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会社法判例百選コミュの31-35

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31(118)著しく不公正な方法による第三者割り当て増資 忠実屋いなげ屋事件
東京地決h1.7.25
参考条文:210、199?
■ 公正な発行価額(会社法では払い込み金額)の算定方法⇒市場価格準拠説
■ 株式が買い集められた場合、他社との業務提携を目的とする第三者割り当て増資がどのような基準の下で不公正発行として差止事由に該当すると判断されるのか。
⇒主要目的ルール
事案 1 申請人(秀和)は、被申請人(忠実屋)の株式の約四分の一を有する株主である。
2 被申請人の東京証券取引所における株価は、昭和六二年一二月ころまでは九〇〇円ないし一二〇〇円前後で推移していたが、昭和六三年一月以降急騰し、同年二月から同年五月ころまでには四〇〇〇円前後となり、その後さらに上昇して、同年八月にはいったん八〇〇〇円をつけたものの、その後は概ね四八〇〇円ないし六〇〇〇円程度の価格で推移し、本件仮処分申請時まで、被申請人の株価が、昭和六三年二月以降は三〇〇〇円を、同年七月以降は四〇〇〇円を、同年一〇月以降は四六〇〇円をそれぞれ下まわったことはない。
4 申請人は、被申請人、いなげやと株式会社ライフストアの三社合併を提案し、それにともなう人事についても申請人の構想を述べたが、被申請人及びいなげやは右提案を拒否した。
5 被申請人といなげやは、業務提携をすることについては直ちに合意した。両社間の業務提携の機運は従来からあったが、本件業務提携は、被申請人、いなげやとライフストアの合併を申請人から提案されたことに誘発され、申請人の要求に対抗し、これを拒否するため、一気に具体化したものである。
7 被申請人は、いなげやとの間で、各会社の取締役会の承認決議を停止条件として、本件業務提携及び資料提携をすることを合意し、同月一〇日両社の取締役会において、それぞれの承認決議をするとともに、次のとおり本件新株発行をすることを決議し、その発行価額の決定にあたっては、市場価格が極めて高騰していたことを理由に、これを基礎とすることなく、他の株式価格算定方式を用いて被申請人としてあるべき株式価格を算定し、これを基準にした価格を発行価額とした。
(一)発行新株数 記名式額面普通株式二二〇〇万株
(二)割当方法 発行する株式全部をいなげやに割り当てる。
(三)発行価額 一株につき金一一二〇円
(四)払込期日 平成元年七月二六日
8 本件新株発行は、被申請人といなげやとの本件業務提携にともない、同時期に相互に新株を発行して資本提携をする目的でされるものであり、相互に相手方会社の発行済株式総数の19.5%の株式を保有することとしている。
9 本件新株発行にあたっては、商法二八〇条の二第二項所定の被申請人の株主総会決議はされていない。
10 本件新株発行が実行されると、被申請人の発行済株式総数に対する申請人の持株比率は、33.34%から26.81%に低下するうえ、被申請人の株価が一挙に低下する蓋然性が極めて高い。
そこで、秀和は、忠実屋といなげやの双方の新株発行差止を求める仮処分の申請を行った。
第一審  申請認容。不公正発行である。
【会社199?の「特に有利な金額」にあたり、株主総会の特別決議が必要か】
 ところで、新株の公正な発行価額とは、取締役会が新株発行を決議した当時において、発行会社の株式を取得させるにはどれだけの金額を払い込ませることが新旧株主の間において公平であるかという観点から算定されるべきものである。
本件のように、発行会社が上場会社の場合には、会社資産の内容、収益力および将来の事業の見通し等を考慮した企業の客観的価値が市場価格に反映されてこれが形成されるものであるから、一般投資家が売買をできる株式市場において形成された株価が新株の公正な発行価額を算定するにあたっての基準になるというべきである。そして、株式が株式市場で投機の対象となり、株価が著しく高騰した場合にも、市場価格を基礎とし、それを修正して公正な発行価額を算定しなければならない。なぜなら、株式市場での株価の形成には、株式を公開市場における取引の対象としている制度からみて、投機的要素を無視することはできないため、株式が投機の対象とされ、それによって株価が形成され高騰したからといって、市場価格を、新株発行における公正な発行価額の算定基礎から排除することはできないからである。もっとも、株式が市場においてきわめて異常な程度にまで投機の対象とされ、市場価格が企業の客観的価値よりはるかに高騰し、しかも、それが株式市場における一時的現象に止まるような場合に限っては、市場価格を、新株発行における公正な発行価額の算定基礎から排除することができるというべきである。⇒市場価格準拠説を採用。
 これを本件についてみるに、・・・本件新株発行において市場価格を無視してこれを基準とすることなく算定され決定された一一二〇円という発行価額は、当時の市場価格からはるかに乖離したものであることからみて、・・・「特ニ有利ナル発行価額」に該当するというべきである。よって、それにもかかわらず同条項所定の株主総会決議を経ていない本件新株発行は、その手続に法令違反があるといわなければならない。

