タリバン穏健派の失脚　の雑感

タリバン穏健派バラダル師が事実上失脚、大統領官邸で銃撃戦の末（9/17）
https://news.yahoo.co.jp/articles/d6035e0fab7c3053450747c246e27c389db1eec7

穏健派で欧米とのパイプ役だったバラダル師が、新政権での組閣人事で対立していた　強硬派ハッカニネットワークからの襲撃を受けて、そのまま失脚してしまったという話。

バラダル自身は　襲撃も失脚も否定しているのだけれども、現在発表されている組閣人事は、バラダルが主張していた包摂的なものとは程遠いもの。少なくても「強硬派に屈することになった」というのは間違いないだろうと。

まぁ（建前上はパキスタン軍だけれども）米軍に１０年近くも捕まっていた幹部が突然釈放されて、『ダイジョウブ、欧米のミナサンとは話し合いができマスヨ』。釈放後も国外に留まって　外国の要人とのパイプ作りばかりで、国内での政府軍との戦闘には参加せず。戦闘終了後になって、ようやく帰国したと思ったら、いきなり内政のトップに就いて、あからさまに欧米を意識した人事を行おうとする。これで武闘派から反発受けない方がおかしいわけで、失脚するべくして失脚した感はある。

もっとも、それでも殺害されるにまで至ってないあたり、やはり創設メンバーの一人として　一定の敬意は払われていた　ということなのだろうけれど。

実権を握ったハッカニネットワークは、パキスタンは言うに及ばずとして、ロシアや中国との関係も疑われている。欧米との関係の深いバラダルを追い出して中露大勝利…に見えなくもないのだけれども、「敵の敵は味方」で過激派を支援したら後でしっぺ返しを食らった　というのは有りがちなパターン。今後どうなるのかはまだ分からない話だよなと。