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2024年01月28日21:07

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『ビヨンド・ユートピア 脱北』 ☆☆☆★ 2024年10作目 チネ・ラヴィータ

『ビヨンド・ユートピア 脱北』 ☆☆☆★ 2024年10作目 チネ・ラヴィータ
https://transformer.co.jp/m/beyondutopia/#modal

 北朝鮮から韓国への亡命を希望する「脱北者」の支援活動を行っている、韓国人牧師に密着したドキュメンタリー映画。
 『コンクリート・ユートピア』https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1986750386&owner_id=23096056の時に「自らユートピアを名乗る者が、ユートピアだった試し無し」と書きましたが、フィクション、創作でさえそうなのだから現実にユートピア、「楽園」な訳が無い。
 
 日本でも戦後直後に北朝鮮、朝鮮総連、朝日新聞の三者が結託して、北朝鮮を「地上の楽園」と称して、数多くの在日朝鮮人や日本人を騙して「楽園とは最も遠い国」に送り込みましたが、その「自称楽園」から何とか逃れよとする人達と、支援する人達に迫ったドキュメンタリー。

 撮影、制作はアメリカなんだけれど、中心に居るのは今まで1,000人以上の脱北を手助けした韓国人牧師。
 北朝鮮からは当然マークされ、中国でも入国すれば逮捕、拘束の可能性がるとして脱北者が北朝鮮と中国を脱出するまでは電話でブローカーとのやりとりで脱北を手助けする。

 「ブローカー」、どのジャンルでも怪しんだけど、結局作中では出てきませんでした。
 北朝鮮以外なら農家や民間人の小遣い稼ぎだったり、警察官や国境警備関係者の副業だったりするんだけど、「裏社会」の人間も当然噛んでいる筈なのに、そこの言及は無かったです。
 北朝鮮国内のブローカーはどうなんでしょう?
 役人の副業、小遣い稼ぎか、それとも反体制派なのか。
 金で動く連中は信用出来ないですけど、国を問わず「ブローカー」の詳細が一切語られないので気になりました。

 話の中心は「80代の老婆と子供を含む5人家族」の脱北で、女性と子供は「売り飛ばされる」危険性があるけど、年寄りは「価値が無い」として見殺しにされる危険性がある。
 そんな中での家族の脱北。

 先ずは中国との国境沿いの川を渡って中国へ密出国。
 その後、中国当局の目を掻い潜ってベトナム、ラオスに入って、最後にタイとの国境の川を渡ってタイで当局に投降。

 中国に入ったら韓国大使館か領事館にでも逃げ込めばいいのに、中国、ベトナム、ラオス、タイと四か国も横断するなんて大変もいいところ。
 在中国在外公館の警備は中国がやってるから警備が厳しいのでしょうか?
 以前、日本領事館に脱北者が逃げ込んだ騒動がありましたけど、中国も警備を強化したんですね。

 中国で捕まれば当然北朝鮮へ送還されるんだけど、ベトナムとラオスでも中国の影響で北朝鮮や中国に連行されるそうで、やはり中国の影響は大きい。

 脱北の最中にお婆さんにインタビューするんだけど、「金正恩総書記ってどんな人」て聞かれて、「偉大な将軍様は未だお若いのに…」と話し始めて「お婆ちゃん、もう嘘は云わなくていいのよ。将軍は何もしてくれなかったでしょ」とたしなめてるのが印象的だったんだけど、崇拝と云うか、洗脳されてるのはお年寄りだけではないようです。
 
 脱北者、支援者の牧師、の他にも話のメインは居て、脱北に成功した女性が息子を脱北させようとするのですが、これが失敗する。
 ブローカーに騙された可能性もあるんだけど、そこは言及されず、脱北が失敗した理由は「母さんは騙されている。母さんを北朝鮮に連れ戻すんだ」と云うもの。

 独裁者に洗脳されるのが年寄りだけじゃないのは恐ろしい…

 観賞特典と云うのもおかしいのですが、この作品を観た方には「冊子」がプレゼントされます。
 冊子には北朝鮮の実態の数々が書かれていて、とても21世紀に実在する国家とは思えません…

 非常に重いドキュメンタリー映画ですけど、一見の価値ある作品です。


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