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2018年12月15日14:34

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サザン・リーズス-星流るる生誕祭-

世界最南の国・リーズス王国。その日、その国の宮殿では今宵開かれる祝宴に向けて朝から上を下へをの準備に追われていた。指揮を執るのは弱冠23歳の王宮女官長メニュエリとこちらも弱冠26歳の王宮侍従長のフェルである。二人があれこれと宮殿内の使用人に指示を出している頃、そんな忙しさを余所にその本日の主役たる当人達はのんびりと自室のソファでティーセットを囲んで寛いでいた。
「あー、暇ね……。今日は公務無いから特にそう感じる…」
「そうね……。本当は街に出掛けたいけどメニュエリが今日ばかりは目を光らせてるし。このあと他の女官達が今夜の衣装持ってくる筈だし抜け出せないのが辛い……」
「ドレスは良いけど……今夜の出席者ってどれくらいいるんだっけ?」
「10爵家は勿論、他の財界の方々も含めるからね…ざっと100人程度?」
「またそれくらいか……。でも私たちのお祝いに来てくれるのは嬉しいんだけどね」
「まぁね。それに、今夜は久々にセーラお祖母様もいらして下さるみたいだし、わたくしはそっちの方が楽しみね」
「セーラお祖母様も?!それは私も楽しみ!」
お茶を飲みながら、本日の主役たる当人達-この国の女王陛下達-は今夜の祝宴に思いを馳せつつ雑談に興じてた。金髪銀眼のエルグシット、銀髪金眼のフォーメリー、この双子の女王が居並べばどんな場所でもたちまちそこは華やかな風が舞い踊る壮麗な空間となる…とは一体誰の言葉だったか。本人達は全然自覚無しだが。
今宵開かれる祝宴はそんな彼女らの生誕祭。本人達はひっそりとやりたいのが本望ではあるが、やっぱりそこは女王陛下という宿命。残念な事に華やかな祝宴を開かなくてはいけないという義務がある。この日だけは公務が控えられる為に双子の女王陛下達は朝から暇を持て余しているのだった。常であれば、この双子の女王の趣味であるお忍びと称して街へと意気揚々と繰り出すのだが、この日は在位歴の長いフォーメリーであってもお忍びという王宮脱走に成功した試しがない。それだけ他の使用人の往来が半端ないというわけだ。
そんな暇を持て余した雑談が繰り広げられるなか、女官長のメニュエリが今宵の祝宴で着る衣装を片手に二人の居室を訪れた。
「失礼いたします。本日の衣装をお持ちいたしました。フォーメリー陛下はこちらのサファイアブルーのシフォンドレス、エルグシット陛下はピンクゴールドのシフォンドレスです。細かい修正は後程女官が参りますのでそういたしましたらお召し替えをお願い致します」
「「はーい」」
良い子のお返事をするフォーメリーとエルグシットに、メニュエリは柔らかく微笑むと「ではまた参ります」と一礼して次の仕事へ向かうために退室していった。
「やっぱりメニュエリ忙しそうだね…」
「普段はこれ幸いと街へ行くのに、今日はそんな気分にはなれないわね」
「そうね……」
「もうそろそろ祝宴の準備が出来そうなんじゃない?そろそろわたくし達も準備に取りかからないと!」
「そうね!」
そう、お互いに目を合わせると二人は祝宴に向けて準備をし始めたのだった。


夜ー。慌ただしかったリーズス王国女王生誕祭の祝宴も無事に終わり、主役のフォーメリーとエルグシットは部屋へと戻り、宴の衣装を着たままワイングラス片手バルコニーから星空を眺める。
「はぁー…また凄い賛辞の雨あられだったね」
「仕方ないわよ。社交界の悲しい性みたいなものだし。しかし、セーラお祖母様に会えて良かったわ。体調最近お崩しになることがあるって聞いていたから心配したけど、お元気そうで何よりね」
「そうね。お茶目なところは相変わらずお変わりなかったし、セーラお祖母様に会えるのが私達にとってみれば最高の誕生日プレゼントだったり」
「それは言えてるわ。郊外で王太后として隠居為されてから余りお会いする機会無くなってしまったし、わたくしも少し寂しいと思っていたの」
大好きなお祖母様の話で華を咲かせながらふと星空を眺めると一条の光が夜空を駆けていった。
「あ、流れ星!」
「そう言えば、今夜極大だったわね。双子座流星群……」
天文学者でもあるフォーメリーが思い出したようにそう言うと、エルグシットが吹き出した。
「私達双子の誕生日に双子座流星群の極大日…これってなんのシャレ?」
「クスッ…そうね。でもこれってある意味奇跡ね……お父様とお母様に感謝しなきゃ」
「そうね。もしかしたら私達が産まれた日もこんな流れ星が一杯流れる日だったかも知れないものね」
「そう考えるとロマンチックかも」
「もう星になってしまったお父様とお母様が私達にお祝いしてくれているようにも見えるわ」
「そうだとしたら、わたくしも嬉しいわ」
話している間も二つ、三つと流れを増していく夜空にフォーメリーとエルグシットは近くに亡くなってしまった父母を感じながらお互いにワイングラスを重ね合わせた。
「「ハッピーバースデーわたくし(私)達」」


作者:今年こそは何か誕生日記念に書かなきゃ!と思って急遽考えて作成。私のオリジナルの可愛い双子の女王さま。〇〇歳のバースデーでした。因みに二人の両親は〇〇年前に暗殺されてます。金髪金眼のヴィロル国王と銀髪銀眼のマリア王妃。外見のモデルは私が小さい頃よく読んでた「クレヨン王国」のゴールデン国王とシルバー王妃だったりします(笑)性格は違いますが(笑)そんな二人の外見を上手くミックスさせて生まれたのがフォーメリーとエルグシットです。因みに一卵性双生児です。
また何か気まぐれに書きたいな……(遠い目←ヲイ)
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