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2020年09月18日19:57

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第1回【ネイキッドウォリアー】ゲームブックリプレイ

フォト


※ここから先はミニゲームブック【ネイキッドウォリアー】のネタバレを含んでいます。ご注意ください。

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「あなたは全裸のまま衆人環視の前に放り出された。」
衝撃のオープニングで始まる名も無き女戦士の挑戦。
あなたはこの過酷な戦いを勝ち抜けるか?
100パラグラフに5つのエンディングと無数の罠が詰め込まれた、筆記用具要らずのミニゲームブック。

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●作品紹介

ぜろです。
今回はこちらの作品【ネイキッドウォリアー】をプレイさせていただきます。

ちゃなさんの作品で、電子書籍デビュー作になります。

ちゃなさんは、電子書籍でコンスタントにゲームブックの発表を続けている方です。
先日はFT新聞金曜日の「わたしの本棚」にも投稿されていましたね。
本作【ネイキッドウォリアー】から始まる同一世界観の作品を多数発行しております。
本作には登場しませんが、フラグワードシステムという、キャラクターの状態を1つの単語で管理するシステムは秀逸で、プレイングの軽さを追求していて、電子書籍との相性は抜群です。

あらすじにもあるとおり、衝撃の全裸スタート! しかも主人公は女性! そして表紙の主人公は全裸! 文章の最後にすべて「全裸で」とつけたくなるような作品です。

電子書籍でゲームブックを探したときに、これほど注意を引きつける存在がありますでしょうか。つかみはOK。完璧です。あとは内容ですね。

イラストに描かれる女性は全裸ですが、ふんわりとした優しいタッチで描かれています。
主観的にはエロさを強調したものではないところに好感が持てる魅力的な女性です。
少年漫画風のテクニックで、髪やら剣やらで、いろんなところも巧みに隠してます。

この女性が私の分身、主人公でしょう。
どんな事情か、これから全裸スタートすることになるという。

100パラグラフの小作品となっております。
しかも、特筆すべきルールもなし。その時の装備だけ覚えておけば良いという簡単なもの。パラグラフジャンプ等の仕掛けもないと明言されています。

つまり、お手軽さが売りになっているということですね。
ここのところガッツリと重めの作品ばかりプレイしていた私にとって、ちょうど良い、軽めなノリで遊べる作品かと思います。

さらにこの作品、100パラグラフでありながら、4つのグッドエンドに、1つの真エンドがあるとのこと。これだけで5パラグラフの消費です。100パラグラフにどれだけ詰め込んでるんだよ!

ページをめくると、内容に入る前に地図があります。

周囲を壁に囲まれた城塞都市です。「コンギット」というのが都市名でしょう。
三方に門があり、南は港。
中心に公城があり、北部は貴族区なのか「伯爵の邸宅」とあります。魔術師ギルドもあります。
あとはコロシアム、市場通りに商業ホール、スラムに庭園。そしてピンポイントな宿屋。

いわゆるファンタジー系異世界と理解しておけば良さそう。
大雑把な位置関係だけ頭に入れてておきます。

主人公は、「名も無き女戦士」とのことなので、名前をつけましょう。
私はゲームブックに挑戦する時には、いつも名前だけつけます。特に詳細な背景や設定を考えるわけでもありませんし、リプレイ上に名前が登場することも滅多にありません。
単に、自分の気分の問題だったりします。
だからいつも、「アルス→イルス→ウルス」といった感じの適当具合なのです。

今回は女性主人公なので、アから始めて……アイナで!
イイナ、ウイナと続けるつもりではないですが。

リプレイの文中は、「プレイヤー視点」と「キャラクター視点」をあまり区別せず、わざと混在させて書くのがいつものスタイルです。ある時にはキャラクターの心情になりながら、ある時にはメタ視点から眺めつつ進めていきます。

それでは、作品に入りましょう!



●アタック01-1 トライアル!

私はアイナ。まさにたった今、全裸で衆人監視の前に放り出されたところだ。
ここはコンギットの闘技場。地図で「コロシアム」と表示されていた場所だろう。

私は東の入場口からフィールドに入った。全裸で。
私の周りには私と同様に、全裸の男が十数人。女性は私だけだ。

これだけだと、集団で××なAV撮影みたいに誤解されそうだが、男性陣は全裸な私に見向きもしない。それぞれ独自の方法で神経を研ぎ澄まし、集中している。
私に魅力がないわけではない、はず。それどころではないのだ。

私を含め、ここにいる競技者は皆これから、通称「トライアル」と呼ばれる競技の参加者たちなのだ。

この競技はかなり特殊だ。
知らない人はあえて置いてきぼりにするが、ファングの街の迷宮探検競技にひけを取らないほど特殊だ。

あっちはほぼ帰還できない迷宮に人を放り込む瞬間を楽しむ祭りなのに対して、こちらは街中を使った全裸競技なのだから、恥ずかしい姿を見られまくることになる。
どっちも悪趣味だが、こっちの方が羞恥心による競技者への心理的負担は大きい。

