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会社法判例百選コミュの41-45

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41(43)議決権行使の代理人資格の制限 関口本店事件
最判s43.11.1
参考条文:310?
■ 議決権を行使する代理人の資格を定款の規定をもって株主に制限することができるか⇒合理的な理由があり、相当程度の制限であれば、できる。
事案  同族会社の内部的紛争
第一審  原告の請求認容
第二審  控訴棄却
最高裁  上告棄却。原告勝訴
【理由】
 所論は、議決権行使の代理人を株主にかぎる旨の定款の規定は、商法二三九条三項(会社310?)に違反して無効である旨主張する。
 しかし、同条項は、議決権を行使する代理人の資格を制限すべき合理的な理由がある場合に、定款の規定により、相当と認められる程度の制限を加えることまでも禁止したものとは解されず、右代理人は株主にかぎる旨の所論上告会社の定款の規定は、株主総会が、株主以外の第三者によつて攪乱されることを防止し、会社の利益を保護する趣旨にでたものと認められ、合理的な理由による相当程度の制限ということができるから、右商法二三九条三項に反することなく、有効であると解するのが相当である。



42(44)従業員持ち株制度と株式信託契約の有効性 比叡山観光タクシー事件
大阪高決s58.10.27
参考条文:310?、358?
■ 従業員持株制度における株式信託契約は有効か⇒本件の信託契約は無効。株主権の自由な行使が妨げられており、共益権のみの信託はできないから。
■ 株式信託の無効と会社の関係⇒本判決では判断されていないが、原則的には信託契約は株主と受託者との間で交わされる契約なので、会社との関係では有効となりそうだが、信託制度の設立自体に会社が関与しているなどの、会社に帰責すべき事情のある場合は、会社との関係でも無効とすべきであろう。
事案   一件記録によれば、抗告人(会社)は、一般乗用旅客自動車運送事業を営む株式会社であつて、昭和三八年九月一三日に設立されたのであるが、同五〇年一月に不渡処分を受けて事実上倒産し、更生手続開始決定を経て同五二年一二月二六日に更生計画が認可され、更生計画は遂行されて、同五八年二月二二日に更生手続終結の決定がされたものである
相手方ら二六名はいずれも抗告人の従業員であつて、各自二〇〇株の株式を有し、その合計は五二〇〇株で抗告人の発行済み株式総数の一〇分の一以上であるが、右株式をいずれも共済会の理事に信託しているところ、共済会は、抗告人の会社更生手続中労使の協議により従業員の持株制度が採用されたことに伴い、株式信託制度の創設とともに昭和五三年に設けられたものであり、共済会の規約によると、抗告人に勤務しかつ会で選出された理事との間で株式信託契約を締結することにより株式を取得した正会員と、株式信託仮契約を締結し株式取得準備金を積立てている準会員とで構成され、株主権の行使につき株式取得の主旨に適合するよう運営することを目的とするが、株式信託契約をしない従業員は株式を取得できず、株式信託契約を拒否したときは会員資格を失うこととされている
株式信託契約書によると株主の議決権は受託者である共済会理事が行使するが、配当請求権と残余財産分配請求権は委託者に帰属し、信託期間は委託者が株主の地位を喪失する時までとされている
信託契約と同時に作成されている信託契約書覚書によると、委託者が共済会を除名されたとき、株式信託契約を拒否したときには、委託者は受託者にその株式を譲渡することとなつている。
原告は検査役の選任を請求。
第一審  原告の請求認容
第二審  抗告棄却。原告勝訴。
【理由】
 右事実関係からすると、抗告人の従業員は、従業員持株制度によつて株式を取得することができるものの、株式信託契約を締結しない者は株式を取得できないから、株式を取得するためには株式信託契約を強制され、株主として契約を締結するかどうかを選訳する自由はなく、又、信託期間は株主たる地位を喪失する時までというのであるから、契約の解除も認められていない。
したがつて、抗告人の株主は、信託契約の受託者による議決権の行使はあつても、自己が株主として議決権の行使をする道はないこととなる。そして、株式信託制度が抗告人関与のもとに創設されたことは記録上明らかであり、右信託契約は、株主の議決権を含む共益権の自由な行使を阻止するためのものというほかなく、委託者の利益保護に著しく欠け、会社法の精神に照らして無効と解すべきである。
又、株式配当請求権、残余財産分配請求権は委託者に帰属するとされ、信託の対象から除外されているが、共益権のみの信託は許されないものと解されるから、その点からも右信託契約は無効というべきである。
* なぜ、検査役の選任を請求したのか?



