mixiユーザー(id:4310558)

2020年07月22日15:15

30 view

ラクサンポ157

私の名前は川口民雄。子どものころから、周囲から浮いていた。学校の成績は低空飛行で、お情けで卒業させてもらった。小学校低学年のころからごく普通に生きられないと堪忍した。なんでみんなと同じことができないのだろうか。学校時代の運動会、学芸会、展示会、修学旅行で、周囲のクラスメートと同じ行動をとるのに、非常に神経を使った。仕事をいくつか渡り歩き、発達障害を支援するNPOで働いている。大人になって、検査を受け、検査の結果で、読み書きはかなり厳しいことがわかった。発達障害当事者は別に努力して、普通に見せようとしても、無理である。例え給与は低くとも、暮らしていければ、文句はない。この仕事は自分に向いているようだ。発達障害トラブルシューティングが仕事になった。川口が田中から送られてきた履歴書に目を通している。
学歴と職歴が形式通り、並んでいる。特技の処で、なんにも書いていない。

川口
「うん。これじゃ、どうしていいかわからないな。なんか、彼の特技がはっきり、わかる記述が欲しいなあ。何がやりたいのか、さっぱりわからないよ」

Zoom画面が映っている。
田中
「どうですか。履歴書をワードで作って、送ったけど」

川口
「君の学歴と職歴はいいけどさあ。特技がはっきりわからないね。なんか、思いつくところないかな」

田中
「本当に、得意なもの、ないんですよ。周りに合せるのは得意です。パソコンは普通です。そんなの当たり前でしょ」

川口
「困ったな。いつもやっていることで、好きなこと、ないですか」

田中
「スカーとする映画を見るのが好きだけど」

川口
「それだあ。それから掘り下げようよ」

田中
「へえ。そんなんでいいんですか」

川口
「そんなのでもいいんだ」



0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2020年07月>
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 

最近の日記

もっと見る