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2020年01月17日04:54

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キリシタン紀行 森本季子ー16

 この悲惨な場所で牢死した人々の碑に刻まれた名と年齢を順次に見てゆくと、十歳以下の死者二十二人。最年少は一歳、数え年であろうからまだ母の胸にすがった乳のみ子である。「ジュワンナ・シモ 一歳」の名も見える。最高齢者は七十九歳。久賀島全域にわたってキリシタンと判明した全家族をこの狭い「牢屋の窄」に押し込めたのだった。

 「信仰の碑」に向かって左方に小さな記念聖堂があり、右方に「牢屋の窄」の碑がある。聖堂裏手の崖上に「監視所跡」の石が置かれている。胸をしめつけられるような場所である。記念聖堂でしばらく祈った後、深い感動をそれぞれ抱(いだ)いてこの殉教の地に別れを告げた。

 石段を下ればすぐ前方に湾が控えている。満潮の海水はほとんど道すれすれに寄せていた。M師の説明によれば、現在久賀島の人口は約九百人、そのうち二百人余りがカトリック者とのこと。半農半漁で自給自足が出来る島であるという。

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