【本件新株発行が不公正発行に該当するか】
 商法は、株主の新株引受権を排除し、割当自由の原則を認めているから、新株発行の目的に照らし第三者割当を必要とする場合には、授権資本制度のもとで取締役に認められた経営権限の行使として、取締役の判断のもとに第三者割当をすることが許され、その結果、従来の株主の持株比率が低下しても、それをもってただちに不公正発行ということはできない。
しかし、株式会社においてその支配権につき争いがある場合に、従来の株主の持株比率に重大な影響を及ぼすような数の新株が発行され、それが第三者に割り当てられる場合、その新株発行が特定の株主の持株比率を低下させ現経営者の支配権を維持することを主要な目的としてされたものであるときは、その新株発行は不公正発行にあたるというべきであり、また、新株発行の主要な目的が右のところにあるとはいえない場合であっても、その新株発行により特定の株主の持株比率が著しく低下されることを認識しつつ新株発行がされた場合は、その新株発行を正当化させるだけの合理的な理由がない限り、その新株発行もまた不公正発行にあたるというべきである。
【あてはめ】
 これを本件新株発行についてみるに、前記認定事実によると、被申請人といなげやとの業務提携の機運は従来からまったくなかったわけではないものの、右両者間でそれが真剣に話し合われたことはなく、本件業務提携は、被申請人、いなげや、ライフストアの三社会併を申請人から提案されたことにより、被申請人といなげやが、申請人の要求を拒否し、対抗するため具体化したものであるところ、本件業務提携にあたり被申請人がいなげやに対し従来の発行済株式総数の19.5%もの多量の株式を割り当てることが業務提携上必要不可欠であると認めることのできる十分な疎明はなく、しかも、本件新株発行によって調達された資金の大半は、実質的には、いなげやが発行する新株の払込金にあてられるものであって、差額として被申請人のもとに留保される約五〇億円についても、特定の業務上の資金としてこれを使用するために本件新株発行がされたわけではないこと、また、申請人が被申請人の経営に参加することが被申請人の業務にただちに重大な不利益をもたらすことの疎明もないことからみると、被申請人がした本件新株発行は、申請人の持株比率を低下させ現経営者の支配権を維持することを主要な目的とするものであり、又は少なくともこれにより申請人の持株比率が著しく低下されることを認識しつつされたものであるのに、本件のような多量の新株発行を正当化させるだけの合理的な理由があったとは認められないから、本件新株発行は著しく不公正な方法による新株発行にあたるというべきである。
* 保全の必要性も認められた。



