妄想

　仕事が多忙でほぼ無休、そんな時は妄想だ。
　武田信玄はどうすれば天下統一できただろうか？
　武田家の痛恨事といえば、長きにわたる上杉謙信との抗争及び弟の信繁討ち死にと、今川義元が死んで弱体化した今川へ攻め込むも長男義信と飯富虎昌を失うやら北条とやりあうやらの二点ではなかろうか。
　甲斐から進出する方向は信濃しかない。当時の甲斐は荒れ地で石高は少なくて南には今川と北条がいる、即ち最悪な立地条件。
　諏訪、小笠原を倒すと連鎖的に村上義清との戦いになり、なんとか倒すと上杉謙信との戦いが始まってしまう。この絶望的なイベント発生がとにかく最悪。石高の乏しい僅かな土地を巡っての上杉謙信との不毛なバトルこそ、武田信玄の致命的な失敗ではなかろうか？
　とはいえ回避はできただろうか。北信濃攻略を諦めた場合、上野方面だと上杉憲政と戦って結局上杉謙信と戦う羽目に、しかも長野業正もいて苦戦必至、上野制圧できたらできたで上杉謙信と北条氏康との抗争がなくなると双方強くなり過ぎる恐れがある。
　では美濃攻略がいいだろうか？　甲斐と信濃半分を領有して約四十万石程度、対する美濃は一国で五十万石、乏しい兵力を狭い木曽路を進軍させて向かうは斎藤道三。当時の斎藤道三は織田信秀と戦っていたが、対武田同盟を結んでしまえば美濃五十万石+尾張五十万石になる。甲斐と信濃半分で四十万石の武田では相手にならない。
　とにかく海が欲しい武田信玄、そりゃそうだ。信長には熱田湊があるし上杉謙信には直江津がある。上杉謙信をいなしつつ駿河侵攻しかないのかな。
　父親を追放し、長男を殺してまで天下を求めたのに、あと一歩で力尽きた無念いかばかりか。考えれば考えるほどに、「あの状況でよく頑張った」という感想しかない。
　後を継いだ勝頼も、最初から詰んでいたし。
　ゲームでは結構強く設定されていて、ドラマでもかっこよく描かれるのが「家は滅んだが名を残す」本懐を遂げたんじゃないかな的な感じだな。