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2015年11月02日22:55

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浜坂→香住 新しい余部鉄橋を眺める

二週間ぶりの「歩きつなぎの旅」です。兵庫県の日本海側の歩きを進めました。土曜日の7時半に新大阪を「スーパーはくと」で出発。浜坂駅から歩き始めたのは午前11時10分です。温泉街を標榜する浜坂の街。駅前から始まる通りには温泉旅館が軒を連ねています。まもなく風致地区の表示があったので少しだけ散策することにしました。小川に沿って石垣が連なり、古い家々から生活の用を足すために川の上に小橋を渡している風景は、米子の街でも見られたものでした。鋏の付いた棒で柿の実の採取に打ち込む家族の姿もありました。ひと昔前の街の風景がありました。

国道178号線に合流する手前にコンビニを見つけたと思ったら、山陰の名産の魚や野菜を売るスーパーマーケットでした。浜坂病院を過ぎると田園風景が広がりました。刈り取ったばかりの田んぼには下草の緑色が残っています。やがて坂道とカーブの多い厳しい道に続いて行きます。谷間を通る道におそらく地崩れ対策と思われるトンネルもあって、半透明の天井から外の光も差し込んでいました。浜坂の次の久谷駅は国道から離れた山の中腹にあり、そこまで登っていく気力は湧きません。一面だけのホームと待合所のみが見え、改札口のある駅舎はありません。この先、さらに国道は険しくなり、ヘアピンカーブも連続。目の前を通り過ぎたトラックが数十秒後に前方の一段上の道路を通過していくのを見上げました。

桃観トンネルが峠でした。歩道はどぶ板の上、歩行者には十分な明かりがなく足元の安全に気を遣いながらのトンネル越えとなりました。そんな道を反対方向に二輪のボードで越えていく若い男とすれ違いました。余部の集落に入るとたわわに実を付けた柿の木が秋空に映える風景もありました。

集落の上を渡された長い橋が見え、建て替えられた余部鉄橋に違いありません。赤い橋脚がシンボルだった古い余部鉄橋には1993年の2月と2000年の3月の二回訪れています。1993年には雪の降りそそぐ中の鉄橋の写真が幻想的な雰囲気を醸し出し、今までの旅で撮影した写真の中のベストの一つでもありました。今回の旅の目的の一つは、100年間使われ惜しまれつつ建て替えられた鉄橋の今の姿を見ることでした。

昔ながらの集落を抜けて橋の下へきたら、鋼鉄の旧橋脚の内、二体はそのまま残されて赤いペンキの塗装作業を実施中でした。あと二体は骨組みの一部が残り、もう一体は鋼の一部を横置きに展示してありました。餘部駅は「天空の駅」として改装されて登っていく道も階段が整備されていて安全対策が施されています。登りながら眺める橋の風景、下に見下ろす瓦屋根の集落、日本海の眺めと昔の漁村の面影が残っています。

ほどなく駅にたどり着きました。待合所の隣にはバイオ技術による水のリサイクルを実施しているトイレが備えられています。コンクリート製の新しい橋は古い橋の山側に並んで造られていて、古い橋の橋脚の上には20mくらい線路の一部が保存されて、さらに先は展望所になっています。子供連れやカップルなどの観光客の姿もかなり見かけられます。線路の手前には金文字の「余部鉄橋」の看板があります。集落を見下ろす風景も良いのですが、鉄橋の建て替え時の補償のためか、山陰の象徴でもあるような黒い瓦屋根が新調されてピカピカに輝いていました。ちょうどよく山陰本線の臨時の列車が来たので、たった一両のピンク色の車体を到着直前と出発直後の二枚カメラに収めました。

余部の海も群青色に澄んで、丸みを帯びた石だらけの海岸に波が打ち寄せていました。橋の下の道の駅では山陰の名産の魚や野菜を売るだけでなく海の幸の食事のメニューも揃っているようです。鎧駅までの自然歩道が案内板に示されていましたので、海が見渡せる展望所もある山越えの道を歩こうと思いましたが、農家の間を通る入り口が見つけられなかったので断念しました。また山中でルートを見失う危険も避けたかったのでした。国道178号線は山の裾を大きく迂回し沿道は緑の深い中を突っ切っています。自然歩道の厳しさも予想されたので、国道を辿るルートこそ正解だったかもしれません。

鎧駅までの分岐点も見えました。沿道の壁には山陰の野山に広く繁茂しているらしいつる性の草が青紫色の実をいっぱいつけています。香住にたどり着くまでにトンネルをさらに二つ通過しなければなりません。ようやく平らな土地に到達すると、平和な住宅街が続き香住高校の白い校舎も立派なものでした。矢田川の河口付近を橋で渡りました。海水も混ざっているに違いない水の中に白い鯉が悠々と泳いでいました。香住の街中は、温泉旅館も多く、黒みがかった木造の壁が年季を物語っています。

香住駅に到着したのは目標より早い16時5分前です。この旅日記の当初考えたタイトルは「浜坂→香住 カニ食べたさに早まった歩調」でした。駅に到着するなり引き返して浜坂の温泉街と雰囲気の似ている旅館街に向かったのですが、期待に反して居酒屋がありません。カニ尽くしはゆっくり宿泊する湯治客のみなさんが召し上がるものらしいです。

漁港に近い市場に併設されたレストランもランチオンリーで17時に閉店しています。今日の仕事をあらかた終わった市場の中のテーブルにコンロが置いてあって、食材を持ってきてもらって食べるようになっていました。おまかせのセット3800円。カニ漁のおまけに違いない小さな白身魚と細い魚、サバの切り身を焼いて食べました。イカ、タコの刺身に山陰産の新鮮なエビが三尾。白身魚は塩を振っただけであっさりした味が良く、エビも甘みがありました。本命のカニは半杯。胴体とハサミにはあまり味が無かったけど、脚の方はやわらかく爽やかな味わいでした。アルコールを注文しそこない、代わりに大鍋のカニ汁を2杯飲んだのが今回の歩きの乾杯の代わりでした。

香住駅に戻ったのは17時頃。17時47分の各駅停車に乗り、城崎温泉駅で18時18分に新大阪行の特急「こうのとり」に乗り換え、新大阪着は21時過ぎでした。

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