32(121)発行差止め仮処分違反の新株発行の効力 明星自動車事件
参考条文:210、828
最判h5.12.16
■ 新株発行差止仮処分命令に違反して発行された株式の効力⇒無効原因となる(828条1項2号)
事案 (一) 上告人は、昭和三三年に設立されたタクシー事業及び貸切バス事業等を営む株式会社であり、昭和五九年開催の取締役会において、発行株式の種類及び数を記名式普通額面株式一万株、発行価額を一株につき三九〇七円、申込期日を同年九月一三日、払込期日を同月一四日、募集の方法を第三者割当、割当てを受ける者を株式会社明星観光サービスとする新株発行を決議した。
(二) 上告人の株主である被上告人北村豊藏は、本件新株発行に対して、京都地方裁判所に商法二八〇条ノ一〇に基づく新株発行差止請求訴訟を本案とする新株発行差止めの仮処分の申立てをし、昭和五九年九月一二日、仮処分命令(以下「本件仮処分命令」という。)を得た。その上で、上告人の株主である被上告人らは、同月二〇日、新株発行差止請求の訴えを提起した。右訴えの理由とするところは、本件新株発行は、現在の取締役会の方針に反対する株主の持株比率を減少させ、上告人会社の支配確立を目的としたもので、商法二八〇条ノ二第二項に違反し、かつ、著しく不公正な方法によるものであって、株主である被上告人らが不利益を受けるおそれがあるというものであった。
(三) 上告人は、昭和五九年九月一三日、本件仮処分命令に対して異議を申し立てたが、本件新株発行はそのまま実施することにし、前記明星観光サービスから払込期日に新株払込金の支払を受け、発行を強行した。
(四) 本件新株発行に対する差止請求訴訟は、第一審の第一回口頭弁論期日が開かれて以来審理が続けられたが、第一審第八回口頭弁論期日において、上告人から本件新株発行は既に実施されているから新株発行差止請求は訴えの利益がなくなったとの主張がされた。
(五) そのため、被上告人らは、昭和六〇年一二月二日に第一審に提出した同日付け準備書面で、本件仮処分命令に違反する新株発行は効力を生じないが、仮に効力を有するとすれば、予備的に、右新株発行差止請求の訴えを商法二八〇条ノ一五に基づく新株発行無効の訴えに変更する旨の申立てをした。右新株発行無効の訴えで主張する無効事由は、仮処分命令違反が付加された以外は、それまで差止事由として主張してきたものと同一であった。
 新株発行無効の訴えは、新株発行の日から六か月以内に提起しなければならないところ(商二八〇条ノ一五第一項)、本件では訴えの変更がされた時点では発行の日より一年余り経過していたため、変更後の新株発行無効の訴えは適法か否か、適法とした場合には差止仮処分の違反は無効の訴えの無効原因となるかが争われた。
第一審  変更後の新株発行無効の訴えについて出訴期間の遵守に欠けるところはないとした
仮処分の命令違反は新株発行の無効原因とならないとした
第二審  変更後の新株発行無効の訴えについて出訴期間の遵守に欠けるところはないとした
仮処分命令違反は無効原因となるとして、Xらの請求を認容した
最高裁  上告棄却。X勝訴。新株発行無効。
【新株発行無効確認への変更の可否】
2 右事実関係に照らすと、本件新株発行に対する差止請求の訴えと右訴えを本案とする本件仮処分命令に違反してされた新株発行に対する無効の訴えとは、事前と事後の違いはあるが、ともに本件新株発行により不利益を受けるとする被上告人ら株主がその新株発行を阻止し、若しくはその効力を否定しようとするものであって、同一の経済的利益を追求するものということができる上、新株発行差止請求の訴えの訴訟資料、証拠資料を新株発行無効の訴えの審理に利用することが期待できる関係にあるということができるから、旧訴である新株発行差止請求の訴えと新訴である新株発行無効の訴えとの間には請求の基礎に同一性があるものというべきである。
3 ところで、訴えの変更は、変更後の新請求については新たな訴えの提起にほかならないから、変更後の訴えにつき出訴期間の制限がある場合には、出訴期間の遵守の有無は、原則として、訴えの変更の時を基準としてこれを決すべきであるが、変更前後の請求の間に存する関係から、変更後の新請求に係る訴えを当初の訴えの提起時に提起されたものと同視することができる特段の事情があるときは、出訴期間が遵守されたものとして取り扱うのが相当である(最高裁昭和五九年(行ツ)第七〇号同六一年二月二四日第二小法廷判決・民集四〇巻一号六九頁参照)。

