経済談義シリーズ、前回から為替について取り上げています。
為替について、議論になるのが、円高、円安、果たしてどちらがよいのか?という話です。
経済評論家の中には円安が望ましいとする論調があり、なかには、日本経済が長期低迷に陥っているのは円高が諸悪の根源、円安にさえなれば日本経済は救われるなどと楽観的に主張する人もいます。
前回説明した通り、円安になると、例えば100円のおもちゃが1ドル(1ドル=100円の場合)から50セント(1ドル=200円の場合)に値下がりして、アメリカから見るととても割安になります。割安なのでたくさん売れる、売上個数が増えることが見込まれます。
これにより輸出を行う日本企業の当面の業績が改善する、それは確かなところで、円安論者の皆さんの指摘する通りです。
しかしそうした意見は、その反面に確かにある円安のデメリットというものを考え落としています。
円安のデメリットとして、まずわかりやすいのは輸入への影響です。
前回説明したように、円安になるということは、海外から輸入される製品の日本での価格(円建て価格)が上昇することを意味します。
結果として輸入を行う企業は商品の仕入れ原価が上昇します。それを販売価格に転嫁できるような業種であればまだしも、それができない場合は利益が減少、円安が著しい場合には赤字になってしまいます。
輸入が中心の業種や輸入を行っている企業はたくさんありますから、それに応じて円安の悪影響が出てくることになります。
では輸出企業についてはどうでしょうか。輸出された商品のドル建て価格が下がる一方、原料や化石燃料など、製品を製造するのに欠かせない多くのものが輸入されています。これにより製造原価が上昇しますから、円建ての価格を値上げしなければなりません。円安による輸出価格の低下からその影響を差し引かなければなりません。
輸出企業は円安の恩恵を受けるといいますが、製造原価のうち、原料やエネルギーが占める部分については、円安のメリットとデメリットが相殺してしまうので、実は輸出競争力には本来つながらないものなのです。
(つづく)
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