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会社法判例百選コミュの9

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9

9(19)相続による株式共有 総会決議不存在確認訴訟の原告適格
最判h2.12.4
条文:106、830
■ 株式を共有する者が会社法所定の権利行使者の指定通知をしていない場合において、その一部の共有者が株主総会決議不存在確認訴訟を提起することができるか。:株式の共同相続人は、権利行使者を指定し、会社に通知しない限り、原則として、特段の事情のない限り、株主権を行使することができない。しかし、本件では、信義則に反する特段の事情が認められるので、会社側が、株主の原告適格がないことを主張することができず、本件確認訴訟を提起することが認められる。

事案  株式の共同相続人と株主総会決議不存在確認の訴え(?事件)ないし合併無効の訴え(?事件)の原告適格が争われた事案であり、商法二〇三条二項(会社106)の解釈適用が問題になっている。
 ?事件は、Y会社(被告・控訴人・上告人)の発行済株式の全部七〇〇〇株を所有していたAが死亡して、妻B、長男X(原告・被控訴人・被上告人)、二男C、三男D外四名の子が共同相続し、次いでBも死亡してX外六名が共同相続したところ、Yの株主総会においてC外二名を取締役に、Dを監査役にそれぞれ選任する旨の決議がされたとして、その旨商業登記簿に登記されたため、Xが、右総会決議の不存在を主張してその確認を求めたものである。これに対し、Yは、共同相続人間において、右株式の遺産分割が未了で、商法二〇三条二項所定の権利行使者の指定及び通知を欠くとしてXの訴えの利益ないし原告適格を争ったが、Yの主張によれば、およそ有効な総会決議の成立は考えられないところであり、Xも、結果的に不正に加担するような事態を立法者が予想又は容認していたとは考えられないとして、Yの右主張を反駁した。
?事件は、合併前の乙会社(被告・被控訴人・被上告人)の株式四〇〇〇株及び丙会社の株式五〇四〇株を所有していた丁が死亡し、甲(原告・控訴人・上告人)外三名が右各株式を共同相続したところ、乙が丙を吸収合併する旨の合併契約を締結し、その変更登記を了したため、甲が、合併前の各株主総会における合併契約書の承認決議の存在を争って合併の無効を求めたものである。これに対し、乙は、甲らの共同相続に係る右各株式につき、前同様の主張をして甲の原告適格を争ったが、合併前の丙の発行済株式の総数は八〇〇〇株で、甲らの共同相続に係る株式はその過半数を占めていた。

第一審  原告の請求認容
?事件について、乙の主張によれば、発行済株式総数の過半数に当たる株式を有する株主が出席し、かつ、その議決権の三分の二以上の多数ですることを要する合併契約の承認決議(商法四〇八条三項、三四三条)が有効に成立する余地のないことは自明の理であったが、一、二審とも、この点は論点にされず、乙の本案前の抗弁を採用して、甲の訴えを却下した。

第二審  控訴棄却

最高裁  ?、?各事件とも原告適格を肯認し、?事件につき、上告を棄却し、?事件につき、原判決を破棄して、一審に差し戻した。
【理由】
 株式を相続により準共有するに至った共同相続人は、商法二〇三条二項の定めるところに従い、右株式につき「株主ノ権利ヲ行使スベキ者一人」(以下「権利行使者」という。)を定めて会社に通知し、この権利行使者において株主権を行使することを要するところ(最高裁昭和四二年(オ)第八六七号同四五年一月二二日第一小法廷判決・民集二四巻一号一頁参照)、右共同相続人が準共有株主としての地位に基づいて株主総会の決議不存在確認の訴えを提起する場合も、右と理を異にするものではないから、権利行使者としての指定を受けてその旨を会社に通知していないときは、特段の事情がない限り、原告適格を有しないものと解するのが相当である。
 しかしながら、株式を準共有する共同相続人間において権利行使者の指定及び会社に対する通知を欠く場合であっても、右株式が会社の発行済株式の全部に相当し、共同相続人のうちの一人を取締役に選任する旨の株主総会決議がされたとしてその旨登記されている本件のようなときは、前述の特段の事情が存在し、他の共同相続人は、右決議の不存在確認の訴えにつき原告適格を有するものというべきである。
けだし、商法二〇三条二項は、会社と株主との関係において会社の事務処理の便宜を考慮した規定であるところ、本件に見られるような場合には、会社は、本来、右訴訟において、発行済株式の全部を準共有する共同相続人により権利行使者の指定及び会社に対する通知が履践されたことを前提として株主総会の開催及びその総会における決議の成立を主張・立証すべき立場にあり、それにもかかわらず、他方、右手続の欠缺を主張して、訴えを提起した当該共同相続人の原告適格を争うということは、右株主総会の瑕疵を自認し、また、本案における自己の立場を否定するものにほかならず、右規定の趣旨を同一訴訟手続内で恣意的に使い分けるものとして、訴訟上の防御権を濫用し著しく信義則に反して許されないからである。

* 引き受けてもらった分の4倍を発行可能株式として設立できる。改正前は、いったん決めた募集株式数を簡単に変えることができず(定款に記載したから)、いつまでも設立できないのを防ぐために取締役に引き受け担保責任を課した。新法では右責任はなくなった。


