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2014年06月24日11:52

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『十二人の怒れる男』

映画『十二人の怒れる男』を観た。

(1957年 米 監督:シドニー・ルメット
出演:ヘンリー・フォンダ リー・J・コップ エド・ベグリー マーティン・バルサム E・G・マーシャル ジャック・クラブマン ジョン・フィードラー エドワード・ビンズ)

BSプレミアムの録画で観賞。前に観たのはいつだったけかな〜???

【17歳の少年が起こした殺人事件に関する陪審員の討論が始まったが、誰が見ても有罪と思えたその状況下で、ひとりの陪審員が無罪を主張したことから物語は動き始める…。
(allcinema ONLINE)】

原作はレジナルド・ローズが書いたCBSテレビのドラマ。映画でもローズが脚本を書いている。

何度もリメイクされ続けているこの作品。密室劇の名作といわれているが、オスカー受賞はなく、ベルリンで金熊賞をとっている。

密室劇といえばヒッチコックの『ロープ』(1948)が思い浮かぶが、共通しているのがリアルタイム劇であるということ。映画の進行時間と物語の現実時間をピッタリ合わせたもので、いわゆる『24』の手法。舞台にそのまま使えることから、今でも舞台化され続けている。

『ロープ』の場合は、長回しが目立ち、編集もワンカットに見せようとする感じがみられるが、この『十二人の怒れる男』は、対照的に397のカットでつなぎ合わされ、同じアングルは1つもないそうだ。そういうところに注意して見ると、また面白いのよね〜。

フォト


とにかく暑苦しい。狭い空間に12人の陪審員。時代なのか、全員男性の白人のみで黒人はいない。扇風機が回らない。かろうじて窓は開くけれど、風通しはよくなさそう…。そんな環境の中、早く帰りたい人たちが多いようだ。

数々の状況証拠や証言から、少年は有罪と思われていた。しかし、陪審員No8(ヘンリー・フォンダ)ただひとりが無罪を主張する。「もう少し話しあってみようじゃありませんか…」。(セリフは違ったかも…)

有罪が認定されれば、少年は死刑になるかもしれない。でも、もし万が一冤罪ならば?
陪審員の安易な判決が少年の運命を決定づけてしまう。

日本でも陪審員制度が導入された今、改めてこの作品を観てみると、とても興味が増す。
ほんのわずかな疑問に対して、一つ一つ細かく話し合い、検証してゆく。そうか、どうでもいいようなことでも、こうやって検証していくと違う側面が見えてくるのね。

狭く限られた空間の中、繰り広げられるやり取りはとても汗ばんで暑苦しい。けして気持ちのいい空間ではないのだが、それでも彼らから目が離せなくなってくる。疑わしきは被告人の利益にという言葉があるが、まさにこういうことなのね…。

アクションシーンなどは一切ないのだけれど、しっかりサスペンスフルな95分間。ほぼ会話だけで画面に釘付けにする技量には驚かされてしまう。

そして、解放感あふれるラストシーン。密室での暑苦しい濃密なディスカッションがあったから、余計に爽快感が増すのよね。あと、空模様もね。この辺の演出、ニクイわ〜。

他にもいい作品はあるけれど、やっぱりシドニー・ルメットはこれかなあ。うん、これだ。



『ロープ』
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