宝塚が好き！（Gay Only）コミュの宝塚歌劇「fffフォルテシッシモー歓喜に歌え！ー」「シルクロード～盗賊と宝石～」

小池百合子とか言うおバカなフリップ芸人が、あと三人（千葉・埼玉・神奈川県知事）を扇動して総理に緊急事態宣言を出させた。それに吉村が便乗、京都・兵庫の知事も乗った。おかげでこっちは良い迷惑。おまけに小池は、時短要請が長くなれば自分の印象が悪くなるからと、政府からの要請を断った。おまけに、去年コロナ専用病床を減らしている。小池が言いっぱなしで管総理が押されている。と、思っていたけど、これ政府にとっては「想定内」な事だったんだって。なーんだ。（月刊Hanada３月号「緊急事態宣言発令は菅政権の想定内）。

宝塚大劇場に入ると、案内のおねえさんが「会話はお控え下さい」なんておっきい札をもってロビーを歩いている。ただ、これが茶番に過ぎないと言う事を知っている人は大勢いて、皆さん楽しくおしゃべりなさっている。ホント、症状の無い人とただ話すだけで感染するなんて本気で考えているのだろうか。もし、そう考えている奴がいたら、そいつは相当な馬鹿だ。

クラシック音楽は中学生の頃から好きだが、ベートーベンは苦手だった。後になって気がついたのだが、僕が苦手だったのは「ベートーベンと言う物語」だった。例えば、「運命」と言う物語、「努力家」と言う物語、耳の障害にもかかわらず名曲をたくさん残した、と言う物語。大人になってから京響の定期で小泉和裕指揮ベートーベンの交響曲５番を聞いた。そこにあったのは、「運命」と言う物語ではなく、単なる「ベートーベン作曲交響曲５番」だった。最初に出てくるたった４つの音から、この曲のすべてが出来ている事を明確に示し、一陣の風が吹いたようなさわやかな演奏だったことを今でも覚えている。

この「fff」は全編が「ベートーベンと言う物語」である。作演出は上田久美子。舞台は「天国の扉」から始まる。ケルビム（一樹千尋）が扉の前で天国に入る者を選別している。死してからだいぶたつのにモーツアルト（彩みちる）・ヘンデル（真那春人）・テレマン（縣千）は入場を拒まれる。この三人が狂言回しとなって芝居が進行していく。

期待したけど、今回もオーケストラボックスは空っぽ。寂しい限りだ。そのため、オケボックスを使った演出が結構面白く、ありがたかった。最初に出てくる曲は交響曲第三番。この曲は、クリュイタンス指揮ベルリンフィルの演奏で知っている。このレコード（LPです）中学高校の時愛聴版だった。この曲をオーストリア皇帝に献呈するよう言われるが、ベートーベン（望海風斗）はナポレオンに捧げると言う。

そこからベートーベンの生涯の話になっていく。数々の実らぬ恋、挫折、それでもひたむきに生きるベートーベンの姿は、単に「ベートーベンの物語」を超えている。

トップ娘役の真彩希帆が演じるのは「謎の女」、ベートーベンにしか見えないと言う設定である。耳が聞こえなくなったベートーベンの「耳」の役を務める時もある。見ているとこの役、ミュージカル「モーツアルト！」におけるアマデ、オペラ「ホフマン物語」に出てくるミューズ・ニクラウスのようなものか、と思った。終盤近く、彼女が何者かベートーベンは突き止めるが、必ずしもその答だけが正解とは言えないのではないか。

この芝居には三人のベートーベンが出てくる、少年時代（野々花ひまり）、青年時代（彩海せら）、は別の人が演じているがその三人が同じ場面に出てくる時もある。この芝居の中でゲーテが大きな役割を果たしている。劇中劇で「ウエルテル」が出てくる。また、ゲーテはワイマール公国の枢密顧問官でもあって、ベートーベンと会い、彼に政治的主張に疑問を呈し、亡命をすすめる。憧れ、崇拝までしていたナポレオンとゲーテに裏切られベートーベンは失意の底に沈む。

そして、ベートーベンの幻想が繰り広げられる。ロシア戦線のナポレオンと遭遇するのだ。この場面が芝居の切り場になっている。ベートーベンの第五交響曲は最初の４つの音からすべてが出来ている。このように、ベートーベンの交響曲は単純な動機旋律からすべてが出来ているという場合が結構あるのだ。例えば第三番は最初に提示される和音からすべてが出来ていると言っても言い過ぎではない。最後は交響曲第九番の歓喜の内に終わる。

続く「シルクロード」は生田大和が手がけた初めてのレビューである。幕が開くと大きな砂時計が中央に鎮座し、砂漠のシーンが中心になっている。よくある、様々な歌と踊りが何の脈絡もなく次々と続いていく、と言うものではなく、通常の形式に則りながら進行してはいくが、砂漠・キャラバン・宝石・盗賊と言う物語にそって舞台は進行していく。そして、フィナーレがつく、と言う形式になっている。

この公演、これからの宝塚を担っていくであろう、上田久美子・生田大和の才気を感じさせる大変興味深い公演となった。