米中ソに翻弄されたアジア史
カンボジアで考えた日本の対アジア戦略
(扶桑社BOOKS)
江崎道朗 (著)
福島香織 (著)
宮脇淳子 (著)
中国共産党による各国への"共産主義浸透工作"は今なお続いている!
大陸に飲み込まれないためにインドシナの歴史から日本人が学ぶべきこととは?
今、気鋭の執筆陣による画期的な"真実のインドシナ史"
カンボジアに行ってみたら……
中共の酷さがわかった!!
東南アジアで現在もっとも中国の植民地化が進み、中国人客があふれているカンボジアを旅した3人の論客がその歴史・政治、ひいては日本と中国について分析と議論を重ね、多角的かつコンパクトにまとめた一冊。
観光客が見学するキリング・フィールド、虐殺博物館。 拷問の限りを尽くされ亡くなった、罪なき人々の断末魔が聞こえるような展示に、クメール・ルージュ(カンボジア共産党)の残虐性を伺い知ることのできる場所である。
こうした残忍な「革命」は、中国とカンボジアだけでなく、当時(1970年代)、世界各地で行なわれた。カンボジアは特に、1958年の大躍進政策から文化大革命(1966年~1976年)の頃の中国とおぞましいほどに似ている。拷問のやり方までそっくりであった。
・文化レベルが高く豊かなカンボジアで、なぜポル・ポト派による大虐殺が起きたのか?
・中共の革命輸出がどのようになされたのか。
・カンボジアだけでなく東南アジアすべてにおいて、華僑・華人がどのような役割を果たしてきたのか。
これらのことをもっと知らなくてはいけないと、著者たちは力説する。それは、決して他人事ではなく、今、日本が直面している出来事でもあるからだ。
米中新冷戦を軸にした新たな国際秩序の枠組みへの転換を伴う激動の時代が幕を開ける、第三次世界大戦前夜ともいえるような不確実性のなかで、今後、日本と日本人が何をすべきか、どんな未来を描くべきかを問う。
目次
取材アルバム
地図
・東南アジア大陸部の諸国
・フランス領インドシナの成立年
・カンボジアとラオスへの侵攻作戦
・カンボジア侵攻作戦
まえがき 宮脇淳子
第一章 歴史編
現代カンボジアを知るための東南アジア史 東洋史家 宮脇淳子
一 古代から英仏の植民地になるまで
◆東南アジア大陸部はインドシナ半島という
◆東南アジアの歴史の始まり
◆インドシナ半島の国家、扶南
◆日南郡から独立した林邑が、チャンパ(占城)
◆カンボジアのアンコール帝国
◆アンコール帝国の衰退
◆ビルマ族の南下
◆タイ族の南下
◆ベトナムの歴史は反シナと南進
◆ベトナムとタイによるカンボジア領の侵略
◆イギリスがビルマを植民地にする
◆フランスがベトナムを植民地にする
◆フランス領インドシナ連邦
◆独り独立を保ったタイ
二 植民地解放闘争
◆植民地闘争の歴史
◆インドシナ共産党とホーチ・ミン
◆日本軍の仏印進駐
◆タイの恐ろしい政治力
◆インドシナ戦争
◆ベトナム戦争に至る経緯
◆ベトナム戦争その1
◆ベトナム戦争その2
◆アメリカのベトナムからの撤退
◆ベトナム・カンボジア戦争
◆植民地化のカンボジアにおける独立運動の始まり
◆ノロドム・シハヌーク(1922〜2012)
地理に始まり、古代から現代にいたるインドシナ半島の歴史を、カンボジアに焦点を当てて解説
第二章 政治編
カンボジアの反仏独立闘争と日本 評論家 江崎道朗
◆アジア諸国の命運を変えた日本
◆カンボジア独立の秘密工作に従事した残留日本兵
◆なぜカンボジアは対日賠償を放棄したのか
◆忘れられた「戦時下のカンボジア王国の独立」と義勇軍の創設
◆日本の敗戦と独立運動への合流の決断
◆ベトミンを育てた残留日本兵
◆自由クメール軍の創設
◆王の十字軍
◆1953年11月9日、ついに独立達成
二 民主主義を排除し、共産党と組んだ国王が内線を招き寄せた
◆悲劇は独立達成直後から始まった
◆独立闘争の同士たちと敵対
◆只熊さんも敵視された
◆幻となった「5万人移住」構想
◆シハヌーク「翼賛」体制
◆一党独裁の供花
◆中立から親中反米へ
◆北京・ジャカルタ枢軸の成立
◆国内でのベトナム共産軍の活動を容認
◆ロン・ノル「反共」政権の樹立
◆ベトナム共産軍の侵略を要請したシハヌーク
◆米軍に依存したロン・ノル政権
◆米軍の爆撃が国民を共産軍へと追いやった
◆「大虐殺」とベトナムとの紛争
◆ベトナム共産党に占領されたカンボジア
前編:カンボジアの独立運動を助けた日本人、只熊力氏を通して反仏独立戦争を解説。
後編:自己の権力確立だけを画策し内戦を引き起こしたシハヌーク国王の実態を描く。
第三章 国際関係編
中国化するカンボジアのゆくえ ジャーナリスト 福島香織
一 中国の革命輸出とカンボジアの運命
◆トゥールスレーン虐殺博物館に見る文革の影
◆周徳高の「我与中共和東共」に見る「僑党」「華運」の働き
◆毛沢東の革命輸出
◆ポル・ポトは毛沢東の落とし子
◆見捨てられた華人
◆クメール・ルージュの最期も中共の手の内だった
◆カンボジア、ベトナムだけではない東南アジアへの中共革命輸出
◆アフリカとラテンアメリカへの革命輸出
◆新たな中共「価値観輸出」の時代にどう抗うか
カンボジア生まれの華人工作員、周徳高のオーラル・ヒストリーに基づいて、華人視点からクメール・ルージュと中共の関係を考察。中共の革命輸出がどのようになされたのか、東南アジアにおいて華僑・華人がどのような役割を果たしてきたかを解説する。
第四章 鼎談編
中共の暴虐とインドシナの命運
★カンボジアで印象的だったこと
★意外に発展していたカンボジアの都市部
★本邦初のカンボジア史
★中国の「一帯一路」に対抗するための東南アジアへの投資
★華僑・華人はひとくくりにはできない
★華僑・華人はどれくらい中国人か
★東南アジアの華僑・華人は共産党寄り
★中華思想はコンプレックスの裏返し
★中国人の「平和」は「相手を平らげること」
★中国人は「妻も敵なり」
★「日本」も「天皇」も、大陸に呑み込まれないために創った
★「精日」中国人を増やそう
★台湾と朝鮮と満州の近代史を日本史の教科書に入れよう!
★日本はこれから東南アジアにどう対するべきか
あとがき 福島香織
ログインしてコメントを確認・投稿する