ヒーローのノーブレス・オブリージュ／天皇陛下のお言葉に思うこと

■天皇陛下、即位を国内外に宣言
(毎日新聞 - 2019年10月22日 13:38)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=2&from=diary&id=5835276

■即位礼正殿の儀 おことば全文
(毎日新聞 - 2019年10月22日 13:22)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=2&from=diary&id=5835266

■即位儀式に抗議　キリスト教団体「政教分離原則に違反」
(朝日新聞デジタル - 10月22日 16:11)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=5835377

■即位礼正殿の儀、安倍首相の「天皇陛下、万歳」が物議…政教分離と国民主権の問題が浮上
(Business Journal - 10月22日 20:31)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=175&from=diary&id=5835585

　ご皇室関連の日記は、どうしたって政治的話題にならざるを得ないので、妙な連中が湧いてくることを気にしたら何も書けなくなってしまう。
　でも、特撮オタク、アニメオタクとしての立場でね、あの御即位のお言葉を考えると、あれはヒーローの決め台詞みたいに聞こえちゃうのだよ。

　悪役「なぜそこまでして戦う？　人類の愚かさ、醜さは貴様が一番よく知っていることだろう。他人を憎み、妬み、傷つけ、生命を奪うことを厭いもせず、果ては戦争を繰り返し、環境を破壊し、地球そのものを滅亡の淵に追いやろうとしている。やつらを救う、どんな価値があるというのだ？」
　ヒーロー「お前の言うとおりだ。確かに人類は愚かで醜い。俺の大切な人の命も、同じ人間の手で奪われた。今、ここにある誰かの命を救ったところで、そいつが別の誰かの命を奪わなくなるなんて保証はどこにもない。人類が自滅の道を歩いていくのは運命なのかもしれない。だがな、そんな下らない人間の心の中にも、ひとかけらの愛がある。誰かのために、自分のできることをとことんしてやりたい、そう思う優しさがある。俺は、そんなやつらの心まで消えてしまっていいとは思わない。絶対に。だから、ここで倒れるわけにはいかないんだ。みんなの幸せのために、お前と戦う！」

　何を言ってるんだと思われる方もいらっしゃるだろうが、どんな識者もマスコミのコメンテーターも、殆ど指摘していない天皇陛下についてのある見方がある。それは、今上陛下が、日本史上初の「オタク世代の天皇」だってことなんだよ(竹熊健太郎さんは、天皇陛下が自分の小遣いで最初に買った本が、大伴昌司編の『図解怪獣図鑑』だったことを指摘してたな)。
　質問できる機会は全くないが、天皇陛下には「ウルトラシリーズと仮面ライダーシリーズではどちらがお好きでしたか」とか訊いてみたい(笑)。
　公での発言はそんなに多くはないが、天皇陛下の学識、教養の中に、日本の特撮やアニメが培ってきたリベラルな思想があることはまず間違いのないことなのである。思想的に偏った連中がどんなに糾弾したところで、天皇陛下がまさしく戦後民主主義の申し子だって事実は揺るぎようがない。

　批判者があまり認識しちゃいないなと感じるのは、天皇陛下が仰る「国民」という概念の中には、彼ら批判者もまた含まれているということである。
　「国民に寄り添いながら、憲法にのっとり、日本国及び日本国民統合の象徴としてのつとめを果たすことを誓います」の「憲法」とは、当然、憲法全文を指しているのであって、その条項の中には「表現の自由の保障」を明記した第21条が含まれていることは自明だ。政教分離だ何だと、批判者がどんなに難癖を付けようが、その「批判する権利」もまた、ちゃんと守っていくことを誓いますよと天皇陛下は宣言しているわけだ。「統合の象徴」とはそういう意味であって、決して国民を自分の支配下に置くという意味ではない。正義のヒーローは、悪人だって決して殺しはしないのだ(怪獣や怪人は殺してるが)。

　これだけ宗教色、政治色を極力排そうとしたリベラルなお言葉もないわけで、儀式が古式伝統に則っているからというだけの理由で、戦前の皇国史観の復活を目指していると判断するのは誤りだろうと考えるのである。
　まあねえ、万歳三唱だけは、明治以降の習慣で、やりすぎだったよなあと思ったけれど(テレビ中継は映してなかったから分からないが、外国からの来賓にもやらせたのか？)、上皇陛下が平成の時に「みんなで相談して決めたことだから従ったまでです」と、内心「別に嬉しかねーよ」と思ってることをうっかり吐露しちゃったのと、今上陛下も同じお気持ちだろうと推察されるので、目くじらは立てまいと思う。

　正殿の儀では、常陸宮殿下の車椅子姿が痛々しく、どうしても皇嗣問題について思いを巡らせないわけにはいかない。女宮家の設立や、女性、女系天皇も認めちゃえばいいのにと思う反面、妃殿下の方々には、今のうちにさっさと結婚して、こういう面倒臭い立場から離れてしまった方がいいんじゃないかなとも考えてしまう。
　女性天皇って、みんな簡単に言うけどさ、それって、「お前、ナウシカになれ」と言ってるのと同じだからね！

　ご皇室の皆様方のお心を忖度することが、戦争を抑止し、平和を希求する最大の要因となっていることは、どこに向かうかわからない、このきな臭い風潮の中での、まさに「希望」たりえているのである。その意味で、ご皇室は存続してほしいと願わざるを得ない。その重責はとんでもなく半端ないけれど。
　妻は、「悠仁殿下と愛子殿下が結婚すれば収まるじゃん」と言ってたが、こればっかりは好き好きの問題があるからねえ。いや、愛子様は可愛いよ？
　でも、いったん皇籍から離れて民間人になって、今回も客として呼ばれなかったとTwitterに恨み言を書いてたようなやつを呼んでくるのだけは絶対に勘弁(苦笑)。