商法二八〇条ノ一〇に基づく新株発行差止請求訴訟を本案とする新株発行差止めの仮処分命令があるにもかかわらず、あえて右仮処分命令に違反して新株発行がされた場合には、右仮処分命令違反は、同法二八〇条ノ一五に規定する新株発行無効の訴えの無効原因となるものと解するのが相当である。けだし、同法二八〇条ノ一〇に規定する新株発行差止請求の制度は、会社が法令若しくは定款に違反し、又は著しく不公正な方法によって新株を発行することにより従来の株主が不利益を受けるおそれがある場合に、右新株の発行を差し止めることによって、株主の利益の保護を図る趣旨で設けられたものであり、同法二八〇条ノ三ノ二は、新株発行差止請求の制度の実効性を担保するため、払込期日の二週間前に新株の発行に関する事項を公告し、又は株主に通知することを会社に義務付け、もって株主に新株発行差止めの仮処分命令を得る機会を与えていると解されるのであるから、この仮処分命令に違反したことが新株発行の効力に影響がないとすれば、差止請求権を株主の権利として特に認め、しかも仮処分命令を得る機会を株主に与えることによって差止請求権の実効性を担保しようとした法の趣旨が没却されてしまうことになるからである。
(学説)
「新株発行差止仮処分命令に違反して発行された株式の効力」
1 無効説(判例)
無効としなければ仮処分制度の実効性がない。また、取締役への責任の追及は差止の仮処分がなくともできるので、新株発行を無効としないと差止仮処分を認めた意味が無い。
2 有効説
 取引安全、仮処分を無効原因にすると確定判決と同じ効果となる、仮処分の公示性が低いことから、有効とする。
3 中間説
 原則、無効説に立ちつつ、会社が仮処分が差止の理由なしに行われたことを証明した時、新株発行無効は回避される。

(参考)
新株発行・自己株式処分無効についての問題点
1 公開会社における取締役会の決議を欠く新株発行→平成4−1
2 公開会社における株主総会の特別決議を欠く第三者に対する有利発行→百選26、
3 著しく不公正な方法による発行→百選33
4 新株発行の差止請求を無視する発行→百選32、平成4−1
5 公開会社における募集事項の公示を欠く新株発行→百選28、平成4−1、16−1




33(119)著しい不公正発行 マンリー藤井事件
参考条文:828
最判h6.7.14
 著しく不公正な方法による発行は新株発行の無効原因になるか。⇒ならない。
事案  Y株式会社は、創業以来、Xのワンマン会社であって、Xが発行済株式の過半数を有して代表取締役に就任していた。ところが、Xが健康を害してから、Y会社の取締役であったAは、その業務全般を取り仕切っていたが、その後の営業成績が不振ということもあってXと不仲になり、その信頼を失ったことから、Xが株主総会を招集してY会社を解散する決議をしたり又はAを解任する決議をすることを恐れるに至った。そこで、Aは、これを阻止する目的をもって、専ら、XからY会社の支配権を奪い取り、A及びAの側に立つ者が過半数の株式を有するようにするために、まず?取締役会を開催して自らが代表取締役に選任される旨の決議を経て代表取締役に就任し、次いで当時入院中であったXに招集通知をしないで?取締役会を開催し、本件新株発行の決議を得て、Xに秘したまま右新株を発行し、右決議においては新株の募集の方法は公募によるものとされていたが(公募に応ずる者はなかったので)、その全部を自らが引き受けて払い込んだ。その結果、A及びAの側に立つ者の持株の合計が過半数を超え、Xとの立場は逆転した。
 そのため、Xは、(1)右の?取締役会は、その招集通知が当時の代表取締役であるXに対してされておらず同人も出席していないので不適法であり、このように瑕疵のある取締役会での新株発行決議に基づく本件新株発行は無効である、(2)本件新株発行は、Aがこれを全部自ら引き受け、自己の株式持分比率を高めて実質上自らがY会社を支配できるようにする目的の下にしたものであり、著しく不公正な方法によりされたものであるから無効である旨主張して、右新株発行の無効を求める訴えを提起した。
第一審  原告の請求認容。無効
本件新株発行は著しく不公正な方法によりなされたものであるところ、不公正な方法による新株の発行は原則として無効原因とはならないが、本件においては、新株がすべてAによって引き受けられ保有されていること、Y会社は小規模閉鎖会社であることを併せ考えると、これを無効と解しても株式取引の安全を害しない特別事情がある場合に当たるとして、これを例外的に無効とする旨判示した。
第二審  原告の請求認容。無効
最高裁 原判決破棄。請求棄却。新株発行を有効とした。
【理由】
新株発行は、株式会社の組織に関するものであるとはいえ、会社の業務執行に準じて取り扱われるものであるから、右会社を代表する権限のある取締役が新株を発行した以上、たとい、新株発行に関する有効な取締役会の決議がなくても、右新株の発行が有効であることは、当裁判所の判例(最高裁昭三六年三月三一日第二小法廷判決・民集一五巻三号六四五頁)の示すところである。
この理は、新株が著しく不公正な方法により発行された場合であっても、異なるところがないものというべきである。また、発行された新株がその会社の取締役の地位にある者によって引き受けられ、その者が現に保有していること、あるいは新株を発行した会社が小規模で閉鎖的な会社であることなど、原判示の事情は、右の結論に影響を及ぼすものではない。
けだし、新株の発行が会社と取引関係に立つ第三者を含めて広い範囲の法律関係に影響を及ぼす可能性があることにかんがみれば、その効力を画一的に判断する必要があり、右のような事情の有無によってこれを個々の事案ごとに判断することは相当でないからである。
新株発行は会社の業務執行としての性格が強いから、その発行に有効な取締役会の決議がなくとも、有効とする。最判s36.3.31と同様。これは、小規模閉鎖会社でも同様。

