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2023年02月12日14:03

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『バビロン』 ☆☆☆☆ 2023年16作目 MOVIX仙台

『バビロン』 ☆☆☆☆ 2023年16作目 MOVIX仙台
https://babylon-movie.jp/

 サイレント映画からトーキー映画への過渡期の1920年代のハリウッドを舞台にした作品。
 時代の波に乗り遅れた俳優や、時代の波に乗りそして消えていった女優の話。

 冒頭のパーティーのシーンから凄まじかった。
 乱痴気騒ぎとしか云えない騒ぎようで、麻薬が「蕎麦屋の打ち粉状態」で山積みになってた。
 登場人物やエピソードは実在の人物や実話を元にしてるみたいなんだけど、ホントにこんな乱痴気騒ぎをしてたのかな?

 パーティーシーンの凄まじさは流石『ラ・ラ・ランド』の監督だけあります。
 デイミアン・チャゼル監督に関しては『ラ・ラ・ランド』は観ていないし、『ラ・ラ・ランド』の為の資金稼ぎ、知名度稼ぎの為のの踏み台映画の『セッション』は只のパワハラ映画なので、『ファースト・マン』しか観ていませんが、今作も間違いなく代表作になるでしょう。
 実際、アカデミー賞に「作曲」「美術」「衣装デザイン」の3部門でノミネートされていますが、この事自体がこの作品を如実に物語っているかもしれません。
 音楽は素晴らしく、美術も衣装も1920年代という時代なせいかゴージャスで素晴らしのですが、他はと云うと、サイレント映画からトーキー映画への時代の流れで、「声がダサい」「しゃがれ声が酷い」と時代の波に取り残されていく二人が話の中心なので、後半は失速を感じる。

 ブラッド・ピット演じる大スターはハリウッドを代表する俳優で、界隈でも顔役だったのにトーキーになった途端に演技が笑われ…
 確かに「何か違くね?」とは思ったけど、あんなに笑う程酷いとは思わなかった。
 むしろ、「雨に歌えば」のシーンは「俳優も大変だな」と感じたし、仲間が自殺したのを聞いた時のシーンは哀愁に満ちていた。
 
 マーゴット・ロビーが演じた、無名の端役からスターダムにのし上がっていく女優はエネルギッシュで、パーティーでの「ガラガラヘビとの決闘」も含めて派手で見応えのあるキャラクターだったのに、後半は失速。
 後半で描かれたトーキー映画になって声のしゃがれ具合が「悪い」とされるのも、「芝居は舞台が格上。映画は格下」とする演劇界の習わしも、上流階級に媚びるのも「何か違くない?」「間違ってない?」としか思えなかった。

 こんな感じで後半は正直不満の方が多く、評論家と対峙するシーンも「何時の時代も評論家はこれだから」「えっ、それだけ? それだけでいいの?」と物足りなかったです。

 後半特に酷かったのはトビー・マグワイアが演じたマフィアが出たシーン。
 怪しげなシーンなのですが、あれ必用なのでしょうか?
 糞、シッコ、ゲ〇と下な表現がある作品なのですが、このシーンの淡のシーンが一番不快でした。
 必用なシーンなんですかね?

 こんな感じで後半は不満の方が多いのですが、前半は楽しかったです。
 野外ロケだから自然光で撮りたい監督が、壊れたカメラの代わりを用意させるシーンとか、マーゴット・ロビーが演じた役の撮影シーンは拍力もあり観甲斐のあるシーンでした。
 サイレント映画なのにロケ現場で演奏していたのは何故でしょうか?
 演者さん達やスタッフの士気を挙げるためでしょうか? 気になります。

 トーキー映画の撮影シーンでは「立ち位置が変わると音が取れないので、立ち位置の指定が厳しい」は笑ってしまいましたが、撮影の大変さが伝わるシーンでした。
 トーキー映画に関しては「字幕職人」で女優でもある妖艶な東洋人が素敵でした。

 トーキー映画になって映画に音楽が付くようになったから、アフリカ系のトランぺッターが映画に演者として出演するんだけど、「主役だからスポットライトが当たって白く見える」とか本末転倒の事態になって、「黒く塗られる」のは個人的には「ラッツ&スター?」なのですが、笑えませんよね。
 これは実際にあったエピソードだそうです。

 乱痴気騒ぎのパーティーから始まって、前半は撮影でのエピソードと各々のキャラクターのシーンが派手で楽しく、見応えのある作品なのですが、後半は反動なのか「斜陽化するサイレント映画」を表すように話自体も暗く、辛気臭くなっていきました。
 個人的には「芝居は舞台が格上。映画は格下」とする習わしと、「評論家が何を云ったか」が100年前と何も変わっていないのが印象的でした。

 トーキー映画の時代になって字幕職人は職は失い、時代の波に取り残されたかと思えば何とか生き延びていたので、ブラピやマーゴットの役もあんな最期を迎えずとも済んだ道があったのではないかと思える作品です。

 マーゴットの「ちょっとだけよ」がもっと見たかったです。 


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