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会社法判例百選コミュの19

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19

19 譲渡制限株式の価値の算定方法
大阪高決h1.3.28
ゴードンモデル方式を採用。
事案  
第一審  配当還元方式
第二審 原決定変更。ゴードン・モデル式
【理由】
 継続企業は経済的に収益力により成長活動をなす側面と、土地等資産を所有する側面に分かれ、株式の化体する株主権も右に対応して利益配当請求権と残余財産分配請求権に分かれるところ、後記の特段の事情のない限り、一般少数非支配株主が会社から受ける財産的利益は利益配当(特段の事情あるときは会社の純資産価値)のみであり、将来の利益配当に対する期待が一般株主にとっての投資対象と解される。
したがって、少くとも会社の経営支配力を有しない(買主にとって)株式の評価は右将来の配当利益を株価決定の原則的要素となすべきものというべきであるが、他方、現在及び将来の配当金の決定が多数者の配当政策に偏ってなされるおそれがないこともなく、右配当利益により算出される株価が一株当りの会社資産の解体価値に満たないこともありうるので、多数者と少数者の利害を調整して公正を期するため、右解体価値に基づき算出される株式価格は株価の最低限を画する意義を有するというべく、また、収益力を欠くとき、将来の配当金の予測ができないとき、又は近く、会社の解散・清算、企業ないしは遊休資産の売却の可能性が認められるとき、会社が協同組合的実態を有するときなど特段の事情のある場合は二次的に会社の資産価値(解体価値又は企業価値)を算定要素として使用又は併用すべき場合があるというべきである。
「(3)類似業種比準方式としての国税庁長官通達(昭和三九年四月二五日直資五六)による方式(以下「国程庁方式」という)が守永鑑定において採用され、抗告人らが本件会社は上場基準をみたす大会社であるため最適である旨主張している。しかしながら、右基本通達は大量発生する課税対象に対し国家が迅速に対応すべき目的で課税技術上の観点から考案された方式で、国家と国民の公権力の行使関係を律する基準であって、本件のように私人間の具体的個別的利害対立下で公正適正な経済的利益を当事者に享受させようとする商法二〇四条の四、二項の理念とは異なるものであるのみならず、標本会社の公表がなく類似性の検証が不可能であり、利益の成長要素が考慮されず、減価率の合理性が疑わしいため、本件のような譲渡制限株式の売買価格決定の単純又は併用方式における根拠方式となすことは適当でないという外なく、この点の抗告人らの主張はとりえない。」
「(5)収益還元方式については、守永鑑定がこれを併用するが、これは将来各期に期待される一株当り課税後純利益を資本化率で還元する方式であるが、右方式の純利益のなかには内部留保として新たな設備投資などにつぎこまれ、株主に対し直接終済的利益をもたらさないものが含まれている点、河本鑑定によれば右方式の資本化率が相当でないとされる点など疑問があり少くとも配当政策等企業経営を自由になしえない本件のような非支配株主の株価算定には適当でない。
(6)純資産価額方式については、広瀬鑑定が時価純資産方式を併用しているが、本件において会社の資産価値を算定要素として斟酌すべき前示特段の事情は認められないので、直ちにとりがたく、ただ、株価の最下限値を確認するためを除き、採用すべき理論的根拠に乏しいという外ない。
 以上の次第で、本件においては将来の配当利益を算定基礎として評価する方法が最適というべきであって、本件においては広瀬鑑定、守永鑑定、木田鑑定、河本鑑定が夫々右方法として前二者が単純な配当還元方式、後二者及び抗告人らの試算がゴードン・モデル式による同方式をとっているが、前二者は企業の成長予測が反映されず単純に過ぎ採用できず、結局右利益及び配当の増加傾向を予測するゴードン・モデル式によるのが適当というべきである。

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