『罪と悪』 ☆☆☆★ 2024年14作目 フォーラム仙台
https://tsumitoaku-movie.com/#
仲の良い中学生四人組の一人が川で死んだ。
「犯人はあいつだ」と三人で怪しい奴のとこへ行って、殺してしまった。
「俺が何とかする」そう云った一人は少年院に入り、半グレのリーダーに成った。
残された二人の一人は地元に残り、もう一人は刑事に成った。
それから二十二年。
同じ場所に死体が浮いてた…
ノワールミステリーです。
「川で死体が発見される」ので、『ミスティックリバー』か? とか思っちゃいましたが、雰囲気は似てるかも。
中学時代に仲の良い親友が殺されて、「あいつが犯人に違いない」と怪しい奴のとこに乗り込んだら、勢いで殺しちゃって、「俺が被るからお前らは逃げろ」となった「熱い友情物」かな?
と思ったのですが、結構しっかりしたミステリーでした。
しっかりミステリーしてたのですが、監督の描きたかったのは「友情」と「ミステリー」以外にもあるように感じた。
と云うか、「監督が描きたかったのは他にある」ように感じるぐらい「他」に力が入ってた。
「俺が何とかする」と殺人の罪を被り、少年院に入ってその後、半グレのリーダーに成る役を高良健吾さんが演じているのですが、この「半グレ」の描写が細かいし力が入ってる。
村上淳さん演じるヤクザの幹部が率いるヤクザと揉めるんだけど、抗争の描写に力が入ってる。
組長役の佐藤浩市さんも力入ってたし、椎名桔平さん演じる刑事が「半グレもヤクザも目の届く範囲に置いとく」と裏でこそこそ何かやってるのも力が入ってた。
なのでもしかしたら、監督の齊藤勇起監督が描きたかったのは「半グレとヤクザの抗争と、裏で暗躍する刑事」なんじゃないかと感じた。
「幹と枝葉」で云うところの「枝葉こそが監督やスタッフが本当に描きたかった事」てやつ。
てなると「本筋は出汁ですか」となっちゃうんだけど、本筋(ミステリー・パートと友情の話)もちゃんとしてた。
「枝葉が邪魔した作品」や「どっちが幹か枝葉か分からない作品」もあるのに、「枝葉がしっかりしてるのに幹、本筋が出汁じゃない」のは凄い。
しかも扱ったのは「半グレ」と「ヤクザ」。
何年か前に半グレの映画があったけど、「僕取材しました。今の半グレってここまでやるんですよ」が滲み出てて詰まらなかったし、ヤクザの描写をリアルにし過ぎてて「汚点」でしかなかった映画もあるから、「半グレ」と「ヤクザ」は扱いが難しい。
タイトルにある通り、「罪」と「悪」は違う。
罪だから悪とは限らないし、悪だから罪とは限らない。
ただ、罪を犯した者は、罪を認め罰を受けるべきだし、罪を認め罰を受けた者には許しを与えるべきだ。
罪を認めず、罰を受けない者に与える許しは無い。
齊藤勇起監督はこの作品が初監督作品だそうだけど、初監督でここまでやってくれるのは凄い。
今後が楽しみな監督です。
映画日記一覧
https://mixi.jp/view_diary.pl?owner_id=23096056&id=1381108346
映画blogはこちら。
http://blog.livedoor.jp/ken_taro/
ログインしてコメントを確認・投稿する