コンギットの領主ミザール公は、ファングの領主サカムビット公なみの変態なのかもしれない。人を全裸にしといて「ミザール」とか、名前からしてふざけている。きっと弟に「イワザール」「キカザール」がいるに違いない。

さてこの「トライアル」についてだ。
何故全裸なのか。それは、この競技に参加するためにはすべての財産を公に寄進しなければならないからだ。それこそ衣類の1枚に至るまで。

トライアルは、バトルではない。レースだ。しかも舞台は街中。
この闘技場をスタートし、街外れのチェックポイントを経由し、指定されたゴールに向かう。最初にゴールした者が優勝となる。
施しを受けることは禁止。市民に対して犯罪行為を行うことも禁止。
参加者同士の行動には一切の制限なし。殺してもかまわない。

栄光をつかむのは1人だけ。敗ければ転落。
そんな過酷すぎる、人生を賭けた競技なのだ。

もちろん、まともな神経でこんな競技に参加する者はいない。
自分から参加しようなんて、よほど食い詰めて先がない者くらいのものだろう。でなければ、本気でぶっ飛んだギャンブラーと言ったところだ。
どんな人物だったにせよ、優勝したらしたで、いろんな意味が顔が知れてしまうので、この街で目立った行動は取りづらくなる。
結果として、トライアルが開催されるようになってから、街の治安が良くなるという皮肉な現象も起きている。

私は食い詰めてこの競技に参加するわけではない。
剣の腕を磨き、ダンジョンを攻略し、賞金首を上げたこともある。
そうして稼いだ財産を投げ打ち、自らの意思で参加したのだ。

何のために?
富と名声のため? ミザール公に拝謁するため? 近衛隊へ入るため?
ここでは明言されていない。疑問形が並んでいるだけだ。
これは……プレイヤーが自由に設定していいってことなのだろうか。
それとも、キャラクターの思惑が現時点ではプレイヤーにも秘匿されているということなのだろうか。

少し迷うが、現段階ではそれほど深く考えることもないだろう。必要があれば考えれば良い。いずれにせよ、トライアルに優勝するしか、私の未来はないのだから。

とはいえ、私はそこまで悲観していない。

現実世界のマラソンのような万単位の人数だと優勝などおぼつかないだろうが、トライアル出場者は、十数人程度。
しかも精鋭でもなんでもなく、ほとんどは腕に覚えのない食い詰め者ばかり。
これなら私には、十分に勝利の可能性があると見て良いだろう。


●アタック01-2 スタート先制!

高らかにラッパが鳴る。
公のお抱えの魔導師、サー・デレクが開始を宣言しようとしている。

なんと、こんなところにデレクが!
こんな悪趣味な競技の主催者側とか、何やってるんだ。

実はこのデレク、ちゃなさんの後発作品の主人公だったりする。
「デレクの選んだ魔法」というタイトルの作品だ。
私は未プレイだが、そちらの作品では、表紙イラストの若者がデレクっぽいので、今より過去の物語なのだろう。

スタート直前に、私の隣に並ぶ選手の顔が目に入った。
黒髪の巨漢。それは、知っている顔だった。ガンツォだ!

このガンツォ。評判の悪い冒険者だ。トラブルメーカーで誰も組みたがらない。それで窮したか? それが大会参加の理由か?
腕力。タフネス。狡猾。能力的には秀でている。優勝候補と言っていいだろう。

だが、私がガンツォを知るのはそれだけではない。
かつて私の妹が、ガンツォとパーティを組んで出かけ、ガンツォひとりが帰還したことがあった。

真相は不明だが、ガンツォの性格からして「見捨てる」か「助かるために差し出す」かはしたのではないか、というのが私の推測だ。
根拠はないが、可能性は高い。だからコイツが妹の仇だと決めた。私が決めた。

トライアルに参加するという噂は聞いていたが、本当に出場していたとはな。

ん? もしかして私がトライアルに参加した目的って、どさくさに紛れて妹の仇を討つことなのかも?

そうこうするうちに、開始のゴングが打ち鳴らされた。
競技スタートだ!

ここでいきなり最初の選択肢だ。

・全力で西の出口へと走る
・ガンツォに不意打ちを仕掛ける

そんなの決まってる。私は不意を突いて、ガンツォの顔面に拳を突きだした。全裸で。

次回、とりあえず服を着ろ。話はそれからだ。

【アイナ:装備なし】

■登場人物
アイナ 最初の挑戦者。全裸。
ミザール公 コンラッドの街の領主。見て見ぬふり。
デレク 別作品で主役を張っている魔導師。
ガンツォ アイナに妹の仇認定されたゴロツキ。


ゲームブックリプレイ【ネイキッドウォリアー】目次
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このゲームブックリプレイは、『FT新聞』で連載されていたものです。
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