43(42)取締役の説明義務と一括回答 東京建物事件
東京高判s61.2.19
参考条文:314
■ 株主提出の質問状に対する一括解答は適法か⇒適法。
■ 質問状の質問者を明らかにしない一括回答は説明義務違反か⇒適法。質問者の名前を明かすことは義務に含まれていない。
事案  
第一審  原告の請求棄却
第二審  原告の控訴棄却
【一括回答は314にいう説明に該当するか】
商法二三七条の三第一項(会社314)の規定する取締役等の説明義務は総会において説明を求められて始めて生ずるものであることは右規定の文言から明らかであり、右規定の上からは、予め会社に質問状を提出しても、総会で質問をしない限り、取締役等がこれについて説明をしなければならないものではない。ただ、総会の運営を円滑に行うため、予め質問状の提出があったものについて、総会で改めて質問をまつことなく説明することは総会の運営方法の当否の問題として会社に委ねられているところというべきである。
そしてまた、説明の方法について商法は特に規定を設けていないのであって、要は前記条項の趣旨に照らし、株主が会議の目的事項を合理的に判断するのに客観的に必要な範囲の説明であれば足りるのであり,一括説明が直ちに違法となるものではない。更に、たとい一括説明によっては右必要な範囲に不十分な点があったとすれば、それを補充する説明を求めれば足りることである。
【】
 《証拠略》によれば、原告の質問書の内容は、a株主総会のあり方に関する事項とb原告が代表者である訴外松富士株式会社が被告に委託した松富士ビルの設計監理の仕事に関する原告の不満であることが認められる。
 他方、《証拠略》によれば、被告の取締役は、株主総会のあり方等の質問について改正商法の趣旨を十分に配慮して総会を運営していく旨説明していることが認められるから、原告の質問書のうちaの事項については説明義務が尽くされたと認められる。また、bの事項は会議の目的たる事項に関しないものというべきである。
【原告の質問に答えないのは説明義務違反か】
原告の質問の要旨は、
(一)監査報告書に「取締役の職務の遂行に関する不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実は認められない」と記載されているが、この記載からすれば、法令定款違反の重大でない事実は存在したこととなるが、重大でない違反行為としてどのようなものがあったか、
(二)重大か重大でないか、例をあけて説明せよ、
(三)不正の行為又は法令定款違反行為として罰則を適用されると重大な事実に該当すると理解してよいか、
(四)不正の行為又は法令定款違反行為という事実があったとき、監査役はどのような責任をとるか、また議長はどのような責任をとるか、
(五)企業内容の開示についてどういう方針か、
(六)第一六六期(注 前営業期のことである)株主総会の詳しい記録の閲覧を申入れたが、断わられた。議事録でなくて、詳しい記録だ。これを公開しないのは法の精神に反するではないか、
(七)業務上のことがらは会議の目的事項に入らないのかというものである。 ・・・
2 決議の方法の著しい不公正について
これらはいずれも会議の目的に関しない一般的事項について説明を求めるものというべきであり、取締役にはこのような事項についての説明義務は認められない。また、右各証拠によっても議長の議事運営が著しく不公正であったとは認められないから、この点に関する原告の主張も理由がないというべきである。
【質問状の質問者を明らかにしない一括回答は説明義務違反か】
(控訴人の当審での新たな主張に対する判断)
 質問状に対する説明に際し、質問者を明らかにしなかったことは当事者間に争いないが、質問者がその氏名を明らかにすることの要否と説明の範囲とは異別の問題であるとともに、説明は質問者に対しその求めた事項について行われるのであるから、説明の対象に質問者の氏名が含まれると解すべき余地のないことは明らかである。
もっとも、多数の質問状に対し、質問者の氏名を明らかにすることなく一括説明をする場合は、個々の質問者において自己の質問状に対し説明があったかどうか必ずしも判然としないことが生じ得ないとも限らないが、そのときは前述のように改めて質問するのが相当であり、かつすれば足りることであり、本件において質問状の質問者を明らかにしなかったことは何ら説明義務を尽さなかったこととならない。
最高裁  原告の上告棄却



