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白井京月の世界コミュの新しい人間観

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近代民主主義の中で個人は独立したものとして扱われ、権利と自由を拡大してきた。個人の自由によって進歩が促進され、社会は発展し、幸福が得られると考えられてきた。しかし、個人は組織の中で、社会の中で悩み苦しんだ。あるいは考えることをやめて空洞化した。私は長い間、個人と組織そして社会のより良い関係について模索してきたが、今は個人と組織および社会を区別して考えることが誤りであると考えるようになった。

私とは何だろうか。一人の人であるとはどういうことなのか。私とは、決して独立した個人ではない。私とは、人間という命をもった生命=種のエージェント(代理人)だ。意思によって突然に生まれたのではなく、必ず親がいて、先祖がいる。人類の歴史は生命の歴史であり、私という命が誕生した瞬間から、生態系の中で生きる運命にある。

地球上のすべての生物は生態系の中で闘争と共同を繰り返しながら命をつないで行く。私とは、人間のそして自然のネットワークの一部なのであって、個人が社会を作るのではない。組織(あるいはコミュニティ)も個人も社会というネットワークの中の一つの要素である、区別して考える必要はない。

このように考えると、利己的であることと利他的であることは対立しないし矛盾もしない。基本的に地球上の生物は仲間だ。もちろん、捕食という生命の原則があるので、戦いは常に存在する。しかし、敵を食べるのではなく仲間を食べているのだと、命の宿命なのだと理解すれば、罪悪感を持つ必要もない。もっとも、人間同士の争いについては、理性的であってほしいいし、残忍さは望まないが。

アダム・スミスの「神の見えざる手」を教義とする資本主義の下で、科学技術は急速に進歩し、社会は大きく変化した。しかし、経済的な格差の拡大と貧困層の増加、そして地球環境に対する重大な影響という陰の部分を見過ごすわけにはいかない。成功者を称賛し、誰もが成功者を目指すべきだというプロパガンダは、未だに大衆にとって魅力的なようだ。

もしも、今が20世紀ならば、同じ思いを持つ個人が団結して戦うしか対抗策は無かっただろう。しかし、インターネットやSNSが発達しつつある現代においては、別の方法をとることが可能である。重要なのは、個人の考え方を変えることではなく、ネットワークそのものの性格を変えることなのだ。

どのような理念とビジョンが良いのかを具体的に示すよりも前に、「私とは何か」という哲学な問いに真摯に向き合いたい。私は決して一つの個ではなく、いろいろな意味でネットワークとつながった存在であり、ネットワークの一部である。個人として独立してもいないし、個人として自由でもない。

もっぱら自らの幸福を追求するのことは当然とされているが、自らの幸福は同時にネットワークの幸福であって、それは不可分である。(ネットワークを国家と混同してはいけない)

私とは、生命の歴史の中で偶然に誕生したエージェントの一人。生れた時から遺伝子は決定されているし、そこには既に社会があり、特定の家庭環境があった。いったい私たちに、どうやって遺伝子や環境から自由になれと言うのか。

私とは個体でもあるが、生命という世界の一員でもある。私は必ず死ぬ。いかし、生命の歴史は遥かに長く続く。それもいずれは消えるのかもしれない。しかし、私の願いは個人的な幸福である以上に、この地上の生命の健全な発展だ。なので、私という個体が死んだとしても、希望が消えることはない。

生命とは差異を含む複製だ。私の中には貴方がいる。貴方の中には私がいる。こう考えると、私という個体の死は、私の完全な死を意味しない。地球上に生命がある限り、私たちは死ぬことはない。

コメント(2)

「人間らしさとは何か?」という正解のない問いが私の中で大きくなる。優しさや思いやりなら動物にもある。近代以降の人間ならば、個人という概念で権利や尊厳について語るかもしれない。幸福の追求は当然のこととされているが、ひたすら前へと懸命に走る現代社会は節度を失っているように思う。

人は個人という社会的存在であるより前に、地球上の自然、地球上の生命のつながりと循環の中でのみ生きることのできる命だということを忘れてはいけない。進化する生態系の中で、一つの命として生まれ、動植物を食べて生きている。人間もまた、雄大で神秘的な生命の営みの中で生きる生物の一種であり一員であるということ。現代文明は人間が生命を超えているかのように錯覚している。あるいは、生命を超えることを目標としている。これは大きな間違いだ。


