mixiユーザー(id:1762426)

2020年06月02日09:00

91 view

キリシタン紀行 森本季子ー135 聖母の騎士社刊

私の奄美紀行ー100

◆シマ=ふるさとへの思いは在るものと出たもので時おり鋭く反目しあう。出郷者たちの一途な自然讃歌、追憶は日々をシマに生きるものの現実感としっくりこない。離島の厳しい現実を背負わされて、ぬけ せそうにない重圧感にいらだつ在るものの焦りが、出たものにはどうも後ろ向きな発想のグチっぽさに映る。距離軸、時間軸をたがえた両者のへだたりは、あるいはさらに拡大してゆくのかもしれない◆奄美の人口がジリジリと減少を続けている。(中略)水が高みから低みへ流れるように、経済格差の際立ちが人々を地方から都会へと再び向かわせつつある。一時、ふるさと志向、Uターン熱で地方にも明るさがもどりつつあった。だが二度目の流出は再び人々がふるさとに戻ることがない「片道切符」のように思えてくる。◆ふるさと定住をめざした道路、港湾、福祉の環境整備もさほど効果が無いことが明らかにされつつある。ふるさと再生の施設は今後どうあるべきか(後略)(「大島新聞」〈奄美春秋〉1989・9・4)
 大島が現実に抱えている問題は厳しい。よりよい生活を求めて人情の温い、ユイワクで結ばれたこの美しい島を出てゆく人たちは、本当に片道切符しか持たないのだろうか。
 わずか九日間の滞在ながら、私もまた「もう一度行けたら」、と思う南島である。

0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する