44(40)従業員株主を前列に座らせてなした総会決議 四国電力事件
最判h8.11.12
参考条文:315、民709
■ 会社が従業員株主を株主よりも先に株主総会会場に入場させ、株主席前方に着席させる措置によって、当該他の株主の法的利益が侵害されたといえるか
⇒いえない。
事案  電力会社であるY社は、平成二年六月開催の株主総会について、それまでの原発反対派の行動から、議事進行が妨害されたり、議長席及び役員席が取り囲まれたりする事態が発生することをおそれ、従業員株主らをして、受付開始時刻前に株主総会の会場に入場させた。そのため、他の原発反対株主とともに早朝から玄関前に並び開門と同時に会場に向かったXが会場に到着したときは、既に従業員株主が株主席の前方に着席しており、Xは、希望する席に座ることができなかった。
Xは、Y社に対し、右の差別的取扱いを受けたことについて、?それによって被った精神的損害の賠償及び?総会で希望する席を確保するために近くに宿泊した宿泊料相当の損害の賠償を求めた。
第一審  原告の請求棄却
第二審  控訴棄却
最高裁  原告の上告棄却
【理由】
株式会社は、同じ株主総会に出席する株主に対しては合理的な理由のない限り、同一の取扱いをすべきである。
本件において、被上告会社が前記一の2のとおり本件株主総会前の原発反対派の動向から本件株主総会の議事進行の妨害等の事態が発生するおそれがあると考えたことについては、やむを得ない面もあったということができるが、そのおそれのあることをもって、被上告会社が従業員株主らを他の株主よりも先に会場に入場させて株主席の前方に着席させる措置を採ることの合理的な理由に当たるものと解することはできず、被上告会社の右措置は、適切なものではなかったといわざるを得ない。
しかしながら、上告人高橋は、希望する席に座る機会を失ったとはいえ、本件株主総会において、会場の中央部付近に着席した上、現に議長からの指名を受けて動議を提出しているのであって、具体的に株主の権利の行使を妨げられたということはできず、被上告会社の本件株主総会に関する措置によって上告人高橋の法的利益が侵害されたということはできない。
そうすると、被上告会社が不法行為の責任を負わないとした原審の判断は、是認することができ、原判決に所論の違法はない。



45(48)招集手続の瑕疵と決議取消の訴え
最判s42.9.26
参考条文:83
株主は他の株主に対する招集手続の瑕疵を理由に総会決議取消の訴えを提起できるか:できる。
事案  株式を譲り受けた者が、株主名簿の名義書き換えを請求したが、会社によって拒否された。
その後、株主総会が開催されたが、本件株式譲受人に対しては招集通知がなされなかった。
 この手続的瑕疵を根拠に株式の譲渡人が株主総会決議取消の訴えを提起した。
第一審  原告の請求認容
第二審  控訴棄却
 招集通知をしなかったことは違法。株式の譲渡人が出席していることも関係ない。
最高裁  被告の上告棄却。本件株主総会決議は取消。
【理由】
上告会社は、正当な理由がないのに、株主名簿の名義書換に応じないことは、論旨第一点において説示したとおりであるから、新株主である訴外柳原らが株主名簿に記載されていないという事由を主張することは許されず、かかる新株主柳原らに招集通知を欠く株主総会の招集手続は違法である
 株主は自己に対する株主総会招集手続に瑕疵がなくとも、他の株主に対する招集手続に瑕疵のある場合には、決議取消の訴を提起し得るのであるから、被上告人が株主たる柳原らに対する招集手続の瑕疵を理由として本件決議取消の訴を提起したのは正当であり、何等所論の違法はない。
しかして、原審認定の事実関係の下においては、訴外柳原らが総会招集の通知を受けず議決権を行使し得なかつたことが、本件総会の決議に影響を及ぼさないとのことを認めるべき証拠はないとした原審の判断も正当である。
もつとも裁判所は諸般の事情を斟酌して株主総会の決議取消を不適当とするときは取消の訴を棄却することを要するが、原審認定の事実関係の下においてはかかる事情も認められない。結局論旨は、いずれの点よりして理由がなく、採用し得ない。
* 決議の公正という利益は、他の株主にもあるから。


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