科学技術の飛躍的な発展は、人間の生活様式を全面的に変化させた。新しいものを開発し、社会を進歩させることも人間らしさの一つなのだろうう。そして、権力の所在も形態も変わった。人間観も大きく変わった。現在の権力が、資本なのか、国家なのか、メディアなのかは議論の尽きないところだろうが、最近の権力は人間ではなく、道具あるいはシステムへとシフトしているように感じられる。インターネットやSNSを含めて、高度にシステム化されたは社会空間ができたことで権力の主体が人間からシステムに変わって行く。SF小説にありがちなモチーフだが、それが現実化していると感じるのは私だけではない。

人間の夢は、自らを機械化することなのだろうか。人間の価値とは、自らの能力あるいは社会における機能で評価されるよなものなのだろうか。それは支配者が押しつけてきた価値観でしかないのだが、メディアによって洗脳された多くの一般人は、自己を熱心に道具化し、仕事をしていると胸を張る。

仕事を否定するつもりはない。ただ、人間は個人であるより前に、一つの生物として地球の生態系の中で生きている「命」だということを基本的な感覚として持っていることが重要だ。現代文明は、自然を解明し、自然を管理できるという妄想に取りつかれている。そこには謙虚さも無ければ、節度もない。

誰が良くて、誰が悪いということではない。不毛な戦いも議論もいらない。ただ、一人一人が、人間が地球の生態系によってのみ生きることのできる生物であるということを自覚することが重要なのだ。現代人は、人間であるという命の感覚を失いつつあるのだ。

一つの命は、独立して生きているのではない。都市で生活していると、この当たり前の感覚が麻痺してくる。繁栄の熱狂に酔いしれてはいけない。難しいことではない。いま一度、人間とは何かを静かに考えることだ。節度のない熱狂は、文明の破壊を早めるだけで終わるだろう。一人の力では、何もすることができない。ただ、自らが「人間とは何か」に思い出すこと。その思いだけが、現代の大きな危機への唯一の対応だと私は信じている。
真夜中のバーのカウンター。店にはマスターと一人の客。サラリーマン2年目の真面目すぎる若者だ。

「人間らしい生活ってなんですかね?」

若者はいきなり小難しいことを口にした。

「それは人それぞれ答えが違うだろうね。時代も、文化も違うし。まあ、満員電車で通勤して、年に2000時間以上も働く生活は人間らしい生活とは言えないかもしれない。でもね、人間らしい生活がそんなに大事なのかな。今の時代、たいていの人は人間らしい生活を犠牲にして生きてるんだよな」

若者はウイスキーを口にすると、ゆっくりと間を置いた。

「でも、マスターはカッコよく、人間らしく生きてますよね」

マスターは笑った。

「そう思ってもらうのが商売だからね」

「会社には人間的な魅力を感じる人がいないんですよ。それに、僕ははコミュ障扱いされているようで、結構つらいんだな」

マスターは何も言わない。サラリーマンの客は、だいたい自慢と愚痴を話したいだけだ。酔っぱらっつて現実をごまかしながら、その人間らしくない生活を続けて行くのだ。軽蔑とまではいわないが、真面目に話をすると、それはもうマスターと客の関係ではなくなる。マスターは愛想を使いながら話をかわす。

「人間らしいと言えば、すべては人間らしいよ。こうして酒を飲むことも、悩むことも。どれもこれも人間らしいんじゃない」

若者は酔った頭で考えているようだ。

「でも違和感がね。社会や会社が決めたことを、やらされているだけ。それは人間らしい生活じゃない」

過酷な競争社会。多くの人が熱心に働き、ストレスを抱えて飲みにくる。だからこうして商売ができる。しかし、最近は羽振りの良い客が減った。ウイスキー1杯で何時間もいる客。マスターは内心、腹が立っている。しかし、そこは商売人だ。いろいろと作戦を用意している。

「えらく人間らしいにこだわるね。何かあったの?」

「水割りをもう1拝ください」

若者の目は少し赤くなっている。目は涙で潤みかけている。

「だいたい、人間らしいかどうかに正解なんかないし、誰かに押し付けられるものでもない。自分がこれが人間らしいということだと決めれば良いんだ。僕に聞いても意味がない。人間らしい生活は、それぞれ違うんだろうな」

「確かに。今の世の中、人間らしい生活もチェックリストで採点しますという感じですよね。幸福度調査とか、完全に狂ってる。規格化して、評価する。そういうやり方が人間らしくないんですよ。しかし、それが世の中。私は抵抗することも、逃げ出すこともできない」

「ははは。そんなもんは無視すればいいじゃない。相手にしたら負けだって」

「そうですね。いや、良いお話しありがとうございます」

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