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ぶっ飛んだ事をしたいコミュの★最南端からの手紙★第1話

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1月3日。今日は波照間島の成人式だ。

今年の成人は3人。男男女だ。

人口540人に対して3人。そんなもんか。


13時より公民館にて成人式の開始。

島の偉いさん達が集まり、それぞれ祝辞を述べる。

そんな中、僕はトシおばぁと一緒に公民館の外の窓から式を眺めるのであった。


『トシおばぁ、あそこで踊ってる人は誰??』

公民館の舞台の上で踊る夫婦らしき人が3組いた。

『成人した子達の両親さ』

どうやら成人した子達の両親達は子供を祝って踊りを舞うらしい。

『教科書に書いてある、ことだけじゃ分からない〜』

島人の宝に合わせて踊っている。


なんて素敵なんだろう。本州では無い事だ。


そんな貴重な場面を見た後に僕はトラクターの運転の仕方を習いに畑にいく。


そう、僕はサトウキビ畑で働く、ざわわ少年。

サラリーマン生活を捨て日本最南端の島で住み込みで畑仕事をするのだ。


『あのよ、トラクターは大型特殊免許がいるけどバレねぇ』

この島に警察官はたった一人しかいない。

『トシおばぁもよ、免許もってるさ、大丈夫。』

そんなよく分からない励ましを受けトラクターに乗り込んだ。


運転を教えてくれるのは、一典さん。居候させてもらってる家のおじさんだ。

おじさんちには、『トシおばぁ』と一典さんの息子の『海』が一緒に暮らしている。


畑でよく見るトラクターは畑を耕したり、倒したサトウキビを一気に運ぶのに使う。

畑の中では時速2kmが限界。激しく揺れすぎて運転できない。

道路上では時速20km。

『違う違う、クラッチ踏みながらだって。』

一典さんが強い口調で教えてくれるが、顔は笑っている。

島の人は口調が強い。


一人乗りの密閉されたトラクターに無理矢理2人で乗ったせいで車内は非常に厚い。

『くもって来たな、クーラー付けよ。』

エアコンもラジオも付いている。


練習を経て、帰り道の途中まで運転させてもらい、人の多い集落に着くと運転を変わった。


『ありがとうございました、また宜しくお願いします!』

元気な挨拶でお礼を述べた。


今夜、成人した子供たちを祝って彼らの家に、島の人たちが祝儀をもって続々と集まるらしい。

そしてサトウキビ畑を紹介してくれた秀治おじさんの息子が、成人した3人のうちの一人だった。

『一典さん僕も成人のお祝いに連れていって下さい!』

トシおばぁのアドバイスを受け祝儀袋に名前を書き2000円包んだ。

島の人は3000円包むとの事。


そのような処に顔を出すというのは好奇心旺盛の僕には普通の事である。

顔を出せる場所にはドンドン顔を出す、自分の顔を売る、という事が体に染みついている。

しかし、昔と大きく違うのは受け身でのYESマンから、自分からチャンスを掴むYESマンになった。


一典さんと車に乗り、秀治おじさんちに向かった。

一典さんは風邪気味の為、酒は飲まないと。


『本日はおめでとうございます。』

一典さんの後ろからちょこんと顔を出して、僕も

『おめでとうございます。』


『飲め飲め』


僕は淡麗の缶ビールを飲んだ後に、

『島頂いていいですか?』

こっちでは島酒(泡盛)を略して島と呼ぶ。


波照間でしか基本飲めない泡波をここにきて初めて飲んだ。

氷は手づかみで秀治さんが水割りをつくってくれた。


『初めまして、キビ狩りをさせて頂きます山本と申します、宜しくお願い致します。』

変わる変わるこの家に足を運ぶ島人に挨拶を交わした。


そう、成人が3人いるので島人はそれぞれの家を祝いに訪問している。


『キビ狩りは慣れるまでほんっと辛いぞ!』

このフレーズはこの旅の中で会う人会う人に言われた言葉だ。

『はいっ!がんばります!』


家の中にはざっと、入れ替わりはあるが常時30人程いる。

