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2024年04月02日22:59

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DOGMAN ドッグマン(Dogman)

 「レオン」のリュック・ベッソンが実際の事件に着想を得て監督・脚本を手がけたバイオレンスアクション。

ある夜、1台のトラックが警察に止められる。運転席には負傷した女装男性がおり、荷台には十数匹の犬が乗せられていた。「ドッグマン」と呼ばれるその男は、自らの半生について語り始める。犬小屋に入れられ、暴力を浴びて育った少年時代。犬たちの存在に救われながら成長していく中で恋を経験し、世間になじもうとするも、人に裏切られて深く傷ついていく。犬たちの愛に何度も助けられてきた彼は、生きていくために犬たちとともに犯罪に手を染めるが、「死刑執行人」と呼ばれるギャングに目をつけられてしまう。

「アンチヴァイラル」「ゲット・アウト」のケイレブ・ランドリー・ジョーンズが主演を務め、圧倒的な存在感でドッグマンを演じきった。共演は「フレッシュ」のジョージョー・T・ギッブス、「ザ・ベイ」のクリストファー・デナム。2023年・第80回ベネチア国際映画祭コンペティション部門出品。(映画.comより)





<2024年3月10日 劇場鑑賞>

 ケイレブ君はハンサムだと思うのです。それなのに、いつも幸薄い役柄で、またそれがハマるんですね。今回も、乱暴極まりない父親に、およそ考えられないような虐待を受けて成長した役柄です。

 彼の父親は闘犬を生業としていました。しかし、犬を愛するでもなく、ただの商売道具として粗野に扱っていました。ある時、禁止されていたにもかかわらず、ケイレブ君が犬にエサをやったことを兄に密告され、怒り狂った父親は、彼を犬のゲージに放り込みそのまま放置します。あまりの異常性に母親は出て行ってしまい、父はますます狂暴化。しかし、犬小屋の中では犬たちはケイレブ君に優しいのでした。

 それからかなり経って、子犬が何匹か生まれます。しかし、父と兄はあろうことか子犬たちを殺そうとします。必死に止めるケイレブ君に父親が散弾銃を発砲。ケイレブ君の小指は吹っ飛び、さらに腰にも当たって下半身が動かなくなるのでした。しかし、冷静だったケイレブ君は、小指をビニール袋に入れ、小型犬にくわえさせ脱出させます。そして犬さんも指令通りにパトカーの上にそのビニール袋を放置し、警官を呼び寄せることに成功するのです。結果、父と兄は逮捕され、ケイレブ君は施設で育つことになります。

 元々頭がよかったのでしょうね。施設ではよく学び、読書家でした。真面目でもあったので、時々やって来る演劇の先生(女性)に教わり、いつしかシェイクスピアまで演じるように。しかし、彼女だって女優。野望を持ってチャンスにかけ、ケイレブ君の淡い恋は終わってしまいます。

 施設を出た後は、犬の保護を生業としました。犬たちはいつも賢く、ケイレブ君の心情や考え、指令をよく理解し、そこから先のいろいろな出来事にも、的確に対応してゆくのでした。

 ざっとこんな感じです。要約しすぎかもしれません。実際は、マフィアがらみの仕事を引き受けたり、施設の立ち退きを迫られたり、”富の再分配”と称して金持ちからの盗みを犬を使って実行したりするのですが、要するに「賢い犬たち」と「女装が似合う美しいケイレブ君」なわけですね。この賢すぎる犬たちは、ちょっと非現実的な気もしますが、まぁ映画だし、日本にだって昔は「猿飛の術」を使って巧みに猿たちを操る部族がいたわけですから、あり得ないこともないのかもしれません。

 前半のケイレブ君は、かわいそうすぎて見ていられなかったりもしましたが、基本的には楽しんで見れた映画でした。むしろ好きです、こういう映画。映画は精神科医(黒人女性)に対する独白という形で展開するのですが、彼女もまた、男たちの暴力から逃げて、今ここに行きついている(しかしまだ安全ではない)ということがわかってきます。でもそんな彼女は「神は自由意志を与えた」みたいな意味のことを言うので、ケイレブ君を応援しているのかな、とも思います。もっと真っ当なことをして生きられる、と。

 ラストシーンは判断が難しいと思うのですが、



<ここからネタバレ>

 ケイレブ君は車椅子から懸命に立ち上がり、教会の前で笑いながら絶叫し、地面に倒れ込む。その周りをたくさんの犬たちが取り囲む・・・そんな画になって終わります。どうなんでしょうね。私は、彼はこのまま死ぬのかな、とも思いました。でもあるいは神との決別なのか。それとも他に意味があるのか。私にはわかりません。

<ネタバレ終わり>



 この映画がリュック・ベッソンの作品だなんて!とっても意外でした。
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