成長期の人間の朝ごはんの重要性は、疑いようがない。学校が「早寝早起き朝ごはん」の標語のもとに、家庭での朝ごはんを「監視」するのも、児童福祉の観点では望ましいことであろう。
朝ごはんの必要性を十分に理解した上でも、家庭の事情というのは尽きないもので、欠食児童はゼロにならない。また、学校が朝・ 昼の2食を用意すれば解決できるのは当然としても、給食2食体制、あるいは「朝ごはん給食」を定着させるのは困難である。昼の給食すら全国で統一されてはいない。このたった1校の公立中学校の試みが、広く認められ、多くの学校に採用されることを願う。
学校給食は子供の栄養失調を救済する目的で始まったと聞く。朝ごはんを食べないで登校する子供に「朝ごはん給食」を出すのも、意図は同じ。毎日にするのか、希望者に提供するのか、費用の工面をどこでするのか、そうしたシステム面への疑問は尽きず、現行の給食費未納問題も頭をよぎる。それから社会で多数の賛成を得られるのか、不安もある。
しかしわたしは、「朝ごはん給食」に賛同する。これを検討する学校が増えるのは良い。今ではめずらしい方になった、欠食児童にもたらされる救いは多大なものとなる。
ただし、廃棄物を再配布して食べるのを良しとする思想にはまったく同調できない。食品廃棄問題の教育と、「朝ごはん給食」とは分けて考えるべきである。
■きちんと朝食、学校から パンやバナナ週2回提供 福岡
(朝日新聞デジタル - 01月04日 08:50)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=3787578
朝ご飯を食べていない子に、きちんと朝食を取ってほしい――。そんな願いから、福岡県内のある公立中学校が今年度から週2回、希望する生徒にパンやバナナなどを提供している。食品廃棄を減らす活動をするフードバンクなどから調達。食の大切さも子どもたちに伝えたいという。
「はよ、来んね、1年生も食べに来んね!」
昨年11月のある日の午前8時前。中学校の校舎1階の調理室前で、校長の声が響いた。ある生徒は1人で訪れ、ある生徒は友達と連れだって来た。
この日のメニューは、パンと牛乳、コーヒー牛乳、リンゴ。校長と養護教諭がリンゴの皮をむき、教頭らがパンを皿の上に盛る。
訪れたのは約30人。期末テスト期間中で朝の部活動がないためか、いつもの半分ほどという。子どもたちは友達との会話を楽しみながら、次々とパンを頰張った。ある男子生徒は「メロンパン2個食べました。テスト? ばっちりっすよ」。別の男子生徒は「今日は飲み専(牛乳を飲むだけ)です」。
この学校がバナナなどの提供を始めたのは今年度から。1学期に週1回のバナナの日を設け、2学期からはパンの日も設定した。
バナナは、輸入時の検疫検査でサンプルとして開封され、問題がなかったものを地元フードバンクを通じて輸入企業からもらう。週2千本近くが廃棄処分になるといい、こうした食品廃棄問題について、子どもたちに伝える取り組みも進める。パンや牛乳などは地元生協から。この中学校を担当する、スクールソーシャルワーカーの提案で始まった。
狙いは、食の大切さを伝えるとともに、朝ご飯を食べていない生徒に食べさせること。校長は「朝ご飯を食べれば、午前中を爽快に過ごせる。集中力も上がる。まず身をもって知り、朝ご飯を習慣にさせたい」と話す。
この中学校の朝食の欠食率は2割近くという。食べる時間がなかったり、食欲がなかったり、家庭の事情だったりと背景は様々だ。
当初、「ますます家庭が何もしなくなる」「学校がすべきことなのか」と考えることもあった。だが、校長は言う。「目の前に食べていない子がいる。この子たちが大人になれば、その習慣が次の世代に引き継がれてしまう」
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