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2023年08月14日09:55

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『インスペクション ここで生きる』感想

〜ゲイであることから母に捨てられ海兵隊に入隊した青年が自らのアイデンティティを貫こうとする姿を、本作が長編デビューとなるエレガンス・ブラットン監督が自身の半生をもとに描いたヒューマンドラマ〜
〜イラク戦争が長期化していた2005年のアメリカ。ゲイの青年エリス・フレンチは母に見捨てられ、16歳から10年間にわたってホームレスとして生きてきた。自身の存在意義を求めて海兵隊に志願入隊したものの、教官から強烈なしごきを受け、さらにゲイであることが周囲に知れ渡ると激しい差別にさらされてしまう。何度も心が折れそうになりながらも、暴力と憎悪に毅然と立ち向かうフレンチ。孤立を恐れず、同時に決して他者を見限らない彼の姿勢は、周囲の人々の意識を徐々に変化させていく〜<映画.comさんより>

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『インセプション』ではありません(笑) そっちはノーランです。

まずは海軍と海兵隊の違いがわからず検索。
海軍(Navy)と海兵隊(Marine)は、アメリカの海軍省の中に置かれた、別々の軍事部門です。海軍は、巡洋艦や駆逐艦、潜水艦などによって戦闘を行なう部門ですが、海兵隊は全軍の突破口を開く役目があり、その点でその他の陸軍、海軍、空軍とは一線を画します。ですから、海兵隊は海軍の艦艇で移動を行なうこともありますが、通常は強襲揚陸艦によって、敵地上陸を行います。
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1471788389

上記の説明の「全軍の突破口を開く役目」っていうのが、今作と繋がりあるかも。

フレンチはある日決意する。
このままホームレスを続けていれば、刑務所に入れられるか、路上で死ぬかだ。
どうせ死ぬなら、意義のある死に方をしたい。
海兵隊のユニフォームで亡くなれば、誰かのヒーローになったという証を残せる。

長く遠ざかっていた実家に行き、母親に出生証明書を出してほしいと願う。
母親はいきなり「何しに来たの?」という冷たさ。
着ているユニフォーム。わからなくて調べたら、どうやら母親は刑務官。
背後に聞こえるのは、ラジオかな?キリスト教の教え。
「私が生んだ息子として戻らないなら、この証明書は無意味よ」
酷い・・・あまりにも酷い・・・・。やはりここは自分の居場所ではない。

そして海兵隊のブートキャンプ(新兵訓練施設)にバスで向かうんだけど、着いた途端、いきなりの『愛と青春の旅立ち』状態。
ルイス・ゴセット・ジュニアがあちこちに!?
新入生たちが鬼教官たちに怒鳴りながら聞かれるのが「ドラッグはやってるか?」「お前は同性愛者か?」
フレンチは大声で「NO!」と答えます。そう答えないと入所させてもらえないからです。

日々、辛い訓練に耐えるフレンチですが、ある日、シャワー室で・・・興奮した状態を見られてしまい、ゲイだと知られてしまいます。
そこから、まわりの態度が明らかに変わってきます。
寝る場所を移動されられたり、「ハエを食え」と言われたり、リンチされたり、嫌がらせのオンパレード。
教官からのしごきもエスカレート。怒鳴られ、痛めつけられ・・・。

ただ、そんな中でも、優しくしてくれる人が出現。
副教官、そして、ムスリムの男性。そのあたりは、ちょっと安堵。

やがて卒業の日が近づいてきます。

※予告編
https://youtu.be/-vkgRXe2ck4

映画の設定となっている2005年っていうのは、同性愛者の入隊はあり得なかったみたいなんですが、現在は、セクシャリティに関する規定や質問は、行われていないとか。
そのあたりの規定については、公式のCOMMENTARYに詳しく書かれていました。
http://happinet-phantom.com/inspection/

軍隊の性的マイノリティへの対処が始まった理由は、今作の台詞で言われているとおりなのかも。
「ゲイの人間を受け入れなかったら(除隊させたら)、軍は成り立たなくなってしまう」

今作の一番のハイライトが、卒業式。
ちなみに、私、勘違いしていて『愛と青春の旅立ち』みたいに、卒業したら、教官と訓練生の立場(上下)が入れ替わるのよねって思ってて・・・あちらは、海軍’士官’学校だったからそうだったんですね。

で、卒業式です。なんと、絶縁されたと思われていたフレンチの母親が現れるんです。
嬉しそうなフレンチ。あぁああ〜〜、良かった。
と思いきや、その後の展開がとんでもなかった。
フレンチ「ボクはゲイだ。変われないよ」
母親「マル秘
母親「あなたを最後の時まで愛しているわ」
ひぇえええええ〜〜〜〜〜。

軍隊という場所は、社会で居場所を失ってしまった者たちが、自分の頑張り次第で、人間らしく生きられる数少ない場所なのかもしれない。

何より驚くのは、これ、エレガンス・ブラットン監督が体験した実話だということ。
16歳でホームレス生活、そのまま10年過ごした後、米海兵隊に入隊。海兵隊在籍中に映像記録係として映画の制作を開始...。いやはや。

観賞後の余韻は、サブタイトルがそのままです。「そこで生きるのよね」
なかなか良かったです。3.6☆
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