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2019年05月29日20:08

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小説 サングラス (姉妹)28

小説 サングラス (姉妹)28
「そう言えばマスター、昨日は佐々木さん、上手に合流できたのですか?」
「佐々木さん、さすがだよ。ごく自然に顔を出したし、遠慮しながら近づいて来たからね。女性を撮り慣れているから接し方がうまい」
「それなんですけど・・やっぱり良く考えたら、妹を騙しているような気になって来ちゃって・・」
 わたしは心の隅に芽生えた罪のことを話した。夜に尚美と話し、尚美が人脈として佐々木さんを利用するかも知れない。結婚もし、子供もいて、順調にキャリアをつんでいる佐々木さんを、無用なトラブルに巻き込んだのかも知れない。
「美穂ちゃん、心配性だね」
 デコレの終わったケーキに蓋をかぶせ、冷蔵庫にしまいながらマスターが笑う。
「佐々木さんは自分が公務員であることをしっかり自覚している人だよ。それに健全だ。ちょっとはスケベ心もあるだろうけど、越えてはいけない線を解ってる。ま、だから女性に信頼されて、個人撮影を頼まれているんだろうしね」
「でも尚美ですよ。誘惑がじょうずなんですよ」
「美穂ちゃん、カメラマンってね。美人が好きだけど、夢中にはならないんだ。誰が撮っても美人に写るモデルさんは楽だし、眼の保養になるけど、カメラマンとしての楽しみは薄い。あの小杉さんが、もう尚美ちゃんを口説いていないんだ。モデルさんが、自分をよりレベルアップしたいと努力するなら別だけど、尚美ちゃんみたいな自信過剰はすぐに飽きられるよ」
「そこが良くわからないんですよね、美人で無いと作品にならないんでしょう?」
「何ていうのかなぁ・・なんだかんだ言って、カメラマンも表現者だからね。あ、そうだ、例えばきれいな人形とかを使って撮影することを考えてごらん。光の当て方や影の作り方など、いろんな工夫ができるし、まるで生きてるかのように見せることもできる。でも限界があるんだ。よっぽどの感性がないと、習作でしかないんだ。テクニックの訓練にはなっても達成感は味わえない。写真はただシャッターを切れば良いってものじゃないからね。そうそう、黙っていたけど、以前佐々木さんが店へ来た時、美穂ちゃんスポンジ焼いてたから、挨拶でしか顔を見せなかったけど、後で佐々木さんからメールが来たんだよ。モデルとして紹介して欲しいって・・」
「うそ・・わたしなんか・・」
「美穂ちゃんはすぐそう言うけどね。カメラマンとしては興味深い魅力を持っているんだよ。一見地味だけど、髪型や化粧で大きく変わるんじゃないかと思わせる期待感を抱かせる」
 美穂は慌てた。話しが変方向へ進んでいる。わたしはただ、尚美のため、佐々木さんのため、そしてマスターのために、尚美をあまりモデルに使わないでと頼みたかっただけなのに・・(続く)

獅子座クウネルのつぶやき獅子座
 今朝はちと寒かったですね。昼間は暑いし、朝晩は冷えるし体調管理が難しいです。今日は何を考えたか軒下に置いてある鉢花を整理する気になり、植え替えたり選定したり草むしりをしたり・・撮影意欲は湧かずでした。夕方散歩を予定していたのですが、昨日は夕焼け色が染まったのに今日は空振り気配で意欲を無くし・・何をしてるんだかって感じです。写真は昨日撮った紫陽花公園での雫。

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