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2022年05月04日00:01

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介錯つかまつる

子供の頃、道端や河原に落ちている物を
何でも拾ってきたりしたという経験をお持ちの方もいるんじゃないかと思います。


その辺にある手頃な大きさの【石】を、やたらと拾ってきてしまう男の子がいましてね。
ある時、お婆ちゃんがその子に、
「ケンちゃん、石を拾って帰ってきてはダメだよ」
「お婆ちゃん、どうして?」
「過去にその石で、人が殴り殺された可能性があるから」
それ以来、一度も石を持ち帰らなくなったそうですけどね。


ケンカなどでボコボコにされた時
『半殺しにされた』などという言い回しを使ったりしますが、
アメリカのマサチューセッツ工科大学で行われた研究によれば、
マウスの体から切り取ったガン細胞のDNAをズタズタにして再び腫瘍に戻したところ、
免疫療法の治療効果が大幅に上昇したそうですね。
つまり【ガン細胞の半殺し】が治療効果を高めるカギになるという事です。


健康な細胞というのは、回復の見込みがないほど大きく損傷すると、
ガン化など深刻なエラーを起こす前に、自ら信号を送って免疫細胞に殺されようとするんですね。


これは『俺、もう持ちそうにないんで、トドメをさしてくれ』と言っているわけでして、
免疫システムに対して自らの【介錯】を求めているのも同然です。
細胞というのは、ちょっとした【武士】みたいなものですよね。


ガン細胞にもこの【介錯】を求める仕組みがあった場合、
免疫細胞に介錯信号を認識させる事で、ガン治療に役立つ可能性があるのではないかと考えて、
研究チームは実験を行ったんですね。


研究チームはマウスから摘出した腫瘍に対して、
様々な化学薬品をふりかけて【半殺し】にした後、
マウスの体内に戻して免疫療法の有効性を試すという手順を繰り返した結果、
DNAを【半殺し】にした場合に、最も免疫療法の効果が上がる事が判明したんですね。


黒色腫と乳ガンになっていたマウスの四十%において、
腫瘍を完全に消滅させる事に成功したとの事ですから、かなりの成果ですよね。


「・・・おい、細胞A、お前どうしたんだよ!?ボロボロじゃねえか」
「・・・ヤベえ・・・こいつら。マジヤベえわ・・・
お前たち、もう悪さするのは止めとけ・・・今にお前たちもこうなるぞ・・・」
「わ、判った」
ガン細胞たちの間では、こんな会話が交わされてるのかもしれませんね。


「よし、ガン細胞を次々に半殺しにして体内に戻しなさい」
「判りました、先生!・・・す、すみません、先生。半殺しにするつもりが、
間違って【褒め殺し】にしちゃいました」
「褒め殺し?それでどうなったんだ?」
「ガン細胞が調子に乗って、どんどん増えてます」
こういうミスは勘弁してほしいですね。


微笑亭さん太
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