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2023年07月09日22:56

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Isn't this a lovely day

 最近少し足が遠ざかっているのだけれど、私には行き付けの沼がある。
 と“行き付けのバー”みたいに言ってみた。
 そんなお洒落なもんでもないが実際に一時期は月に二回とか三回とか通っていたのだから仕方ない。
 その行き付けの沼に、赤字で『ヌートリアに注意して下さい』と書いた看板がある。ヌートリアの絵も何もなく『前歯、爪は鋭いので手を出したり、餌をやったりしないようにして下さい』と単純にその脅威を書くゆえに恐ろしい。
 絵がなくても関西人はTVとかでなんとなく知ってるしな、淀川のヌートリア。
 問題はその沼が淀川から数十キロ離れている点である。最も近い川からも数キロは離れている。こんなところに、ヌーちゃん、おるんかい!! と驚いた。
 私は沼で見たことがないので、本当にいるかもわからないのだが、仮にいるとして、どうやって沼に来たのか疑問なのである。
 人為、すなわち目的の水場に直接ヌートリアを放つえげつない環境テロ、でないのなら、ヌーちゃん自ら道路を歩いて横断してきたとしか思えないが、沼があるのは市の中心部で周囲の道路はかなりの交通量がある。どう頑張っても轢かれて死ぬぞヌーちゃん!!
 一つ考えたのは、極端に交通量の少ないとき、例えば大雨の日の真夜中になら道路を渡ることが可能なのではないか、ということ。それ以外だと近所でこっそり飼われていたのが逃げて野良ヌーになったか、ワシなどの猛禽が捕まえた仔ヌーを落っことしたか、さもなくばやはりヌーテロリストの仕業としか思えぬ。
 で先週、大阪で夜中に大雨が降って、雷が鳴った日。今こんな時にヌートリアは無人の街を、信号機だけがピカピカ光る大きな交差点を渡って新たな水場を目指すのだろうか……? などと考えていたら、詩ができた。私の意思と関係なく脳が暴走して勝手に作ったような感じで何だか妙な気分である。
 できたのはいいとして、私の周囲には詩を嗜む人間などいないので、見せる相手がおらぬ。そこで勝手ながら、この場にて供養させていただく。


  雨のよく降る夏の夜半に
  川より這出で
  あすふあるとを渡る。

  ヌ・ヌ・ヌ・ヌートリア

  臆病かな雨夜を待つは
  鉄の車を恐れるが故。

  大胆なり川を出づるは
  そもそも人を恐れぬが故。

  ヌ・ヌ・ヌ・ヌートリア

  国王の軍を恐れず
  かへつて友の裏切りを恐れる
  反乱軍首魁の心を以て。

  魔王の如く苛烈
  我が城を供も無く闊歩する
  専制君主の様を以て。

  ヌ・ヌ・ヌ・ヌートリア

  今年の夏の
  今度の雨の
  夜半に
  君の街の
  一番近くの川より
  上陸し
  黒く濡れたあすふあるとのうへを
  這ひずり回る。



 ……本当はそろそろ近況を書くべきところ、河童さんの日常をそのまま書くと酷すぎるのもあって、今回は沼の仲間ヌートリアについてだけ書いて終わる。
 象徴詩もどきの出来映えはともかくとして、雨の降った夜にはあなたの家の近所でも新たな水場を目指してヌートリアが歩いている、と楽しい想像をしていただけると、河童さんは嬉しいです。

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