法令違反には含まれないとして、Xらの請求を棄却すべきものとした。
最高裁 上告棄却。当時の取締役の責任を否定。
【理由】
第三 その余の上告理由について
一 株式会社の取締役は、取締役会の構成員として会社の業務執行を決定し、あるいは代表取締役として業務の執行に当たるなどの職務を有するものであって、商法二六六条は、その職責の重要性にかんがみ、取締役が会社に対して負うべき責任の明確化と厳格化を図るものである。本規定は、右の趣旨に基づき、法令に違反する行為をした取締役はそれによって会社の被った損害を賠償する責めに任じる旨を定めるものであるところ、取締役を名あて人とし、取締役の受任者としての義務を一般的に定める商法二五四条三項(民法六四四条)、商法二五四条ノ三の規定(以下、併せて「一般規定」という。)及びこれを具体化する形で取締役がその職務遂行に際して遵守すべき義務を個別的に定める規定が、本規定にいう「法令」に含まれることは明らかであるが、さらに、商法その他の法令中の、会社を名あて人とし、会社がその業務を行うに際して遵守すべきすべての規定もこれに含まれるものと解するのが相当である。
けだし、会社が法令を遵守すべきことは当然であるところ、取締役が、会社の業務執行を決定し、その執行に当たる立場にあるものであることからすれば、会社をして法令に違反させることのないようにするため、その職務遂行に際して会社を名あて人とする右の規定を遵守することもまた、取締役の会社に対する職務上の義務に属するというべきだからである。
したがって、取締役が右義務に違反し、会社をして右の規定に違反させることとなる行為をしたときには、取締役の右行為が一般規定の定める義務に違反することになるか否かを問うまでもなく、本規定にいう法令に違反する行為をしたときに該当することになる・・・。

二 これを本件について見ると、証券会社が、一部の顧客に対し、有価証券の売買等の取引により生じた損失を補てんする行為は、証券業界における正常な商慣習に照らして不当な利益の供与というべきであるから、野村証券が東京放送との取引関係の維持拡大を目的として同社に対し本件損失補てんを実施したことは、一般指定の9(不当な利益による顧客誘引)に該当し、独占禁止法一九条に違反するものと解すべきである。そして、独占禁止法一九条の規定は、同法一条所定の目的達成のため、事業者に対して不公正な取引方法を用いることを禁止するものであって、事業者たる会社がその業務を行うに際して遵守すべき規定にほかならないから、本規定にいう法令に含まれることが明らかである。
したがって、被上告人らが本件損失補てんを決定し、実施した行為は、本規定にいう法令に違反する行為に当たると解すべきものである。・・・
三 しかしながら、株式会社の取締役が、法令又は定款に違反する行為をしたとして、本規定に該当することを理由に損害賠償責任を負うには、右違反行為につき取締役に故意又は過失があることを要するものと解される(最三判s51.3.23・裁判集民事117-231参照)。
 原審の適法に確定したところによれば、(一)被上告人らは、本件損失補てんが旧証券取引法あるいは本件通達に違反するものでないかどうかについては重大な関心を有していたが、それが一般の投資家に対して取引を勧誘するような性質のものではなかったことから、独占禁止法一九条に違反するか否かの問題については思い至らなかった、(二)被上告人らのみならず、関係当局においても、証券取引については所管の大蔵省によって証券取引法及びその関連法令を通じて規制が行われるべきであるとの基本的理解から、証券取引に伴う損失補てんが独占禁止法に違反するかどうかという問題は、本件損失補てんが行われた後一年半余にわたって取上げられることがなかった、(三)公正取引委員会は、第一二一回衆議院証券及び金融問題に関する特別委員会が開催された平成三年八月三一日の時点においても、なお損失補てんが独占禁止法に違反するとの見解を採っておらず、公正取引委員会が、本件損失補てんを含む証券会社の一連の損失補てんが不公正な取引方法に該当し独占禁止法一九条に違反するとして、同法四八条二項に基づく勧告を行ったのは、同年一一月二〇日であった、というのである。
 右事実関係の下においては、被上告人らが、本件損失補てんを決定し、実施した平成二年三月の時点において、その行為が独占禁止法に違反するとの認識を有するに至らなかったことにはやむを得ない事情があったというべきであって、右認識を欠いたことにつき過失があったとすることもできないから、本件損失補てんが独占禁止法一九条に違反する行為であることをもって、被上告人らにつき本規定に基づく損害賠償責任を肯認することはできない。
【判旨】
商法二六六条一項五号にいう法令には、取締役を名あて人とし取締役がその職務遂行に際して遵守すべき義務を定める規定のほか、会社を名あて人とし会社がその業務を行うに際して遵守すべき義務を定める規定も含まれるとした上で、Yらにおいて独禁法一九条違反の認識を欠いた点につき過失があったとはいえないとして、Yらの責任を否定した

