宝塚が好き！（Gay Only）コミュの「宝塚をどり」「明日への指針」「TAKRAZUKA 花詩集100」

観劇日３月22日（土）15:00開演　B席11列24番　

宝塚の三本立てを二日目に見てきた。初日から一週間目に見たかったのだけれど、この日はチケットが取れなかった。と、言うのは、この公演には各組のトップコンビがゲスト出演するのだが、その日は人気が高く取りにくい。出来れば四月の初め、「花のみち」が花盛りになる頃に見たかったのだけれど。

最初は植田神璽作の和物のショー「宝塚をどり」。お約束通り、勢揃いの「チョンパ」で幕が開く。指揮は大八木靖。このショーはかなり100周年を意識したものとなっている。男役は若衆髷、全員白足袋である。残念なのは、娘役で裾を曳いた着物を着ているのは専科の松本悠里と娘役トップの愛希れいかだけである。最初の総踊り、そして歌舞伎の「楼門五三の桐」のようなせり上がりと迫力満点であった。振り付けも、花柳壽輔、花柳寿楽、山村若となんとも豪華である。

途中で新入生の口上がある。座頭は組長の飛鳥裕。若衆ではなく月代を剃った野郎髷に裃、黒紋付き姿で口上を述べた。東西東西と男の声で（これは男の声でないとまずいだろう）化粧声がかかり座頭が出てくる。「狂言半ばではございりまするが」と歌舞伎と全く同じ口上。後ろに並ぶ新入生は全員鴇色の女着物。「隅から隅までずずずいと、御願い上げたてまつりまする。」と型通りなのだが、声が掛からない口上と言うのは物足りない。もっとも、どう声を掛けていいのかわからないが。それから、今回は組長が男役だからこうなるのだが、組長が娘役ならどうなるのだろうか。歌舞伎のように頭に紫のふくさをの載せ、黒紋付きに振り袖と言った女形の格好になるのだろうか。

その後は、専科の松本悠里の天女の舞。なかなか見応えがある。次いで三番叟。100周年なのだから三番叟が出るのは当たり前と言えばそれまでなのだが、まさか宝塚の舞台で三番叟を見るとは思ってもいなかったので驚いた。

特に良かったのは、獅子が出る所。赤い毛の獅子（歌舞伎舞踊の連獅子では子獅子）が良い。特に全身の毛がバイブレーターのように震えるところが最高に良い。歌舞伎舞踊の獅子物でも、獅子が牡丹の花のにおいを嗅ぐところでこのように全身の毛をふるわせるのだが、近年毛を振る事ばかりが強調され、こういうところが疎かになっている。十八代目勘三郎は以前こういう所を丁寧にやったが、晩年は疎かになっていた。宝塚でこういう所を丁寧にやっているのが良い。それに、毛を振りすぎない所も良い。

最後は全員二枚扇になるが、後ろの方の新入生は振りが簡単なのはご愛敬。50分があっという間だった。もっと見たいくらいだ。和物のショーを見ていつも思うのだけど、あれだけ激しく動いても着崩れないのに感心する。この時だけ、男衆を着付けに呼んでいるのだろうか。

30分の幕間の後は、「明日への指針」。35分の短い芝居である。たった35分ではあるが、90分に膨らます事の出来る素材を三分の一に凝縮したような内容になっている。作・演出は石田昌也。十分に見応えがある。100回目の航海に出発するアメリカ船籍のセンチュリー号、禁酒法時代にロンドンからニューヨークに行くまでの４日間の物語。指揮は前回に続いて佐々田愛一郎。装置は一杯。舞台展開がないのが、かえってすっきりしている。この芝居も、祝祭劇を銘打っているだけに、100周年をかなり意識したものになっている。内容は盛りだくさんだが、詰め込み過ぎにならず、上手くまとまっている。

15分の幕間の後は、洋物のショー「TAKARAZUKA 花詩集100」。プロローグに続いて、いきなり新入生によるラインダンス、それから、大階段が出てきてパレードとなる。思わず、あの～～、まだ始まったばかりなんですけど・・・、と言いたくなってくる。なんとも衣装が豪華、また、なかなか面白い。わざわざフランスからデザイナー、アントワーヌ・クルックを呼んだだけの事はある。作・演出は藤井大介。今回の三本の内このショーが一番長いが、いささか冗長なところがある。指揮は、佐々田愛一郎。僕は佐々田がショーを振るのは初めてみる。ショーでも安定した指揮ぶりだった。今回サービス満点なのは、ラインダンス、とパレードが最初と最後に２回あること。二回目のラインダンスは、新入生と月組のメンバーによる総勢100名による。これは見応えがあった。嬉しかったのは、最後のパレードで、僕の大好きな「虞美人」の主題歌「赤いけしの花」を歌ってくれたこと。外題が「花詩集」で、「赤いけしの花」は名曲として知られているので入れたのだろう。