* 参考判例:最判h3.2.19
事例 (一)上告人の本件訴えは、(1)甲野太郎は、合併前の被上告会社の株式四〇〇〇株及び戊田ビル株式会社(以下「戊田ビル」という)の株式五〇四〇株を所有していたところ、昭和六〇年二月二三日に死亡し、上告人外三名が右各株式を共同相続した、(2)被上告会社と戊田ビルは、昭和六一年一〇月一日、両会社が合併して被上告会社は存続し戊田ビルは解散する旨の合併契約を締結し、右合併に係る変更の登記を了した、(3)しかし、合併前の被上告会社及び戊田ビルの各株主総会における合併契約書の承認決議並びに被上告会社の株主総会における合併に関する事項の報告がされた事実は存在しない旨主張して、被上告会社に対し、合併の無効を求めるものであること、(二)これに対し、被上告会社は、右各株式の遺産分割は未了であり、これにつき権利行使者を定めてその旨被上告会社に通知する手続もされていないとして上告人の原告適格を争つていること、(三)合併前の戊田ビルの発行済株式の総数は八〇〇〇株であり、上告人らの共同相続に係る株式はその過半数を占めることが明らかである。

判旨 特段の事情があり、原告適格を有する。
【理由】
 株式を相続により準共有するに至った共同相続人は、商法二〇三条二項の定めるところに従い、右株式につき「株主ノ権利ヲ行使スベキ者一人」(以下「権利行使者」という)を定めて会社に通知し、この権利行使者において株主権を行使することを要するところ(最高裁昭和四二年(オ)第八六七号同四五年一月二二日第一小法廷判決・民集二四巻一号一頁参照)、右共同相続人が準共有株主としての地位に基づいて同法四一五条による合併無効の訴えを提起する場合も、右と理を異にするものではないから、権利行使者としての指定を受けてその旨を会社に通知していないときは、特段の事情がない限り、原告適格を有しないものと解するのが相当である。
 しかしながら、合併当事会社の株式を準共有する共同相続人間において権利行使者の指定及び会社に対する通知を欠く場合であっても、共同相続人の準共有に係る株式が双方又は一方の会社の発行済株式総数の過半数を占めているのに合併契約書の承認決議がされたことを前提として合併の登記がされている本件のようなときは、前述の特段の事情が存在し、共同相続人は、右決議の不存在を原因とする合併無効の訴えにつき原告適格を有するものというべきである。けだし、商法二〇三条二項は、会社と株主との関係において会社の事務処理の便宜を考慮した規定であるところ、本件に見られるような場合には、会社は、本来、右訴訟において、株式を準共有する共同相続人により権利行使者の指定及び会社に対する通知が履践されたことを前提として、合併契約書を承認するための同法四〇八条一項、三項所定の株主総会の開催及びその総会における同法三四三条の規定による決議の成立を主張・立証すべき立場にあり、それにもかかわらず、他方、右手続の欠缺を主張して、訴えを提起した当該共同相続人の原告適格を争うということは、右株主総会の瑕疵を自認し、また、本案における自己の立場を否定するものにほかならず、同法二〇三条二項の規定の趣旨を同一訴訟手続内で恣意的に使い分けるものとして、訴訟上の防御権を濫用し著しく信義則に反して許されないからである。


最判h11.12.14:会社法106条ただし書との関係
事例 本件は、Y会社の株主の一人であるXが株主総会の決議の方法に違法があるとして、総会決議の取消しと取締役会決議の無効確認を求めた事件である(Xは総会決議の無効確認も求めていたが、一審で棄却され控訴をしなかったので右請求については触れない。)。
 Y会社は、X(長男)とY会社代表者A(二男)を含む七名の兄妹の父であるBの創業した会社であり、BはY会社の発行済株式四万株のうち三万二〇〇〇株(以下「本件株式」という。)を所有していたが、昭和五五年に死亡した。なお、残りの八〇〇〇株の株式は、X、Aほかが所有していた。Bの死亡後、XとAの間に本件株式の帰属をめぐる争いが生じ(Xは、本件株式がBの遺産であることを争い、本件株式の全部又は一部は自分が所有するとして他の相続人と争っていた。)、また、被告会社の経営をめぐって紛争が生じた。
 Y会社は、取締役の選任を議題として、平成八年七月二二日、本件臨時株主総会を開催し、総会にはBの全相続人と全株主ないしその代理人が出席した。議長となったAは、本件株式については法定相続分に従って各相続人の議決権の行使を認める旨述べたが、Xはこれに反対した。しかし、Aは採決を行い、Xを除くBの相続人が議案に賛成して、取締役選任決議がされ、同日、選任された取締役によりAを代表取締役とする取締役会決議がされた。
 Xは、共同相続人の準共有に属する本件株式につき、商法二〇三条二項所定の手続を経ることなく議決権の行使を認めた本件決議には決議の方法に違法があり取り消されるべきである、また、取締役会決議は無効であると主張した。これに対して、Y会社は、商法二〇三条二項の規定は、会社の事務処理の便宜を考慮したものであるから、会社が法定相続分に応じた権利行使を認めても同項の趣旨に反するものではなく、総会決議に違法はないなどと主張した。

判旨 株式が数人の共有に属する場合において、商法二〇三条二項による株主の権利を行使すべき者の指定及び会社に対する通知を欠くときは、共有者全員が議決権を共同して行使する場合を除き、会社の側から議決権の行使を認めることはできない。

通知すればOK。=会社の同意を得ればOK、ということか。

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