小、中学校の校長先生まで登場した。

『波照間のサトウキビを宜しくお願いしますね!』

アツイ握手を交わした。


校長先生や、島の偉いさんは帰る間際に一言挨拶を述べて帰っていく。


一典さんは風邪で酒が飲めないせいか、落ち着かないようで次誰か来たら出ようと。


家を出る前に、


『えみちゃん、ご縁頂きましてありがとうございました。』

僕がここにいるのも全てえみちゃんのお陰だ。


11月末、初めて波照間に来た。

その時泊まったのは西浜荘という民宿だ。

そこにえみちゃんが遊びにきて、サトウキビの件秀治さんにいうとくね、と言ってくれたのだ。

えみちゃんは秀治さんが経営しているペンション最南端でお手伝いをしているヘルパーさん。

波照間に来て3年になるキレイなお姉さん。

福岡で水商売してたってさ。


人のご縁とはあり難き、心より感謝申し上げるものだ。

『この道は折り目を正す道ならば至らんとても身の徳となる』

僕の空手の恩師が教えてくれた言葉だ。

糸東流の言葉らしい。

自分が未熟でも礼儀をしっかりしていればプラスになる事が沢山あるという事だ。


僕は一典さんと、一典さんの友達と一緒に車に乗り家に向かった。


家に到着したらトシおばぁに、

『トシおばぁ貴重な経験ありがとうございました、沢山人が来ていて島のあったかさを感じました』

『海が小学校入学した時はよ、うちにも沢山人がいっぱい集まったさ、卒業の時も集まるよ。』

島人は本当に子供たちを宝物のようにしているのが非常に伝わってくる。


『おぃ、もう一軒行くけども、おめぇも行くか?』

どうやらもう一人成人の家に行くらしい。

これ包んで持っとけ。

今度は一典さんが2000円封筒に包んでくれて名前だけ自分で書いて胸ポケットに入れた。


次の家は近所で二人でチャリンコで向かった。


秀治さんのうちのように人が30人程いた。家のつくりもよく似ている。

『本日はおめでとうございます。』

僕も続いて言った。


島を淡麗の缶ビールを1本飲んだ。

疲れていたせいか酔っ払っていた。

『サトウキビ畑で働かせて頂きます山本と申します、宜しくお願い致します。』


挨拶を交わした人の中に、製糖工場を仕切るおじさんがいた。

『あちらにいらっしゃるのは、御兄弟さんですか?』

この言葉がきっと地雷になってしまったのであろう。

髪型、眉の太さ、顔のつくり、全てが似てるおじさんが遠くに座っていたので尋ねた。

『いや違う。』

一典さんをはじめ近くにいた、おじさんら3人で、言いあいが始まった。。

お前とあいつは親戚だとか遠い親戚だとか、関係ないとか。

僕はトイレにいきたかったのでトイレに。


『似てるか?』

戻った僕に製糖工場を仕切るおじさんは尋ねた。

『いやぁ、雰囲気がなんとなく。。』

やばい、クリソツやのに兄弟じゃなかった、、、

顔の表情が険しくなっていた。。

『製糖工場の仕事の内容ってどんな感じなんですか?』

呆れたように首をふり、

『悪く思わんでほしいけど。』

『島の人間でないものはデシャバルな。だまってすましといたらええ。』

『こんな場所は来るとこじゃねぇ』


違うおじさんが一典さんに、

『お前が連れてくるから悪いんよ』


一典さんが怒られてしまった。


『このような大切な場所に自分みたいなよそ者が足を運んで申しわけございませんでした。』

正座で手をつき、精一杯自分なりに謝罪した。

『悪く思わんで欲しいけど、島ではデシャバらん方がいいよ、たたかれるから』


僕は少し勘違いしていたようだ。笑顔でいれば誰とでも仲良くなれる。

ここでは島の人があってこその自分。僕は波照間でキビを狩らしてもらって、お金をもらって、

ご飯を食べさせてもらって、寝させて頂いているのだ。

自分が前に出てはいけない。控え目でいる事を忘れるな。


少しフラフラ酔っ払いながら一典さんと家路に向かった。

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