me
そういうインタビューを読むと、いつもインタビュアーの仕事をしたいなって思うんだよね。アーティストのプロフィールを訳す時も原文だけじゃなく、作品は一通りチェックするし、チェックするまでもなく知っている場合も多いけど。インタビューは作品だけでは分からないアーティストの情報を引き出さないと面白くない。
Marc
そうだね。せっかくするならそういう方がいいと思う。
me
前回の来日時のフライヤーでは「脳みそがサンプラーで出来ている」って書かせてもらったよ。
Marc
そう。その通り。いつも耳から入ってくる音を頭の中で加工してるよ。
me
ちぎったり、エフェクトかけたり?
Marc
そう。まさしく。
me
今回は「キケン」って書かせてもらったよ。
Marc
いいねえ。
me
自分がインタビューできるのだとしたらどうしても聞きたかったことがあって。一体どんな環境で、どんな音楽を聴いて育ったのか?ってこと。大抵のアーティストはその作品から「どういう音楽に影響を受けてきたのか」が分かるんだけど、あなたの作品は幅広いし、分からない。見えてこない。
Marc
自分ほどバックグラウンドが分かりやすい作品を創る人はあまりいないと思うよ。ただ、あまりに広いから、分かりにくいのかもしれない。
me
何か楽器は演奏できる?
Marc
キーボードとギター。キーボードは少しだけ習ったけど、ほとんど独学みたいなもの。曲作りにおいて基本的にフレーズは全部自分で弾いてるよ。
me
サンプルをエディットして、一つ一つの鍵にアサインして弾いている?
Marc
そう。サンプルをそのまま使うことは絶対にしない。
君は何か演奏しないの?
me
音楽は好きだけど、何も出来ない。1年間だけクラリネットを習ったことがあるけど、今はドレミファソラシドが吹ける程度かな。
Marc
おお、クラリネット。大好きな楽器だよ。一番好きな音楽、いつまでも好きな音楽はJazzなんだけど、Jazzで演奏されるクラリネットは本当に好きだよ。
me
Jazz?ちょっと意外かも。
Marc
大好き。モダンなJazzとかクラブ向けのJazzじゃなくてね。クラシックなやつ。
me
Kevin YostもJazzが一番好きだって言ってた。
Marc
そうだろうね。Jazzはいつだって原点だよ。
me
Jazzは興味があるけど、誰から聞いていいか分からなかったからKevinに入門変として勧めてもらったのがJohn Coltraneだったよ。そういう意味でのクラシックなJazzだよね?
Marc
Coltraneはあんまり好きじゃないけど、でも、そういうJazz。マリンバの音が好きでね。Stieve Reichの作品がきっかけでマリンバの音が好きになったんだけど、本当に素晴らしい音だよ。サックスはあんまり好きじゃないからColtraneは好きじゃないんだよね。
me
確かに、クラリネットと比べるとサックスは音がぼやけるかもしれないね。
Marc
そう。ぼやけるし、こもる。
me
でも、見た目がかっこいい。楽器そのものも、演奏している姿も。
Marc
そうだね。sexyだね。だからsaxの方がポピュラーなんだろうね。sax and sex。至って単純さ。
me
今年はsonarに行ったの?
Marc
いや。ここ何年かのsonarは大きくなりすぎて、ビジネス色が強いから、つまらなくて。
me
先鋭的なエレクトロニックアートの祭典というイメージのラインナップと大物DJによるパーティーっていうラインナップと、二部構成みたいなイメージがあるね。
Marc
まさしく。以前は色んなアーティストやレーベルオーナーとかと会える凄く良い場所だったけど、今はパーティー色が強くて。でも、バルセロナの街は大好きだよ。sonarの最中はごった返してるけど。
me
自分も01年にバルセロナに行ったけど、お気に入りの街の一つだな。
Marc
sonarに行ったの?
me
いや、一人旅。ロンドン、ベルリン、パリ、バルセロナ、イビサ、と。ベルリンはラブパレード開催中だったからというのもあるんだろうけど、一番気に入ったね。
Marc
ベルリンは最高だね。
me
パレード自体は単なるお祭りだったけど、夜のパーティーは面白かったし、昼間にあちこち歩き回って、街が面白かった。
Marc
ベルリンは本当に面白いね。今、色んなアーティスト達があそこに移住していく気持ちが凄く分かる。
me
建物とかも面白いし、旧東側に入った瞬間に感じられる名残みたいなのが凄く興味深かった。まさしく、ベルリンでしか味わえない。
Marc
そうだね。音楽も素晴らしいし。でも、あそこに住んだら刺激が多すぎて。見るものがありすぎて困るのが見えてるから、自分は移住しない。あとは、娘のこともあるし。
me
そうそう。娘さんがいるんだよね。いくつ?
Marc
8歳
me
かわいい?
Marc
うん。娘は最高だよ。恋人とは嫌になれば別れればいい。結婚していたってうまくいかなければ離婚すればいい。でも、子供はそうできない。別れたいとも思わない。子供はまさしく自分の全てさ。
※ちなみにmarcは離婚経験者
me
そう。子供がいるっていうことを知った時は、そこらへんもインタビューで知りたいなって思った。アーティストを知る上で、どのような子供時代を過ごして育って来たか、それと、どうやって子供を育てているか、は作品を見聞きするのと同じくらいに面白いと思って。
Marc
とにかく娘はかわいいんだよ。飛び回って留守なことが多いけど地元に戻っている間は極力一緒に過ごすようにしてるよ。
me
アンダーグラウンドミュージックはアーティストの姿とか生活環境を知ることなく作品に触れるのが面白かったりするけど、そういう話を聞くと別の見方が出来て面白いね。
Marc
娘は本当に大事にしているよ。彼女がいるおかげで自分の音楽も影響を受けているし。
me
お父さんが何をやっている人だか分かっているの?世界中飛び回って何をしてるのか?
Marc
分かってるよ。ミュージシャンだって。
me
Eddie Richardsも幼い子供が二人いるんだけど、世界中飛び回ってDJしている父親のことは未だに何をやってる人なのか理解してないらしいよ。
Marc
俺の娘は理解してくれてるよ。作品を聞いてくれるし、しかも、好きって言ってくれるんだ。
me
す、すごい趣味した8歳だね。
Marc
そうだね。簡単なサンプラーがついたカシオのキーボードをプレゼントしたら凄く喜んでくれてね。ミュージシャンになりたいって言ってるんだ。
me
既に曲作りをしてる?
Marc
そうなんだよ。しかも凄く才能があると思うよ。
※親バカ?それとも才能のかたまり?
me
でも、そういう親はうらやましいかな。自分の場合は家に全く音楽が無くて。CDプレーヤーすら無かった。だからクラブに行ったり、DJしたり、オーガナイズをしたり、ということに全く理解が無くて。反対されたり。
Marc
自分の親もそうだったよ。息子がミュージシャンになるということは親にとってありえないことだった。
me
反対された?
Marc
反対とかじゃない。認めてもらえなかった。縁を切られた。
me
凄いね。自分の場合はそこまではいかなかったけど、「こうなってほしい」みたいなことは大分言われたなあ。
Marc
どの親もそんなもんだよ。親には親の世代の考えかたがあるし、大切な子供だから。でも、俺は娘がミュージシャンになりたいって言ってくれているのが凄く嬉しいよ。
me
いつも近くにいて、姿を見せているからなんだろうね。
Marc
そう。何も隠さないよ。家でタバコは吸わないようにしてるけどね。でも、パーティーを終えてハイなまま家に帰ったりするし。そういう時に娘が慕ってきてくれたりすると、凄く可愛いく思えるんだよね。