養殖されているチョウザメが人の手から餌をもらっている写真を見る。
そこで疑問が湧く。
チョウザメって本当にサメなのか?
普通サメって海にいるじゃない。
だけどチョウザメは川にいる。
昔は北海道の川にも生息していて、松浦武四郎の記録では石狩とツイシカリ(現当別町)がチョウザメの産地とされている。
それで調べてみたらチョウザメって硬骨魚類であって、軟骨魚類のサメとは全く別の物であった。
ただ形がサメに似ていて、鱗が蝶の形をしているところからチョウザメと呼ばれている。
共通するのは古い時代から生き残っている魚類だということ。
同じように名前で混同されがちなのはナメクジウオ。
ナメクジウオはナメクジの仲間でも魚の仲間でも無い。
ナメクジウオは頭索動物でありそれが分岐して脊椎動物と尾索動物になる。
尾索動物とはホヤなどである。
個体発生は系統発生を繰り返すので、ホヤも幼生の時には魚のような形をしていて海の中を泳いでいる。
成長すると植物のように岩に張り付き、魚とは似ても似つかぬ体になってしまう。
ホヤは体内で植物のようにセルロースを作り出す。
ということは進化の過程で植物の遺伝子を取り入れる「遺伝子の水平伝播」が行われたということだ。
母細胞から娘細胞にDNAが受け継がれるのではなく、真正細菌や古細菌の間で直接DNAが移動する。
例えばミトコンドリアや植物細胞の葉緑体も、元々は独立した細菌だったと言われている。
ホヤが手塚漫画に出てくるヒョウタンツギみたいな奇妙な形になってしまったのは、植物の遺伝子のせいなのだろうか。
ナメクジウオの全ゲノム解析が2007年に完了した。
脊索動物から脊椎動物に進化する間に全ゲノムの2回の重複が起こり、
複雑な体への進化を可能にしたのだという。
http://www.kyoto-u.ac.jp/static/ja/news_data/h/h1/2008/news6/080612_1.htm#05
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