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2015年09月16日23:43
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市民運動は事態が『ひどすぎる』では起こらない
国会前や全国各地の街頭に出て声を上げている皆さんを誇りに思うし、表立った行動は無理でも自分にできることをされている方々にも敬意を表します。
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「市民運動は事態が『ひどすぎる』では起こらない。
『いくらなんでもひどすぎる』と市民が怒り、問題解決に自分も動きだすとき、起こる」
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小田実の「ひとりでもやる」
安全保障関連法案をめぐる安倍晋三首相の最大の功績は、この国の主権者を呼び覚ましたことだ。
法案に対して、街頭に繰り出した学生たちの得意のかけ声は、こうだ。
「民主主義ってなんだ」
「これだ！」
若者の１人が言った。
「私たちは沈黙を破ります。
私は殺すためでなく、よりよく生きるために生まれてきたんです」
国会前で、東京・新宿で、札幌・大通公園で、全国各地で人々が自分の言葉で声を上げている。
それは、与党議員が批判するように「宣伝に踊らされている」のではない。
自分の頭で考え、自分の足で立ち、一歩前に踏み出した行動だ。
かつて反戦運動の先頭にいた作家の小田実(1932〜2007)は言った。
「ひとりでもやる」と。
小雨の中、東京・永田町の国会議事堂前は騒然としていた。歩道からあふれた参加者が正門前の車道を埋め、人波は官庁街や日比谷公園に広がった。安保関連法案の廃案を求める市民の抗議行動（8月30日）
正門前のステージで、大学生らのグループ「SEALDs」(シールズ)のメンバーが叫ぶように言った。
「憲法を守った方がいいっておかしな主張ですか。利己的ですか」
大阪からやってきた女子学生が続いた。
「安倍首相、私たちの声が聞こえますか。私はこの国の将来に責任を負う主権者の１人です。
国民の力でこの法案を絶対止めるためにここに来ました」ー。
冒頭に引いた小田実は、市民の行動のあり方を
「ひとりでもやる、ひとりでもやめる」と語った。
それは1960〜70年代、ベトナム戦争に抗議する反戦団体「ベトナムに平和を！市民連合」(べ平連)を率い、デモの先頭に立った体験から出た言葉だ。
こう書いている。
「運動は市民が自発的に『ひとりでもやる』ことで始まった。
そして、戦争に協力することを『ひとりでもやめる』。（中略）
これは、平和憲法を再生させる、思考と行動の基本になる原理です」（要旨）
こうも言った。
「市民運動は事態が『ひどすぎる』では起こらない。
『いくらなんでもひどすぎる』と市民が怒り、問題解決に自分も動きだすとき、起こる」
（以上、筑摩書房「ひとりでもやる、ひとりでもやめる」2000年刊）
国会前にいた市民は怒っていた。
憲法違反が通説となった集団的自衛権の行使をごり押しする政権に。
民意に耳を傾けず、「勝手に決める」政治に。
まさに、「いくらなんでもひどすぎる」。
民主主義はどこへいった、独裁国家か、と。
元札幌市議の山口たかさん(65)は、高校時代に小田実に出会い、以来、その背中を追うように市民運動を続けてきた人である。
小田さんの言葉は生きていると、山口さんは感じる。
「『ひとりでもやる』ということは、時に孤立する覚悟も必要な決断です。でもそういう一人一人の意思が力になって国を動かす。
参加者12万人という国会デモの背後には何百万、何千万の人々の思いがある」
安倍首相は「決めるのが民主主義のルール」だという。
しかし憲法の平和主義に反し、多くの国民が「NO」の法案を、強引に押し通すことが民主主義のルールだとは私は思わない。
今月６日、法案に反対する市民が札幌・大通公園に繰り出し、プラカードを高く掲げた。
スローガンは「私たちは戦わない！」。
戦争への協力を「ひとりでもやめる」と言ったのは小田だ。
私は小田の信奉者でも熱心な読者でもないが、その言葉はいま輝きを放っていると思う。
■「何がなんでも止める」 雨の中、国会前で市民が訴え
(朝日新聞デジタル - 09月16日 22:12)
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