* 本判決は「非限定説」をとることを明らかにしたもの。会社法423?では「法令」という文言がなくなっているが、その任務の中には忠実義務も含まれるのであり、忠実義務の内容としては「法令」(会社355)の遵守も含まれており、まだ死んだ論点とはいえないのではないだろうか。




59 取締役の注意義務と経営(ビジネス)判断(ジャッジメント)原則(ルール) そごう
東京地判h16.9.28 損害賠償請求権査定の決定に対する異議事件
参考条文:民事再生法143?、145?
■ 第二貸付を中止すべきだったか
⇒役員に義務違反はない。弁護士が注意すべき
事案  東京地方裁判所において民事再生手続の開始決定を受けた被告が、被告の取締役であった原告らに対し、民事再生法一四三条一項に基づき、原告らがトルコ共和国における出店事業のために行った貸付け及び同貸付けの回収業務に忠実義務違反があったとして、損害賠償請求権の査定決定を申し立て、再生裁判所において、原告らの損害賠償債務が一六億二五七〇万円と査定されたことについて、原告らが同法一四五条一項に基づき、異議の訴えを提起した事案。実質的な取締役への損害賠償請求。
 貸付が焦げ付いたのは、日本の金融引締め策や湾岸戦争のために資金繰りが厳しくなったから。
第一審  査定決定取消
【理由】
(2)取締役の責任の判断基準について
 企業の経営に関する判断は不確実かつ流動的で複難多様な諸要素を対象にした専門的、予測的、政策的な判断能力を必要とする総合的判断であり、また、企業活動は、利益獲得をその目標としているところから、一定のリスクが伴うものである。
このような企業活動の中で取締役が萎縮することなく経営に専念するためには、その権限の範囲で裁量権が認められるべきである。
したがって、取締役の業務についての善管注意義務違反又は忠実義務違反の有無の判断に当たっては、取締役によって当該行為がなされた当時における会社の状況及び会社を取り巻く社会、経済、文化等の情勢の下において、当該会社の属する業界における通常の経営者の有すべき知見及び経験を基準として、前提としての事実の認識に不注意な誤りがなかったか否か及びその事実に基づく行為の選択決定に不合理がなかったか否かという観点から、当該行為をすることが著しく不合理と評価されるか否かによるべきである。・・・
(6)原告らの義務違反の有無
 以上検討してきたところによれば、本件第二貸付けを中止することは、本件計画を断念することに匹敵する事態であり、そのような判断を当時行うだけの事情はなかったと言うべきである。また、貸付けに当たっての債権保全措置に前記のとおり遺漏があったことは認められるが、経営者としては弁護士を含む事務担当者が適切に処理することを期待することは相当であり、原告ら役員に義務違反があったとは言えない。・・・
二 原告らに、本件第二貸付け後平成五年一一月五日までに、本件計画を中止して債権を回収すべき義務があったか(争点(2))について・・・
 したがって、両弁護士による意見書を検討しても、競売手続及び訴訟手続に着手することは、費用対効果を考えた場合、必ずしも有効な手だてとは言い難い。
 丙山弁護士の報告書(乙B二七)には、ビジネス面での検討も行われており、アタキンダイ社に対する不信の意見が強調されているが、本件計画の継続、本件計画の断念と法的手続、Aブロック用地のみでの事業計画の三通りの選択肢を並列的に記載しているにとどまる。戊田の平成五年八月一二日付けの報告書も両弁護士の報告以上のものではない。・・・丙山弁護士の意見書には、前記のとおり、本件計画の遂行を選択肢として掲げているし、乙原弁護士の取締役の善管注意義務違反を警告する文言も、本件計画の遂行もせずに何もしないことを善管注意義務違反と言っているものであり、本件計画の遂行の選択を否定する趣旨ではないと考えられる。
  平成五年中の丙山弁護士、乙原弁護士等の調査結果から、直ちに本件計画を断念して、貸金債権回収の法的手段を講ずるべきであるとの結論は導くことはできない。
* これが金融機関であれば、違った判断になったかも。本件は百貨店。
* 日本では取締役に裁量権を認めるが、アメリカでは裁判官が審査する。



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