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2020年01月22日07:04

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キリシタン紀行 森本季子ー21

●堂崎教会

 まず昼食を、ということで堂崎教会前の海岸に出た。ちょうど引き潮である。満潮時には聖堂の石垣まで海水が寄せる。この日は五島の夏らしく暑かった。やや高い場所に浜木綿(はまゆう)や松などが生えていたので、木陰を求めて各自お弁当を開いた。

 堂崎教会は五島最古の教会で、明治十二年、パリ外国宣教会のマルマン師による創設。現存する赤レンガ造りは明治四十一年、マルマン神父の後継者ペルー師がスタンドグラスなど資材の一部をイタリアから運び、信徒の労力奉仕によって建てられたもの。五島カトリックの総本山と言われ、長崎県の文化財に指定されている。現在、内部は資料館で、教会活動は信徒の移動から、浦頭教会が引き継いでいる。堂内にはマリア観音やキリシタン資料、十字架模様の絵皿など二百余点が展示され、祭壇下には聖五島ヨハネの遺骨が安置されている。ステンドグラスの絵模様がくっきりと浮かび出ている堂内を、一行は二時まで見学してまわった。

 堂崎のまわりに集落があった頃、教会前の浜辺で網引きをし、漁船を漕ぎ出していた。この聖堂から打ち出される鐘の音で”お告げの祈り”を唱え、夕方はこの赤い建物を目あてに舟を漕ぎ帰っていたのだ。彼らはどれほど自分たちの教会を誇りに思っていたことだろう。今は無人の岬に歴史的記念物として建っている。さすがに堂々たるものである。

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