無念

未だに信じられない男子フィギュアスケーター、デニス・テン君の死。
車のミラーを盗もうとしていた強盗に襲われて大腿部刺されて失血死。こんな悲劇が有って良いのか。
これが、病気や事故で亡くなったとかならまだ気持ちの整理が少しはついたかも知れない。だけど、殺害されたって言うのが一晩経った私の心を締め付ける。
スケーターにとっても大事な脚。それを刺されて亡くなっていく彼の心情を考えると本当にいたたまれない。
世界選手権でもメダルを取り、遂にはカザフスタン史上初となる五輪のメダルをも獲得して一躍国の英雄となったテン君。長年のフィギュアスケートファンの間からは「殿下」の愛称で親しまれ、時にはお茶目な姿を見せて世界中のスケーターのみならずファンの心を始終和ませ楽しませた。私もその内の一人。ソチの前のシーズンの世界選手権の彼の演技から彼が好きになり、そこからテン君が出るたびに彼の気品ある洗練されたスケーティングに感嘆の溜め息を漏らす。もうそれが出来ないことが寂しくて辛い。
将来、引退してその後にコーチとなって教え子と共にキスクラに座って和気藹々としている彼を想像して楽しみにしていたのに、その願望がこんなことで潰えるのがただただ無念。
昨夜もこれが夢だったら良いのに、と思いながら就寝。だけど……朝のニュースで夢ではなかった…と改めて悲嘆に暮れる。
テン君、今まで私たちに素敵な演技を見せてくれてありがとう。私たちは貴方のことを忘れない。同郷のエリザベータ・トゥルシンバエワちゃんと共にカザフスタンのフィギュアスケートを盛り立ててくれた偉大なるカザフスタンの英雄だった。これからも大好きなフィギュアスケーターの一人。
もし、神々がテン君の素敵な演技に魅了されてテン君を天界の舞手として連れていってしまったのだとしたら、まだ時期が早すぎる。何故今なのか。神様、残酷過ぎる。
25歳、まだまだこれから将来のある偉大なスケーターだった。


ご冥福をお祈り申し上げます。