(学説)
有効説(判例) 取引安全重視。不正発行かどうかの判断は困難。
無効説 取締役の責任追及は難しく、不正発行を無効としなければ株主の救済は困難。
折衷説 原則無効だが、取引安全を害しない場面ならばOK

* 取消だったら可能なのか?

(参考)
新株発行・自己株式処分無効についての問題点
1 公開会社における取締役会の決議を欠く新株発行→平成4−1
2 公開会社における株主総会の特別決議を欠く第三者に対する有利発行→百選26、
3 著しく不公正な方法による発行→百選33
4 新株発行の差止請求を無視する発行→百選32、平成4−1
5 公開会社における募集事項の公示を欠く新株発行→百選28、平成4−1、16−1



34(21)株券の発行 根室東映劇場事件
最判s40.11.16
参考条文:215
株券が効果を生じるのは、証券作成時か証券交付時か⇒交付時
事案  Y社の占有する、Xに発行すべきY社株式を、Xの債権者が差押え、強制執行してしまった。この株券が競売に付され、訴外Bが競落し、名義書き換えを完了した。
 これに対して、Xが株主であることの確認の求めて出訴。
第一審  原告の請求認容
交付前の強制執行は、有効な株券に対する強制執行としての効果を有さない。
第二審  控訴棄却
最高裁  上告棄却
【理由】
株券の発行とは、会社が商法二二五条所定の形式を具備した文書を株主に交付することをいい、株主に交付したとき初めて該文書が株券となるものと解すべきである。したがつて、たとえ会社が前記文書を作成しても、これを株主に交付しない間は、株券たる効力を有しないこというまでもない(大正一一年七月二二日大審院判決、民集一巻四一三頁参照)。



35名義書き換え未了株主と異議催告手続き 東洋畜産事件
最判s52.11.8
参考条文:219、220
■ 名義書き換え未了の株式譲受人は異議催告公告手続を請求できるか。⇒株主名簿上の株主でなくてもできる。
■ 共有株式に関する権利行使者の指定時期と異議催告公告請求の可否。⇒権利行使者の指定が株券提出期間経過後にされたときでも、その権利行使者が異議催告公告手続を請求できる。
事案  
第一審  原告の請求認容
第二審  控訴棄却。
最高裁  上告棄却。原告勝訴。
【理由】
 商法三五〇条三項(会社220)によつて準用される同法三七八条(会社220)の規定は、株式会社がその設立後に定款を変更して株式の譲渡につき取締役会の承認を要する旨の定めを設けた場合において、株式譲渡制限の文言の記載されていない旧株券を回収してその文言を記載した新株券を発行するにあたり、旧株券を提出することができない株主の保護と会社の旧株券回収・新株券発行事務の迅速な処理をはかるために、公示催告手続に比して簡便な異議催告手続を設けたものである。
このような法の趣旨にかんがみると、会社に対して異議催告公告を請求することができる者は必ずしも株主名簿上の株主であることを要せず、株券提出期間の経過前に株式を譲り受けた株主もまたこれを請求することができ、その経過前の譲受けにより株式が名義書換を経ていない数人の共有に属することとなつた場合には、株主の権利を行使すべき者の指定が株券提出期間経過後にされたときであつても、その者においてこれを請求することができるものと解するのが、相当である。


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