mixiユーザー(id:17855561)

2023年10月11日00:01

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血の通わない文豪

SF作家であり、ショートショートの大家として知られている方と言えば【星新一さん】ですが、
星さんが亡くなり、令和に入った今でも、変わらずその作品は読み継がれていますよね。


星新一さんが凄いのは、
最初から時代を超えて読まれる事を意識して作品を書かれていた事でしてね。
というのも、星さんの作品には、具体的な登場人物の名前や地名などに
固有名詞を一切使わないのはもちろん、大金を表す場合でも【一億円】ではなく
【家が三軒建てられるくらいのお金】のように表現し、
お金の価値が時代とともに変わっていったとしても、違和感なく読めるようにしている事なんですね。


ですからこの先、令和から元号が変わっていったとしても、
引き続き変わらぬ魅力を伝えていくんでしょうね。


そんな星新一さんの業績を讃えて、
2013年より始まった日本経済新聞社が主催する『星新一賞』というのがありましてね。


これは理系的な発想に基づいたショートショート、及び短篇小説を対象とした文学賞なんですが、
昨年行われた『第9回・星新一賞』を、執筆に一部【文章執筆AI】を使った作品が受賞したんですね。


作者が使ったのは、自身の過去作品六百編を学習させた文章執筆AIなんですが、
驚いた事に作者が受賞作以外にも小説百編を、わずか三週間でAIに執筆させて、
投稿していたそうですね。


受賞するほどの高いレベルの作品を書き上げる上、百編を三週間で生成する速度を兼ね備え、
質、量ともに、人間では太刀打ちできないかのように思えるAIですが、
一方で気になるのが【個性】ですね。


作家の個性は、AIで作った作品に反映されているのかどうかという事ですが、
受賞した作者は『自動的に生成させているとはいえ、自分の文章が出発点になっているので、
私の個性は受け継がれていると思います』と言ってるんですね。


今後、作品作りにAIを活用する人は増えていくでしょうが、
AIを用いて【他者の作風の作品】を作る事は許されるのかという疑問がわいてきますよね。


そもそも作家の【作風】とはどのように構築されたのか、
作家たちは何から学んだのかというと、【他者】からという事になります。
多くの先人たちから学び、技術を獲得し、自分の作風を構築しているはずですから、
AIも人間も、他者から学ぶという点では違いはありませんよね。


そういった事も背景にあるのか、
法律上はAIが【学習】に他者の作品を利用する事、
他者の作風やスタイルが似た作品を作る事は、
著作権侵害に該当しないとされているようですね。


「文章執筆AIを使って【村上春樹】の作品を学習させて、村上春樹風の作品を作る事に成功したよ」
「へえ〜、『ノルウェイの森』っぽい作品とか?」
「そう。森の中で女性が男性にまたがってHするという小説【乗る上の森】とか」
「あ〜なるほど。じゃあ『海辺のカフカ』っぽいのは?」
「もちろんあるよ。
海岸でピンクのベストを着たマッチョ男が『トゥ〜ス!』と指を立ててくる【海辺の春日】だね」
これは村上春樹さんを怒らせてしまいそうですね。


「この間、文章執筆AIを使って作品を作ろうと思ったら大失敗しちゃってさ」
「どうして?」
「芥川龍之介と太宰治の作風を勉強させたら、AIが自殺しちゃったんだよ」
いくら文豪たちでも、人選は大切みたいですね。


微笑亭さん太

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