mixiユーザー(id:9783394)

2020年01月31日05:48

102 view

クルマ0204 どんなモノが?(エンジンオイル)

本稿0050でCASTROL(カストロール)という植物油(ヒマシ油)のエンジンオイルのことを書いたのですが、それを読んだある方から「旧車に使える普通のエンジンオイルのことを書いてください」と依頼されました。
オートバックスやイエローハットの棚に並んでいて簡単に手に入るオイルで、古いクルマに使えるモノは?どういうオイルが良いのでしょうか?というご質問です。

【オイルの役割】
エンジンに不可欠なオイル。ピストンやメタルが焼き付かないように摺動性を良くするための潤滑がその目的と思われますけど、それだけではありません。5つあるのです。
潤滑・密封・冷却・防錆・洗浄です。どれもエンジンには不可欠です。

【オイルの分類】
次に、オイルはその精製方法や原料などによって4種類に分類できることを知っておいてください。
(1) 鉱物油(ミネラル・オイル)
原油を蒸留して作られた昔からあるエンジンオイルです。
熱ダレ・酸化しやすいのが欠点ですが、精製が簡単(だから昔からあります)で安価です。
(2) 化学合成油(シンセティック・オイル)
鉱物油に比べて複雑かつ高度な精製を経て作られる高級オイルです。
熱ダレ・酸化しにくく長寿命ですが、メチャクチャ高価です。
(3) 部分合成油
鉱物油に化学合成油を混合(20%以上)し、鉱物油よりも抗熱・抗酸化性能を向上させたオイルです。種類はあまり多くありませんし、やはり高価です。
(4) 植物油
以前は、本稿0050で書いたようにカストロールが植物油(ヒマシ油)でしたが、BP(British Petroleum=ブリティッシュ・ペトロリアム)に買収されてからは石油ベースの通常のオイルになりました。植物油(ヒマシ油)のオイルは「R30」という名称のモノが500cc缶で限定的に入手できましたけどね。それも現在は製造されていないようです。需要がほとんどありませんから。

以上の4種類のうち、古いクルマには(1)鉱物油を使ってください。(2)(3)の合成油系はは高性能ですが高価ですし、浸透性が良いので古いエンジンに入れるとアチコチから漏れます(継目から)。だからお勧めできません。
(4)植物油を作っているメーカーは今もありますが、店頭で見ることはまず無いでしょう。

【オイルの粘度】
オイル購入の際に気にかけることと言えば粘度(硬さ)ですね。
オイルの容器にはSAE=アメリカ自動車技術者協会(Society of Automotive Engineers)が定める表示がされています。0W-20とか10W-30とかです。前の数字は冬場(Wは"WINTER"の略)の硬さ、後ろの数字が夏場の硬さを表しています。数字が大きいほど硬くてクリアランスの大きな古いエンジンに向いています。
こういうオイルは冬も夏も対応していますので「マルチグレード」と称されます。昔はひとつの季節にしか対応していない「シングルグレード」のオイル(前出のカストロールR30のように数字がひとつ)しか無くて、夏になると冬よりも硬いオイルに入れ替えていたのです。そういう意味で今はメインテナンスが楽になっていますね。

【オイルのグレード】
次にオイルのグレードについて。オイルの容器にはSJやSLといったSで始まるアルファベット2文字が書いてありますね。アレ、アメリカ石油協会(American Petroleum Institute)が定めるオイルのグレードです。通常「APIグレード」と言われていて、SAから始まりましたが今はSNまで来ているようです。SAよりSNの方が高品質なのはモチロンですね。オイルに混合する添加物がドンドン良くなってきているのでしょう。

【結論】
さて、古いクルマにはやっぱりできるだけ高品質のオイルを入れるべきなのでしょうか?最新グレードのSNオイルを?
否、ハッキリ言って何でもいいです。1980年代以前のクルマであればSEで充分。でもSEなんて今では低品質すぎて売っていないかも。今入手できるオイルは昔のオイルよりハルかに高性能です。だから何でもよいのです。
ただし、前述のように鉱物油を使ってください。また熱ダレを考慮してなるべく硬いモノを。オイル漏れも軽減するかも?

古いクルマのドライバーズ・ハンドブック等を見ると、推奨オイルはほとんどシングルグレードです。でも現在はシングルグレードのオイルなんてまず見かけなくてマルチグレードのオイルしか手に入りません。困りました。どうすれば?
どうぞマルチグレードを使ってください。シングルグレードより高性能ですし、夏冬で使い分け(入れ換え)なくていいですしね。

海外では、馴染みの無いメーカーからシングルグレードのクラシックカー専用オイルが売られています。こういうオイルをワザワザ高い運賃を払って輸入する人もおりますが、全く無意味なんです。
同様に、日本のクラシックカー専門店で取り扱っている有名ブランドのクラシックカー専用オイルも無意味です。高価なだけです。
ホームセンターで最も安価なオイルを買い、小まめに(例えば3000kmまたは半年ごと)に交換する方がよっぽど良いです。酸化するので乗らなくても定期的に換えましょう。

【補足】
ギヤボックスに入れるのも鉱物油を使ってください。
ドライバーズ・ハンドブックを確認して、エンジンオイルが指定されていたらエンジンに使ったモノでOKです。
戦前車などは80W-90などの鉱物油のギヤオイルが良いです。1L缶でどこでも売ってますよ。
ディファレンシャル(デフ)は、ギヤの歯面にすごい荷重がかかるので、必ずギヤオイル(前出のモノなど)を使ってください。エンジンオイルでは油膜切れを起こしてギヤが欠けることがあります。何度デフをOHしたことか!
5 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2020年01月>
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 

最近の日記

もっと見る