ピアノ・ソナタ 第1番 ヘ短調 op.2-1
ピアノ・ソナタ 第10番 ト長調 op.14-2
ピアノ・ソナタ 第13番 変ホ長調 op.27-1
ピアノ・ソナタ 第4番 変ホ長調 op.7
ピアノ・ソナタ 第14番 嬰ハ短調 op.27-2《月光》
アンコールは3番第三楽章。
個人的には、ブッフビンダーは、最も好きなピアノソナタ(D960)と最も好きなピアノ協奏曲(ブラームス2番)の両方を実演で開眼させてくれたので、「最もお世話になったピアニスト」の最右翼。なので、今回も、果たして80前の人間に3勤1休4勤などさせて32曲全部弾かさせることが「音楽商品」としてどうなのかという思いもあったが、とりあえず7回券を購入。仮に1つも売り抜けられなかったとしても、5公演行ければおつりが出ることもあり。
今回は7回の中でも最も食指がわかないプログラム(だからこそ冒頭に持ってきたのだろうが)。本来なら冒頭から見送り候補でもあるが、この日に行ってチケットを回収するというシステムもあり、参戦。
その程度の意気込みで臨んだのだが、よかった。クオリティの点は問題なし。ミスタッチは目立たなかったし、クラリティはそりゃレヴィットとかの方がいいがこの人はそもそもそこは売りではない。彼でしか出せない流れの良さを堪能。彼のもう一つの持ち味である「懐の深さ」も、今回は初期だけのプロなのであまり顕著ではなかったが、それでも14番第一楽章のバスラインの威厳のある浮沈には瞠目(瞠耳)。
冒頭のとおり彼にはピアノの世界を開いてくれたという多大な恩がある。今回も、自分にとってまだ到底消化しているとは言えないベートーヴェンのこの32曲のうちいくつかを拓いてくれることを期待。この日だけでも13番の自由な世界や4番の大きさは今まで自分が(当然、聴いてきてはいたはずなのに)気づかなかったもの。これから1週間であといくつ発見できるだろうか。
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