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2020年01月16日13:13

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親子逆転の現象

不登校の現場では、親子逆転の現象ということを感じることが頻繁にあります。

 親は子を養育していくのは至極普通のことで、そのことによって子は守られて成長します。

 子供は、ある時期までは親御さんの下で非常に安心して、完全に身を委ね、大きな愛情を感じることで後退欲求を満たし、やがてそれが成長への欲求へと繋がるという話は最近書きました。

 後退欲求はいつまで続くのかは個人差のある話ですが、ある日突然後退欲求から成長欲求に変わりましたという話ではなく、段々に後退欲求の部分が成長欲求へと変わっていくということで、例えば小学校低学年くらいであれば後退8分成長2分なのが、高学年になると5分5分になり思春期になるとさらに成長欲求が増えるという感じだと思います。

 だから中高生とか、あるいは大学生くらいになっても、時には甘えたいと思うのが普通で、もちろんお母さんに抱っこされて云々ということではなく、気持ち的に十分安心して接して、安らぎを得たいと思う時があるのは自然なことでしょう。

 肝心なことは、親が子供のペースにしっかりと合わせられるかどうかで、甘えてきた時は甘えさせてあげ、関わってほしくない時は黙って見守るような姿勢が求められるわけです。

 親子逆転の現象とは、要するに親の方が子に甘えているような関係で、不愉快な気持ちを子供にぶつけたり、子供のためだと言いながら自分の思い通りにしようとしたり、大きなものとしては育児放棄などもその一つと言えると思います。

 それでは親子逆転の現象に合った子供はどうなるのでしょうか、結論から言ってしまえば、その子供の心はボロボロになります。

 こういうことが原因で不登校になることは非常に多く、それまで普通に成長していたように見えた子が、ある時、何らかのことをきっかけに人が変わったように学校に行かなくなるということがあります。

 本人が完全に自覚できている場合ばかりではありませんが、要するにこのタイプの不登校は、まだ親への甘えの欲求が満たされていないという気持ちが、学校に行かなくなることで表現されているのです。

 もちろん不登校も色々ですので、全てこのタイプというわけではありませんが、親子逆転の現象を原因とした不登校は最も支援がしにくいものだと感じています。

 それは親御さん自身が、お子さんを甘えさせて来ず、親子逆転になっていたということを認められないことが圧倒的に多いからです。

 認めたくない原因を認めることが問題の最大の解決策なのですが、なかなかそれを認めることができないのもまた人間というものです。

 しかしながら、問題は不登校に止まらず、将来的にひきこもりとか、大人になって鬱病のような症状に出るケースもあり、悲惨な事件のニュースを見て、恐らくこういうことが原因だったのではと感じることも少なくありません。

 だいぶ前のことですが、道を歩いているある親子を見かけたことがありました。

 その子は恐らく5〜6歳で、いわゆるお受験の塾か何かの帰りのようで、お母さんはすごい剣幕で「あんなんじゃ良い小学校行けないの…」と怒鳴り、子供はお母さんをこの上なく不安そうに見ながらついていっていました。

 こういうことが親子逆転の現象の典型で、全く子供のためのお受験ではありません。

 この子が今どのように成長しているのかとても心配ですが、親は自分の気持ちを子供に寄りかからないように注意しなければなりません。

 子供のために何かをしようと思うのは親心ですが、それが子供のことを本当に考えてのことなのか、子供に合ったものなのか、自分も一緒に努力しているのか、そういうことを時にしっかりと見つめ直すことがとても大切なのです。
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